ボルボ平成21年排出ガス規制適合車発表

UDトラックス株式会社(旧社名 日産ディーゼル工業株式会社 社長 竹内 覚)は、平成21年排出ガス規制に適合したボルボFHトラクター(後輪2軸駆動の6×4トラクター、後輪1軸駆動の4×2トラクター)を、UDトラックス系販売会社とボルボ・トラック正規ディーラーにて10月8日(金)より全国一斉に発売した。

今回発売したボルボFHトラクターは、よりクリーンで力強い走行を実現する新開発エンジン(D13)を搭載し、クラッチペダル操作を一切不要とした2ペダル式電子制御自動トランスミッションや複数のシステムを組み合わせたブレーキの採用などにより、環境性能と運動性能を両立した。
また、世界で最も厳しいスウェーデンのキャブ強度安全基準をクリアし、人間の心と体の特性を最優先に考えた世界最高水準の運転環境で、ユーザーの安全で快適な運転をサポートする。

今回茨城県の正規販売ディーラーである鹿島旭自動車ボデー株式会社が主催する発表展示会を取材させていただき、UDトラックス株式会社ボルボトラックス ジャパン事業部バイスプレジデント田中氏および鹿島旭自動車ボデー株式会社 代表取締役 原氏に新型ボルボの魅力について話を聞いた。


発表展示会MOVIE

  • 発表展示会 社長インタビュー
    (約3分43秒)
  • 発表展示会の模様
    (約1分3秒)

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それぞれの画像をクリックしてください。


クリーンで力強い新開発エンジン(D13)

  • 軽量で高性能なVGT(バリアブル ジオメトリー ターボチャージャー)の採用などにより、広い回転域で高トルクを発揮する排気量12.8リットルのエンジン。
  • 超高圧の燃料噴射を可能とする電子制御ユニットインジェクターやクールドEGRと、排出ガスの後処理技術である尿素SCR触媒、VPF(ボルボ・ディーゼル・パティキュレート・フィルター)の組み合わせにより、低燃費とNOxとPMの低減を両立させ、平成21年排出ガス規制に適合した。
編集部の試乗記
新開発されたD13Hエンジン。
実際に試乗してみると、低回転域からトルクフルなのがよくわかる。
ここがポイントで、低回転域で充分なトルクがあれば、上り坂でもアクセルを踏み込む必要がない。アクセルを踏み込まなければ、当然燃費は良くなる。しかも静かだ。

優れた運動性能

  • 効率的な運転操作をサポートするトランスミッション

    ・前進後退に限らず、発進から停止までのクラッチペダル操作を一切不要とした2ペダル式の12速電子制御自動トランスミッション「I-シフト」を標準装備しており、積載量・道路状況など、さまざまな条件に応じ最適なギアを自動的に選択、必要なトルクを引き出しながらスムーズな発進・加速を実現。

    ・坂道の勾配を検知し、車両の重量を推定して発進段を自動選択する「A(自動変速)ポジション」、経済性を重視しエンジン始動時は通常より早めのタイミングでシフトアップする「Eモード」を自動選択、アクセルを閉じた惰性走行時に、エンジンブレーキを遮断して惰性走行時の速度低下を抑制し再加速時の燃料消費を抑える「I-ロール」機能などを装備し、省燃費運転をサポート。

  • 最適な制動力を発揮するブレーキ

    ・・ディスクブレーキ、電子制御ブレーキ(EBS)、ボルボ・エンジンブレーキ・プラス(VEB+)などのシステムを組み合わせ、最適な制動力を発揮(エアサス車に標準装備)。VEB+はモードの切り替えで「I-シフト」と連動し、エンジンブレーキの効きが最大になるギアを自動的に選択し減速する(エアサス車のみ)。

    ・ホイールブレーキと補助ブレーキの分担比率が最適な組み合わせになるようにコントロールするブレーキブレンディングシステムを採用した(ディスクブレーキ搭載車のみ)。制動効率に優れるだけでなく、ブレーキパッドの磨耗も低減し経済的な運行にも貢献。

編集部の試乗記
まずトランスミッションの印象だが、機械式オートマにありがちなシフトチェンジ時の息継ぎがほとんど感じられない。
ボルボトラック事業部のバイスプレジデント田中氏もインタビューの中で「ミッションは一番」とコメントしているが、なるほど自慢するだけの性能であろう。
技術部の担当者に聞いてみたが「シンクロが付いてからスムーズにチェンジする」のだという。詳細は今度レポートしたいと思う。

続いてブレーキだ。試乗中、鹿島旭自動車ボデー株式会社(正規ディーラー)の原社長は、しきりとエンジンブレーキの効きの良さをアピールされた。『ボルボ・エンジンブレーキ・プラス』というのだそうだが、低速時においてもその効きの良さは充分実感できた。

世界最高水準の安全・運動環境

  • 床面の凹凸がなく、キャブ内の移動が容易であることに加え、遮音性にも優れ、豊富な収納スペースと室内スペースを確保するなど、長時間、長距離運行に適した運転環境を実現。
  • 車両振動を吸収するエアサスペンションを採用したドライバーシートは、ドライバーの膝や腰への負担を軽減。また、シート一体型のシートベルトとアームレストにより、安定した姿勢で運転に集中することができ、快適な乗り心地を実現。
  • 世界で最も厳しいスウェーデンのキャブ強度安全基準をクリアしたほか、トラックの荷台後部に似せたバリアにトラックを衝突させるボルボ独自のバリアテストをクリアする信頼性の高いキャブで、万一の事故にもドライバーを守る。
編集部の試乗記
ボルボトラックの安全性は、動画の中でも田中氏・原氏が一番多く語っていただいている。インタビュー動画は4分46秒に編集されているが、カメラをまわしていたのは実に45分にも及んでいる。そのコメントの大部分がボルボトラックの安全性と快適性だった。
実際、運転席に乗り込んでみると、身長175cmの筆者が楽に立てる上部スペースがある。
例えば、部屋でもそうだが同じ床面積であっても天井が高い低いではその圧迫感は雲泥の差がある。「天井が高い」ただそれだけで長時間の運転の疲労も低減される効果がある。

加えて特筆すべきはベットスペースだ。実際に試乗車のベットスペースに寝てみたのだが、足元にまだまだ余裕があった。
また横幅も国産車に比べ倍近くあるというだけあって、かなり大柄な乗務員でも窮屈な姿勢は強いられない。例えれば国産車はシングルベットだとすれば、ボルボはセミダブルベットだ。

Photo(車輌)

Photo(展示会)

ボルボトラック試乗のまとめ

「ボルボってどんなクルマ?」。クルマ好きな方なら、ほとんどが「頑丈」という答えるのではないだろうか。まずは正解である。しかしながら、その「頑丈」はドライバーの命を守るためであり、「安全」にトコトンこだわるボルボの姿勢の結果である。

試乗中に気がついたことがもうひとつあった。カーブや右左折であまりロールが感じられないのだ。視点が高い大型トラックの場合、ちょっとしたロールでも上部に位置するドライバーは必要以上に大きなロールに感じられる。結果、腰や足に力が入り踏ん張ってしまう。これの蓄積が疲労の一因となるのだ。ボルボトラックの場合、なぜ乗り心地を損なわずロールを抑えることができるのだろう?答えはショックアブソーバーにあった。
試乗を終え、技術の担当者に聞いてみた。「ショックアブソーバーですが、かなり伸び側を硬くして縮み側を柔らかくしていませんか?」
「そうです。 伸び側を硬くすればロールは抑えられますし、縮み側を柔らかくしているのでゴツゴツとした突き上げもありません。さらに、リアスタビライザーもロールを抑えるのに、かなり効果があります」

さらに、乗ってみれば分かることであるが、車内には収納が多い。これも少しでも車内で快適に過ごしてほしいというボルボのクルマ作りの表れであろう。
当然、それらの思想はトラックにも反映されている。
最先端のテクノロジーがピックアップされがちであるが、ボルボのトラックは「実に人間くさい」。これが筆者の感想である。