運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事。(毎月第1週に更新)

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【第24回】 国際ロジテック株式会社(茨城県つくば市)

北関東の拠点から首都圏へのサービス展開を目指す

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国際ロジテック(本社・つくば市、篠田實代表)は1972年に一般貨物自動車運送事業免許(当時)を取得して運送事業を開始した。現在の保有台数は262台(軽貨物~10t車)で、従業員数は約330名、12年3月期の売上は20億円弱(11年9月にある荷主から撤退、今年8月にも荷待ち時間の長い荷主から撤退して拘束時間の短縮を図っている)である。

同社は1993年に現社名に商号を変更。2010年に本社をつくば市に移し、旧水戸本社を水戸本店とした。昨年8月には埼玉営業所も開設し、来年には群馬県にも拠点建設を計画中で、北関東自動車道に沿った拠点配置を進めている。これにより従来の常磐自動車道、東北自動車道に加えて関越自動車道、上信越自動車道とのアクセスも良くなる。日本海側の港からの荷物量が今後はますます増加することが予想されるが、北関東の拠点を核として将来は首都圏エリアへの物流サービスを展開しようとしている。

創業者の篠田實代表は、大手製菓会社の水戸営業所で営業をしていたが、自分で菓子を運ぶようになった。やがて大手製菓5社が菓子の共同配送を導入したのに伴って共配を行うようになり、さらに物流センター管理などの業務にも進出して積極的に事業内容の拡大を図った。96年には、いばらきコープ生活協同組合の宅配業務を受託し、以後、キッチンやトイレなど建築関連の工業製品の配送、大手食品卸の物流センター業務、家具配送大手との提携による県内家具配送、家電量販店の家電配送、引越サービスも行っている。

現在はつくば本社の他に、水戸本店(水戸市)、第一物流センター(同)、第二物流センター(同)、宇都宮営業所(宇都宮市)、埼玉営業所(春日部市)がある。また関連会社としては、エムエス(住宅設備水まわりアフターサービス)、エスアール(住宅リフォームおよび住宅機器販売、施工)、パシフィックワード(生保・損保、不動産取引管理)がある。

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事業部としては一般貨物事業(貸切、共配)、宅配事業(家電などの宅配)、コープ事業(コープの宅配)、引越センターがある。商品別にみると食品の取扱が多い。これは、いばらきコープの宅配や、量販店の配送、大手菓子メーカーの共同配送などを行っているからである。

菓子の共同配送では、同社の物流センターをハブにクロスドック方式で行う。メーカーからの持ち込み、あるいは同社の車両が引き取った各メーカーの菓子を、配送先別にセンターで仕分けして共同配送する仕組みだ。ドライの菓子でスルー配送を主に行っている。チョコレートなどは夏場にはチルドで配送するようにして品質の向上を図っている。

いばらきコープの宅配は、コープの県内全センターから会員個人宅への配送を茨城県内全域で行っている。建築関連製品は、千葉県八千代市などからの引き取り、あるいは各地から持ち込まれ、茨城県全域、栃木県と千葉県の一部エリアに共同配送している。

建設関連の配送では、設置工事、メンテナンス業務なども関連会社で受託している。家電製品は2マン配送で、代引きなどの業務も行う。2マンでの家電配送は土曜・日曜などが忙しい。それに対して通常のBtoBの運送は土曜・日曜は仕事が少ない。そこで、通常の運送と2マンの家電・家具配送を組み合わせることで、車両の稼働率や作業の平準化を図り、収益性を高めるようにしている。

このような同社の効率化への取り組みを建築関連でみると、従来は八千代市に引き取りに行き、水戸のセンターまで幹線輸送して積合わせ配送していたものを、つくばに拠点を移したことで往復約3時間の幹線輸送の短縮を実現している。さらに県南や県西は人口の流入に伴い建築着工戸数も増えていて配送先も多いが、クロスドックの拠点をつくばに移したことで配送車両の走行距離もかなりの短縮を実現している。燃料費などのコスト面はもとより、ドライバーの拘束時間なども短縮できた。

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このように国際ロジテックでは戦略的に拠点配置などを進めてきたが、来年に予定している群馬への拠点建設では、今後の増加が予想される新潟港など日本海側の港からの荷物に将来の狙いを定めているようだ。

まず最初は群馬県内に配送される荷物を確保するために、荷主の開拓を進めている。このようなことから群馬県の物量を考えると場所的には高崎が有力と考えている。関越自動車道や上信越自動車道の結節点の群馬に拠点を置けば、関東エリアを扇子とすると要に位置し、圏央道を含めて考えると関東エリアへのデリバリーが容易になる。

この点について、篠田實代表は「茨城を中心に栃木や埼玉の一部を配送エリアにして事業を展開しているが、物流は国際的になってきている。そのような中で関東エリアで自分たちに何ができるのか。まずは群馬県内での配送。次の段階で埼玉県の主要なエリアを押さえたい。その次の段階で首都圏に進みたい」という。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>