富士通株式会社

>富士通、FEELythmを開発し眠気防止の検知システムを発売

富士通株式会社は、ドライバーの脈波から眠気の傾向を検知し、ドライバーや運行管理者に対し、安全運転を支援するウェアラブルセンサー「FUJITSU Vehicle ICT FEELythm(フジツウ ヴィークル アイシーティー フィーリズム、以下、FEELythm)」を開発し、運輸業向けに眠気検知システムを販売開始した。

本製品は、同社の関連会社である株式会社富士通研究所が開発した独自のアルゴリズムにて、ドライバーの耳に装着したセンサーから取得した脈波情報などからドライバーの眠気状態を検知し、音声や本体がバイブレーションすることで危険を知らせる。さらに運行管理者にも通知することができるシステムだ。また、デジタコなどの車載機と接続し、運行管理システムと連携させることで、運行管理者がドライバーの状態をリアルタイムに確認することができ、客観的なデータに基づいて最適な指示を出すことができるようになる。

将来的には、疲労やストレス、緊張状態などの検知データを蓄積し、ハザードマップに適用することで、事前に危険予測を行い運輸安全マネジメントの向上に繋げることが可能。

市場状況と開発の背景

近年の交通事故発生状況

運転意思や技能によらないヒューマンエラーが交通事故全体の約67%を占める。(警察庁「平成25年中の交通事故発生状況」より)

 

ヒューマンエラー:安全不確認(31%)・動静不注意(11%)・わき見運転(17%)・漫然運転(8%)

国の取り組み

法令改正や国土交通省による過労運転防止機器への補助金支給が開始。(導入購入金額の1/2補助)

FEELythmの特長

耳に装着したセンサーから取得したバイタルデータを、独自のアルゴリズムにて運転者自身も気がつかない予兆の段階の眠気を検知する。

バイタルデータの個人差による精度のばらつきを解消し、より正確に眠気の傾向を検知し通知する。

■自動キャリブレーションと学習機能

(1)ドライバーに合わせてキャリブレーション値を記憶

(2)学習機能でキャリブレーション値を更新

(3)センサー装着時にドライバーに紐づけ最適なキャリブレーション値をダウンロード

デジタコなどの運行管理システムと連携が可能となるが、管理者に対しても検知情報を通知し、客観的なデータに基づき最適な指示を出すことが可能。

FEELythm本体とレシーバー

FEELythm本体

FEELythm本体は約90gと超軽量。耳に装着するイヤークリップは、装着直後は若干の違和感を感じるが、ものの数分で 気にならなくなる。

FEELythmのレシーバー

軽量小型なので、置く所に困らない。さらに通信先がスマホやタブレットの場合は、専用のアプリをインストールするだけで、このレシーバーは不要。

運行管理システムとの連携イメージ図

製品に関するお問合せ

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編集後記

「ウェアラブル」とは、スマートフォンやノートパソコンのように携帯するのではなく、身につけて使う情報機器の総称である。昨今では腕時計型のウェアラブル端末が多く発売され、歩数・距離・カロリーや睡眠サイクルなど活動量を計測し、個人の健康管理に活用されている。

このたびのFEELythmは、運行管理システムと連動する業務用として発売された。本格的に使えるウェアラブルが、いよいよ物流・運送業界にも活用される時代がきたのだ。今後、さらに技術が発達し、「眠気」だけではなく「体温」「脈拍」「血圧」「発汗」なども計測できるような機器が登場するやもしれない。確かに個人のプライバシーの問題をどうするか検討が必要であるが、これらのことが検知でき事前に危険を知らせてくれれば、ドライバーの体調不良によって発生する交通事故を大幅に減らすことができるかもしれない。

何より、大切な社員の命を守ることに直結するだけに、このFEELythmと今後展開に期待してやまない。