24時間365日の車両整備「ヤマトオートワークス株式会社」|トラックNEXT

2003年10月、ヤマト運輸の整備部門など、ヤマトグループのいくつかの部門が集まり、ヤマトオートワークスとして生まれ変わった。
それまでヤマトグループ4万台の車両整備や管理を行ってきたが、その経験と実績を活用し、業界のコンプライアンス向上や様々な業務のバックアップを他の運送事業者に展開することとなった。
同社では現在、車両整備や管理だけでなく、燃料やタイヤなどの調達、物流機器等のマネジメント、保険事業などの会員制トータルソリューションを提供している。ハード、ソフト、システムの3方向から運送事業者をサポートする体制だ。


現在、全国70か所あまりの整備拠点があり、運送事業者ならではの視点で効率的な整備を行っている。事業者にとって、車両が稼働できないことは最も大きな損失だ。人材不足の今、空いているドライバーがいるのに動かせる車がないという状態は何としても避けたい。


同社では24時間365日整備が行えるため、昼間稼働する車両は夜間に、夜間稼働する車両は昼間にという、車両の稼働時間以外にメンテナンスを行えることが最大の特徴である。運送事業者にとって大切な「止めない」ということを実現してくれる。また確実に稼働時間前に整備した車両を納品するためには、整備時間を圧縮することが必要だ。丁寧・正確な整備を行うために、徹底的に効率化された様々な工夫がなされている。

 

今回の特集では、主に車両整備・管理サービスを中心に紹介しよう。

◆ 24時間365日対応

夜間も休日も対応し、ユーザーが車両を使わない時間に整備を行う。そのため、稼働を止めなくてよいばかりでなく、代替車・傭車等の手配負担やコストも削減できる。原則として、国内トラックメーカーのものが主流。輸入車は部品調達に時間がかかる場合があるため、事前の相談が望ましい。特装車・冷凍機など、ジャンルを問わず対応している。また在籍する整備士のうち、自動車検査員資格者は60%以上にも及ぶ。

 

◆ 時間軸車検

所要時間も約束し、予定時間内に確実に終わらせる「時間軸車検」。車検予定車両の交換部品の発注や整備内容をあらかじめ把握しておくことで整備時間を効率化できる。

なお原則として車両は車庫まで引取・納車のサービスも含まれている。

 

◆ スーパーワークス

入庫から作業完了までバックしない「一筆書き」のレイアウトを実現した整備工場。床下照明や立ったまま作業可能なリフトアップの仕組みなど、作業効率を高める工夫を随所に配置している。
また、LED照明や太陽光での発電、廃油を使った暖房システムなど、環境保護や停電時の対応も進んでいる。整備士の作業環境を良くすることで作業時間を短縮できるだけでなく丁寧な作業が可能となり、また従業員満足にもつながっているという。


◆ 最適となる車両の有効活用を提案

購入計画から車検・点検の維持管理や廃車のタイミングまで、車両をいかに効率よく使うかを提案していく。3ヶ月点検やオイル交換、タイヤやボデーに至るまで管理サポートしてくれる。

 

◆ 車両管理システム

車両データをカルテとして蓄積。仕様、履歴、コストなど様々なデータがネット上で見られる。稼働を考慮した点検スケジュールや拠点・車両別費用の前年比較も表示される。CSVデータでダウンロードができるため、自社の配車システムなどと簡単に連携することも可能。

 

◆ メンテナンスパック

一般的に9月と3月は車検などが集中し、整備コストがかさむと言われている。同社のメンテナンスパックは12か月の定額パックで整備費用を平準化できる。

 

◆ その他、会員特典の1つとして、燃料調達サービスがあり、全国の同社給油所を利用できる

情勢により価格が変動する軽油も、ヤマトグループ全体と会員で大量に購入することで、コストを抑えられる。そのため、年間を通じて安定した価格で提供できるメリットがある。
他にも、タイヤや物流機器の調達、デジタコなどの用品販売、各種保険等、多岐にわたる特典が用意されている。


編集後記

整備工場といえば、色々な器具が所狭しとならんでおり、車両下にもぐりながらメンテナンスをするイメージがあった。
しかし同社工場を拝見したところ、非常に整頓されており、導線上に邪魔をするものが全くないこと、目線までリフトアップする仕組みやライティングなど、とても整備や点検がしやすい環境にあることに驚かされた。
またシャシ・ボデーに応じた担当者を決めているのかお聞きしたところ、担当は決めておらず全員がどのような車種でもメンテナンスできるように日々訓練、技術を磨いているとのこと。だからこそ緊急の車両トラブルにも対応できるのだろう。

支店ごと、事業所ごとでそれぞれ車両整備を行っている事業者も多いと思う。稼働時間外で点検が終了するため、車両を可能な限り動かすことができる。しかもバラツキのないメンテナンス価格、安定した燃料価格とあらば、年間通じての予算も立てやすいのではないだろうか。特に長距離を持つ事業者は、全国どこでも緊急時のトラブルに対応できる体制が整っていれば、いざという時にドライバーも配車担当者も慌てなくてよい。

「車両の稼働を止めない」 ―  運送事業者にとって最も大切なことを、再度考え直してみる機会ではないだろうか。