運送事業者レポート
TOP運送事業者レポートtop>2013年7月

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事。(毎月第1週に更新)

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【第33回】 株式会社ロジコム(佐賀県佐賀市)

社内ポータル・サイトでコミュニケーションを促進


 定期的に社内報を発行している事業者も少なくない。現在はパソコンを使えば社内で編集できる。何ページかのまとまったもので小冊子のようにするなら、印刷・製本だけを外注化しても良い。そこまでのボリュームがないなら社内でプリントして全社員に配布することもできる。たいていの会社では、社内報でトップの考え方や経営方針などを伝えたり、社内行事の案内や、社員紹介などをしている。

 この社内報をWeb版にしているのがロジコム(本社・佐賀市、鳥屋正人社長)だ。同社では「ロジコムグループ・コミュニケーション・ポータル」という社内向けのポータル・サイトを開設し、社内LANで全社員が見られるようにしている。これは社内のコミュニケーションを図っていこうという目的で開設しているもの。印刷媒体よりもビジュアルでコストも安いし、内容も随時更新できる。

 ロジコムは1962年の設立で、2005年に現社名になった。当初は建設重機や建設資材、農産物や肥料・農薬などを主に輸送していたが、その後、業務内容の多様化を推進した。現在では、一般貨物自動車運送の他に一時的な収納場所としてのコンテナのレンタル、農機具部品の受発注代行、在庫管理、ピッキング、軽トラックでの配送なども行っている。

 さらに最近はEC物流にも参入した。BtoC-ECの市場は年ねん拡大している。今後はさらに大きな市場に成長していくことが見込まれる。このような中で、自社で物流システムをインソーシングできないような中小のBtoC-ECや、店舗販売とネット通販を併行して行っている会社、地方の特産品を既存の流通チャネル以外にネット通販もしている会社などを対象に、フルフィルメント・サービスを提供している。また、関連会社では福祉用具のレンタルや販売ならびに配送などの事業も行っている

 同社には8カ所の営業所と関連会社があり、それぞれの部門で行っている業務内容も様ざまだ。これはどの会社にも共通することだが、自分が担当している業務には精通していても、同じ営業所内でも違う部門の業務内容についてはほとんど知らない、といった実態もある。同社も例外ではないという。

 そのような現状を変えていかなければ、会社としての力は発揮できない。自分の会社のどの部門でどのような仕事をしているのかが分からなければ、自分の担当しているサービスの営業はできても、営業チャンスをみすみす見逃すことになる。自社が行っている総てのサービス内容を知っていれば、自分が直接担当していなくても、顧客の要望に対応できるということで新規開拓ができる。つまり、自分の会社が行っているサービス内容を全員が知るとともに、経営者、管理者、社員相互間でのコミュニケーションを促進する目的で社内向けポータル・サイトを開設しているのである。

 このようなことから、「営業所紹介では、どの営業所ではどのような仕事をしているのかだけでなく、社員の写真もアップしている」(鳥屋正人社長)。同じ会社の社員なのに、電話で話すことはあっても、お互いに顔を知らないという社員がいないようにするためである。もちろん「社長から」というコーナーでは、社長の考えや方針などを載せる。社長の考えが直接、全社員に伝わるようにし、理解してもらうためである。

 この「社長から」は2日に1回ぐらいの頻度で更新しているので、出張先から更新することもあるという。また部長クラスは、最低でも1週間に1回は更新するようにしている。さらに一部の社員のブログも載せている。できれば全社員がブログを書くようになることが望まれる。1人ひとりの自己表現力を向上することが、企業としての力を強くすることにつながるからだ。良いことだけではなく、全社員が教訓をくみ取ることができるようにもしている。

 ポータル・サイトには、約150台のトラックに搭載しているドライブレコーダーの中から、ヒヤリハットなどの録画も載せている。担当者が全車両のドライブレコーダーの記録を毎日確認。その中からヒヤリハットなどの事例として全社員の注意喚起や教訓にした方が良いと判断したものを動画で公開するという方法だ。
 さらに自社で起こしてしまった事故も同サイトで社内に公開する。事故の場合はコメントもつけ、さらに事故報告書もPDFにして全社員が見られるようにしている。

 このようにコミュニケーションの促進に力を入れるのはなぜか。鳥屋社長は「社長と社員の距離をいかに縮めるか。そして65歳以上はセンター業務などに従事するようにして、18歳から70歳まで生き生きと働くことのできる会社をいかにつくるか。社員の中から様ざまな意見が自由に出てくる会社にいかにするか」を経営者としての大きなテーマと考えて取り組んでいるからである。。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>