レバーブロックのキトー

現在、労働環境の改善や交通事故防止の対策として、運行記録計やドライブレコーダー、アルコールチェッカーなどが活用されている。では、荷物事故を防止する対策はどのようになっているのであろうか。 荷崩れや損傷、水濡れなど様々な荷物事故があるが、いずれにしても荷物に対する扱い方を間違えてしまえば信用問題に直結してしまうのである。 交通事故防止対策の研修は行われているが、荷物事故対策や道具の取り扱いなどの研修というものも改めて見直さなければならないのではなかろうか。なぜなら今後、取扱いに慣れていない高齢者や女性、または異業種からの転職者が増える可能性が高いからだ。 荷物事故を防止する手段の1つとして「荷物を固定する」があげられる。この先、東京オリンピック会場やリニアモーターカーに関連する施設の建設、老朽化した建物や道路などの補強・建て替えが増加傾向にあり、重機や鋼材などの重量物を運搬する機会が増えてくることが考えられる。 つまり、運送事業者においては、荷締め機や梱包用品・緩衝材などの取り扱いがこれまで以上に重要になるのだ。 そこで「荷物事故を無くす」をテーマに特集を組んでいこうと思う。

第1弾の今回の題材は、「荷物を固定する」だ。

ホイストやクレーン関係では、トップクラスの販売実績を誇る企業に「株式会社キトー」がある。同社が考える「荷物への安全」とはいかなるものなのだろうか、その答えを得るために山梨県中巨摩郡にある本社工場を訪問した。 同社は、1932年に鬼頭製作所として創業以来、80年以上に渡りレバーホイストをはじめ、クレーンやスリングなどのマテリアルハンドリング機器の製造・販売を行なっている。 同社のレバーホイストは「レバーブロック」の商品名で親しまれているが、「レバーブロック」が株式会社キトーの登録商標であることは、実はあまり知られていない。 その株式会社キトーのレバーブロックは、現在国内におけるレバーホイスト市場で約60%ものシェアを持ち、同社は国内に19の拠点(本社・工場含む)と海外にも12の拠点を持つグローバル会社なのである。

キトーの製品に対する想いと考え

  • 株式会社キトーの基本となる考えは、「使う人の立場に立ってリスクを低くする」ことである。
    そして、このような理念の元で作られたレバーブロックだからこそ、決められた使用条件の範囲内で正しく長く使ってもらいたいという気持ちが強いのである。
  • その為の安全な使用方法や適切なメンテナンスに関する研修会を、同社代理店を通じて開いている。
    また同社では、正しく使用してもらうために、全日本トラック協会が発行した小冊子「安全輸送のための積付け・固縛方法」に情報を提供している。

安全を提供するキトーのレバーブロック

キトーのレバーブロックは「安全に、使いやすく」を追求している。 まず小型・軽量化することにより、誰にでも使いやすく小回りの利く操作性を実現した。また、通常軽量化することで 弱まる耐久性は、素材や製法を見直すことで今まで以上の強度を持つ製品となった。

主な特徴は、以下の通りである。

・小型軽量化
独自の技術が今までにない小型・軽量化を実現した。持ち運びも容易にまた収納も便利になり、狭い場所での操作性も向上した。独自の遊転装置ユーテンニギリを引き上げるだけで、必要な揚程に素早く調整できる。
・ニッケルメッキチェーン使用
独自の研究開発により1000N/平方ミリメートルの高強度を実現した、世界最高レベルのニッケルメッキチェーン。強靭さだけでなく耐食性・耐摩耗性も併せ持っている。
・高強度フレーム採用
機械構造用炭素鋼のフレームを採用した一体構造。荷重支持部分には、高周波焼き入れを施工している。さらに板厚もアップし、抜群の強度を 実現した。
・レバー強度アップ
レバーの形状と板厚を見直すことで、レバー強度(曲げ・ねじり・レバー支持部強度)が一段と向上した。
・はずれ防止付きフッククラッチ
フッククラッチが確実に固定する構造を採用した。またフッククラッチの板厚をアップさせることで、変形・損傷に対し強い抵抗力を持っている。
・軽量化フック
容量の大きいLB025~LB090のフックは、機械構造用合金鋼を採用した。ふところの大きさを変えることなく軽量化を実現した
・確実なブレーキ性能(メカニカルブレーキ)
独自の構造による、強力な制動力を持つ乾式ブレーキ(ノンアスベスト採用)。
・安全性の高いガード付きシタカナグ
横引き作業中、クサリピンのナット、ワリピンの変形・損傷を防ぐガードの役目をする。
・袋ナット採用でメンテナンス性向上
ギアケースとブレーキカバーの締め付けには袋ナットを採用した。ネジを損傷することがなく、メンテナンス性がが大幅に向上した。

長く使うために

レバーブロックは、天候や場所を問わず様々な環境の中で使われている。だからこそ日常点検・メンテナンスが、必要不可欠である。またメンテナンスを正しく行うことで、長く使うことが出来るのである。

  • キトーが勧めるメンテナンス方法は以下の通りだ。
  • ・チェーンの摩耗、伸び、腐食、変形、キズの確認
  • ・フックの口の開き、摩耗、変形、キズ、フックの動き、フックラッチの確認(先端側と付け根側2ヶ所に突起印が付いているので、この間の距離を測ることでフックの開きやズレを確認できる)
  • ・ロードチェーン、フック首部、フックラッチ、クサリピン、ツナ ギジク(ウエフック取付け部)、キリカエツマミの軸部は常に塗油する。(本体内部のブレーキ部に油が入らないように注意する)
  • ・損傷してしまった部品については、部品単位での交換修理が出来る。

取材を終えて・・・

今回取材に応じて頂いた、株式会社キトー グローバルソリューション本部マネージャーの小泉浩一氏は、「使用するときに、間違えた方法をとると取り返しのつかないことになるので、まずは正しい使用方法をきちんと知ってほしい。その上で、我社の製品を選んでいただけるなら喜ばしい事です。」と述べた。チェーンは線材を仕入れ、フレームなどは鋼板、アルミではインゴットからのダイキャスト加工から製造するという徹底ぶりである。さらにチェーンは引っ張り検査、並びに完成後の全数規定検査を合格してからでないと製品として出荷されないのだ。普段おろそかにしてしまいがちな道具であるが、きちんとメンテナンスをして正しい使い方をすれば長く使えるのだと改めて実感した。

株式会社キトー 会社紹介

社名
株式会社 キトー(KITO CORPORATION) http://www.kito.co.jp/
本社工場
〒409-3853 山梨県中巨魔郡昭和町築地新居2000
東京本社
〒163-0809 東京都新宿区西新宿2丁目4番1号 新宿NSビル9階
代表者
鬼頭 芳雄
設立
昭和19年7月(創業 昭和7年11月)
従業員数
単独:650名 連結:2,094名(2014年3月31日現在)
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