運送事業者レポート
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運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事。(毎月第1週に更新)

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【第67回】 千代田運輸株式会社(東京都日野市)

ISO(道路交通安全)認証から2年「ゼロ災」を目指す



 安全は運輸業にとって永遠の課題である。交通事故だけではなく貨物事故も含めて事故ゼロを追求しなくてはならない。トラックでは様ざまな荷物を運んでおり輸送の種類は千差万別だが、そのような中でトラックと荷物が同一という特殊な輸送分野がある。陸送(商品車輸送)の自走輸送がそれだ。

 陸送には大別すると自走輸送と積載輸送がある。積載輸送は、自動車に自動車を積んで運ぶキャリアカーである。それに対して自走輸送は、納品する自動車を運送会社のドライバーが運転して届ける輸送である。つまり、運ぶ「商品」に乗務して運ぶ運送なので、万が一、事故を起こせば交通事故と貨物事故がイコールになってしまう。トラックの自走輸送を得意とする千代田運輸(本社・東京都日野市、水野功社長)は1953年に水野陸送株式会社(1956年に現社名に変更)として設立し、同年より日野ヂーゼル販売(当時)と商品自動車陸送契約を結んで陸送を開始している。

 現在では全国各地に17カ所の営業所を配し、関連会社6社、協力会社10社(協力会加入社)で様ざまな事業を行っている。従業員数は116名(うちドライバーは34名)、保有車両数は42台(大型車27台、中小型車13台、積載トレーラ2台)で、売上高は80億5300万円(2015年3月期)である。主な業務は、商品車輸送(自走輸送・積載輸送・船舶輸送)、貨物輸送(工場間部品輸送・一般貨物輸送・特殊貨物輸送)、引越しサービス、倉庫・拠点(部品保管・二次加工・JIT納品)、商業複合施設内の物流スケジュール管理、MOVE業務などである。それでもスタート時からの得意分野である自走輸送の比率が高い。商品車輸送が売上構成の60%を占めているが、商品車輸送では自走輸送が台数ベースで70%を占め、積載輸送と船舶輸送がそれぞれ15%ずつとなっている。だが、船舶輸送もモータープールから港までは自走輸送するので、自走輸送と同じである。


 自走輸送に限らず一般貨物輸送も含めて、安全をはじめ品質、環境は大きな課題である。そこで同社はISO14001(環境)を2002年3月に(本社・日高・CLC羽村・CLC日野・金沢)、さらにISO9001(品質)を2007年4月に(CLC羽村)、そして2014年3月にはISO39001(道路交通安全)認証を取得(商品車物流部・生産物流部・金沢)した。

 道路交通安全のISO認証取得から2年が経過したが、自走輸送を中心に、この間の道路交通安全の取り組みなどを紹介する。同社の自走輸送は、トラックのシャーシでの輸送だ。モータープールから、販社(ディーラー)や架装工場に輸送する。極めて少ないがユーザーであるトラック運送事業者にシャーシで自走輸送するケースもあるようだ。安全管理や安全教育などは一般貨物輸送部門と基本的には同じだが、シャーシ状態での自走は架装ずみのトラックの運転とは感覚が違い、経験が必要という。



 石崎謙一常務によると、シャーシ状態での運転は、@滑りやすい、A横転しやすい、Bスプリングが固い、C加速は乗用車感覚、などの点で完成車の運転とは違うという。また、大型車、中型車、輸出向け左ハンドルがあり、さらに車種も様ざまで、当日にならなければどんな車両を運転するか分からない。さらにデジタコなども、商品としてのトラックに乗務して運転するために車両に固定することができない。そこで同社の自走輸送部門では、持ち運び可能でシートに置くだけで機能する安全管理装置(ドライブレコーダ)を採用している。さらに、取り外し可能なバックミラーやサイドミラーなども揃えてある。輸出用の車両は、輸出先の国の基準に対応した仕様のバックミラーなどがついている。それで国内を運転するのは見づらかったりして危険なのだという。輸出の船舶輸送のために港まで自走するドライバーの班では、取り外し可能なバックミラーなどが必要なのである。


 ISO39001の認証取得への取り組みは2013年7月から始めた。「理由は社長の強い意志と、従来からの安全活動の検証として第三者機関に認証してもらうこと」(石崎常務)である。その結果、2014年3月に認証を取得。それから2年が経ち、@従来から取り組んできた安全活動を体系的に整理でき、これまでの活動が間違っていなかったことを確認できた、APDCAサイクルで進捗管理や実績が見える化できるようになった、Bサーベイランスの指摘を通して第三者の視点からの改善提案を受けることができる、といった成果が出ている。

 今後の課題は、@自社にとって最適な安全マネジメントシステムを構築し、協力会社を含む活動への発展、A効果・成果と経費削減・合理化・効率化など経営に寄与する活動への発展、B他のマネジメントシステムとの統合を通して企業活動マネジメントシステムの構築を目指す、などとしている。もちろん最終目標は「ゼロ災」の実現である。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>
(写真提供:千代田運輸)