日野デュトロ 12年ぶりフルモデルチェンジ。最大のセールスポイントは「燃費」

日野自動車株式会社は、平成23年6月15日、平成22年(ポスト新長期)排気ガス規制に適合した
新型「日野デュトロ」を発表、7月2日に全国一斉に発売を開始した。

今回発売した新型「日野デュトロ」は、ディーゼル車比50%の燃費向上を実現したハイブリッド車を筆頭に
前後2つの新型酸化触媒の間にDPRフィルター(高耐熱セラミックフィルター)を配置する新システムを全車に採用。
これにより、新エンジンと組み合わせて尿素を使わず平成22年(ポスト新長期)排気ガス規制に適合させた。
また、12年ぶりのフルモデルチェンジだけに、アイドル・ストップ・システムを全車標準装備、キャビンスペースの拡大、
通常のディーゼル車には6速AT、ハイブリッド車には専用の5速AMTを装備、
さらにはフロントピラーはクラストップの細さを誇り、安全性を高めるなど、細部に至るまで全面的な見直しが施された。



新型日野デュトロ

高き目標掲げ-新型ハイブリットは燃費50%向上を実現-

ユーザーから求められたもの

日野自動車が、今回デュトロをモデルチェンジするにあたり、これまでの車の対する意見、要望を調査したところ、大きく2つの事項が浮き彫りとなった。

ひとつは「更なる燃費の向上を求む」と言う声だ。つまり、使用方法によって燃費のバラツキが大きいという課題だ。

例えば、2トンクラスの小型トラックであるがゆえに、ストップ&ゴーの多い大都市での配送と、地方での比較的速度を維持したまま走行できるシーンを比べると、ハイブリッドの優位性が発揮できず、一般ディーゼル車と大差ない燃費となっていたという。

もうひとつは「イージードライブ」だ。AT限定免許の普及によってだれもが簡単に、それでいて坂道発進などの変速時の安全性が確保され、疲労軽減につながる小型トラック。
この2つの難題にチャレンジすることが、デュトロフルモデルチェンジの開発陣に課せられたのだ。

日野の解答

圧倒的に燃費が良く、イージードライブ可能なハイブリッドの開発

確かにユーザーの要望を叶えるならば、この解答に行き着く。ならばと、日野自動車が掲げた目標は、驚きの燃費50%アップ!
50%燃費を向上できれば、いかなるシーンにおいても一般ディーゼル車やこれまでのハイブリッド車に燃費で劣ることはない。

しかし50%燃費を良くするというのは口で言うのは易しいが、かなりの難題だ。
製品開発部チーフエンジニア ハイブリッド車担当の山口氏は語る。
「エンジン、ミッション、ハイブリッドを担当する開発陣から、それぞれ精鋭を集め、おのおのに0.1%単位で燃費を割り付けました。そこを積み重ねて、1.5倍を達成させようと。ひとつひとつクリアするのにかなりの時間がかかりました。」

新ハイブリッドシステムの概要

これまでのシステムは、モーターをエンジン後端に直結していたが、新型ではモーターをクラッチ後方に移設した。
この「新パワーライン構成」によって、より効率的な減速エネルギー回収が可能、さらには発進時にはモーターのみの走行が可能となった

ハイブリッド専用エンジン・AMT+モーターの投入

燃費を向上させるためには、エンジンやミッションの動力系の見直しは必須だ。日野自動車は、ハイブリッドの特性に合わせてアトキンソンサイクルを採用するなど、徹底した低燃費を追及。ここに新開発となるハイブリッド専用エンジン「N04C-UL]を完成させた。
またミュションも専用に新開発された。Pro Shift ⅴ(プロシフトファイブ)と名付けられた5速AMTはDレンジに入れておくだけで、路面状況に応じてエコ・ノーマル・パワーの中から最適なモードを自動選択してくれる

目指したハイブリッドの燃費の姿
目指したハイブリッドの燃費の姿
見直しされたハイブリッドシステム
見直しされたハイブリッドシステム

新型システム