試乗インプレッション

試乗インプレッション

このたびの新型デュトロを発売するにあたり、プレスに対して先行試乗会が開催された。仕事柄、小型から中型までは乗る機会の多いトラックNEXT編集部も、12年ぶりのフルモデルチェンジということで、大いに期待して試乗に臨んだ。

まず、最初に試乗したのはワイドキャブの平ボディ仕様車だった。事前に説明を受けていた広く使いやすくなったというステップに早速足をかけて乗り込んでみた。
これまで2トン車に乗る場合、メーカー問わずこのステップには違和感があった。つま先だけをひっかけて全体重を支えるといった感覚が拭い捨てられないからだ。しかし新型デュトロは足全体を載せているという感覚で、今までの違和感が無い。たかが数センチの拡大、されど数センチなのだ。

試乗インプレッション01

エンジン始動前に、助手席に同乗した日野自動車の社員にキャビン内について説明を受ける。
関心したのは、やはりフロントピラーの細さと、全体的に広くなった居住スペースだ。より開放された前方視界は気持ちにゆとりを持たせる。

小型トラックと言えば、よく目にするのが伝票をはさんだバインダーの出し入れだ。今どきは運転席側のサンバイザー部にコンソールボックスが装備されているのだが、多くはダッシュボードに捨て置かれている。以前ドライバーさんに聞いたことがあるが、コンソールボックスだと、滑り落ちてくるとか出し入れに不便とかで、結局ダッシュボートの上にポイッとするのだそうだ。
今回、手前に送れるようにコンソールボックスの下に指が入る程度の穴を空け、さらに滑り落ち防止ストッパーまで装備されたが、果たしてユーザーは使うようになってくれるのだろうか?
新型デュトロが町で見かけるようになった際、注意深く観察させていただくこととしよう。

試乗インプレッション02

さて、気になる「走り」についてだ。試乗車として用意されたのはワイドキャブの平ボディ仕様、エンジンは最高出力132kw(180ps)のN04C-UQ、6速マニュアル装着車。もう一台が標準キャブの平ボディ仕様のハイブリッド車の2台だ。(ハイブリッド車は、専用設計のエンジン:110kw(150ps)のN04C-UL、同じく専用設計の5速AMT)。

マニュアル車の印象だが、日野自動車のテストコースを制限速度ありで、さらに助手席に社員を乗せての試乗だったので、正直よくわからない。ただし、ハイブリッド車とディーゼル車に標準装備された「アイドル・ストップ・システム」は、実に使い勝手がよく思えた。このアイドルストップは、車両が停止後フットブレーキON、Dレンジに入れた状態で作動する。ストップ&ゴーの多い街中で、信号待ちなどで、いちいちNレンジやPレンジに入れる人がどれくらいいるだろう。Dレンジのままで、アイドルストップするということは、自然とエンジンストップにつながり、燃費の向上につながる。

試乗インプレッション03

さて注目のハイブリッド車だ。
まずは気になる5速AMTについての印象を報告する。結論から言えばグッドフィーリングといえるほどの出来栄えだ。試乗中、都内の渋滞を想定して故意にストップ&ゴーを繰り返してみたり、雑なアクセルワークをしてみた。
以前某メーカーの小型トラックを試乗した時には、急な発進でアクセルを踏んでもエンジンばかりが唸りをあげて前に進まない。雑なアクセルワークをすれば、勝手にシフトアップダウンを繰り返し、そのたびに体は前後に大きく揺られ、これならマニュアルのほうがいいと思えるほどひどいものだった。
今回の新型デュトロには、それがない。短い試乗時間で思いつく限りの運転を試みたのだが、ミッションはキチンとついてきてくれた。AMTだけにシフトチェンジの息継ぎは正直ある。この辺はトルコン式ではないAMTのデメリットなのだが、かなり改善されていると思う。日野自動車の開発担当者に言わせれば「マニュアルの場合、2秒くらいかかりますが、新型デュトロのシフトチェンジは0.5秒です。AMTは機械が勝手にギアチェンジするので、人間の感覚として違和感が残るんです。今後の課題ですね。」とのこと。

試乗インプレッション04

乗用車のハイブリッドの場合、停車中、または低速走行中は電気モーターだけでエンジンはカットしていることが多い。ところがデュトロの場合、どちらもエンジンはアイドル状態になっているのが特筆すべき点だ。注意深く発進させてみたが、電気モーターからエンジンへの動力移行もスムーズで違和感は無い。
今回、限られた条件での試乗ということで、すべてを評価することはできないが、12年ぶりにモデルチェンジされたデュトロ。確かな進化の形跡が垣間見られた。願わくば、一般道を走ってみたいものだが、それはそのうち機会を得られた時にでもレポートしたい