業界人ブログ ― 「樋口 恵一氏(川崎陸送株式会社 代表取締役社長)」のブログ
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毎月11日更新

樋口 恵一氏(川崎陸送株式会社 代表取締役社長)

トラック運送業界の諸問題を論理的に認識し、実践者の立場で語れる稀有な経営者

樋口 恵一氏は、ご自身でも毎日ブログを更新中です。

「お客様の物流を止めない 〜川崎陸送 樋口恵一のブログ」も是非ご覧ください

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No.93 まずは停電対策から
2018/9/11 更新

 今年これだけ連続して自然災害が続くというのは誰しも予想外でした。特に水害の大きさは、地震に意識が傾きがちだった日本で、ある種驚きを持たれていますが、ここ数年、広島の豪雨や、茨城県常総市の台風の災害など、やはり水害も大きな問題であったのですが、なんとなく他人事でした。

 BCPはどこまでやればいいのかとも言われますが、私が翻訳をした『「事業継続」のためのサプライチェーン・マネジメント実践マニュアル』(プレジデント社)の著者、ベティー・キルドウさんに言わせれば「あっちもこっちも対応しようと思ったら、結局何も出来なくなる。先ずは停電対策から始めなさい。そして、シナリオは常に一つの災害に限定して予行演習をすること。その積み重ねが災害対応能力=レジリエンシーを発展させるのです」とのこと。
 水害なら水害だけのシナリオで対策を立てるということですが、キルドウさんは、やはり「停電についての対応」を最初にやるべきだと強調しています。そう、停電はどんな災害でも起こるし、隣の工場が火事になって自分の所だけが停電する可能性もあるからです。大規模災害ではなく、小規模災害でも停電は起こります。水害でも当然停電します。

 それにしても地震で全道停電いうのは驚きましたが、帯広空港は動いていました。他の空港は止まっていました。電源が喪失されたからとか…。関西地方を襲った台風の問題でもそうですが、こんなにバックアップ電源ってみなさん用意してないんでしょうか? 311の教訓があまり感じられませんん。

 貴社の倉庫や事務所にバックアップ電源はありますか? それがあるだけで、かなり枕を高くして寝ることが出来ます。それでも用意しない。自慢ではありませんが、弊社はすべてバックアップ電源を用意しているので一応安心。それでも水害や強風に対してはもう一度見直さないといけないと思っています。特に台風による強風でパレットが飛んでいってしまったりしたので。
「シナリオは常に見直していくことも大切」ともキルドウさんは言っています。納得です



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No.92 猛暑でエコドライブも夏バテ
2018/8/11 更新


 
先月号で「天災は忘れる前にやってくる」と書いたら、台風が2つもやってきて、12号は本当にスゴイ経路をたどって西にまっしぐら。台風というのは西から東へ進むものだという常識を大きく破り「過去の経験が通じない」というフレーズが何度も繰り返されました。13号も関東をなめるようにして過ぎ去りました。

 そして今年の猛暑です。当社でも永年「エコドライブ」を行ってきていますが、もっとも成績優秀な事業所でも、この7月は燃費がドライバーによっては8から15%期待値よりも下がっています。期待値というのは当社独自で出している「過去のその車の月間走行距離と燃費の関係」から割り出した、「この月間走行Kmだったらこのくらいの燃費が出ていいはず」という数字です。
 夏は期待値より低めの成績が出て、天候の良い春や秋は期待値を上回ります。ですから、期待値より8から15%低くなったと言っても、季節変動分を調整すれば実質は5から12%位でしょう。しかし、超ベテランでもこれだけ燃費が悪化しているというのが今年の印象です。当社始まって以来の燃費ダウン。さらに暑かった時期をストレートに反映して、最高気温が記録されたりした後の7月18日から24日くらいまでの燃費が極端に悪い。数字は正直です。

 猛暑の中で待機時間が長いと、どうしてもアイドリングをしてクーラーをかけていないとへばってしまいます。蓄冷式のクーラーというのはスペース的にもなかなか取り付けられない。「ここは無理をせず、季節が良くなる秋までは最少失点に抑える守りの運転。秋になって逆転しよう!」とドライバーが燃費を記入して報告する用紙に、私もコメントを入れました。
 軽油価格がじわじわと上がっているときに、燃費も悪くなるのでは踏んだり蹴ったり。コストアップ要因がまた一つ関係ないところから突然のように出てきます。さらに、台風の影響で再配達とか、道路の寸断で遠回りするとか、いろいろな「予測していなかった問題」が発生します。

 これら予測していなかった問題に起因するコスト増をどう吸収するか、なかなか難しい問題です。特に猛暑による燃費ダウンというのは、お客様に特別料金としてお願いできにくいでしょう。冬期割り増しというのがありましたが、これは猛暑割増!? 自動化できない運送業務には、さらなる工夫が求められます。



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No.91 天災は忘れる前にやってくる
2018/7/11 更新

 今回の西日本の大雨による被害で想像以上に多くの方が亡くなり、7月10日現在、行方不明の方が未だにこれだけ多いという事実に驚いています。被害に遭われた方々にはくれぐれもお見舞い申しあげます。
 しかし、こんなにたくさんの方がそれなりに治水などきっちりやってきたつもりの日本で亡くなったり行方不明になったりするのでしょうか? ここ数年、集中豪雨によって各地で被害が出ていましたが、100人を超える方が亡くなったり行方不明になるという水害は想像できません。
 岡山や広島は特に被害が大きいのですが、危険性が言われていて、今年治水工事を行う予定になっていた地区もあったようです。しかし、国が予算を取って工事をしてくれるのを待っていて自分たちの生活を守れるのでしょうか? 

 例えば大阪北部の地震で小中高校のブロック塀が問題になり、全国の公立学校のブロック塀が点検されるとことになりましたが、果たして「ブロック塀は小中高校にしかないもの」でしょうか? 自分が朝のウォーキングでもりもり歩いてみても、結構ブロック塀というのは「目立たない形」であるのが分かります。公立学校のブロック塀以上に何倍のブロック塀が存在するのでしょうか?
 公立学校のブロック塀の一斉点検を政府が指示しましたが、「全国の民間が所有するブロック塀の一斉点検」なんていうのは絶対に出ないでしょう。まして民間のブロック塀の補強・建て直しについてを国が補助金を出すなんてことはあり得ない。水害に対する治水工事と、ブロック塀の修理とどちらに優先順位があるでしょうか?

 こう考えてくると、「やっぱり自分で何か対策を考えないといけない」ということになります。低い場所に事業所がある、車庫があると言っても、果たして水が出てくる可能性がどれだけあるのか? 土砂崩れの心配はあるのか? そういったことを考えてみて、最悪の場合は移転するといったオプションも、実行するしないは別として考えてみないといけない時代でしょう。天候が極端になっていて、自分の施設を作ったときと前提条件が全く変わっていると思った方がよいほどの大雨です。

 逆に、今インドに建設している小さなソーラー発電式定温倉庫は、エアコンの室外機、ソーラー発電用の機械など、水害に対して若干ですがかさ上げしたところに設置しています。よくよく考えたら「インドの雨季=モンスーンは半端じゃない」というイメージが最初からあったから自然にそういう対応をするし、写真のようにエアコンの室外機をかさ上げして、さらにケージで保護するといった「盗難対策」までしました。

  事前にリスクを考えられると、こんな対応が出来ます。今回は事前ではなく、事後のリスク発見ですが、これから、そして来年も同様の集中豪雨が「忘れる前に」あるということを前提に、どうすれば良いかをきっちり考えたいと思います。

 

※写真をクリックすると拡大表示します


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No.90 人手不足の解消はやればできる
2018/6/11 更新


 
人手不足の問題。労務倒産なんて言うのがバブル期にあり、新車のトラックを買うときに、トラックの販社がドライバーを紹介して販売したという、笑い話のような営業がされていたというのも、懐かしい話しです。
 今は根本的に人がいなくなったので「トラックにドライバーを付けてセットで販売」なんてことは出来ません。それでも当時は人手不足でも車両の台数を減らした方がよいという考え方がありました。人の確保とか労務管理は大変だから、結局「傭車」で商売した方が簡単だという感じで、大手を中心に減車する方向に走り始めました。「固定傭車」とか「預け」とか言って、自分で持たないようになりました。現在のコンビニチェーンのシステム車も、ほとんどそんな感じです。でも、これは「下請けの中小零細運送会社がドライバーを採用できることが前提」の話しです。
 今はどうか? 中小零細運送会社ほどドライバーの確保が難しく、ドライバーはできるだけ安定した大きな運送会社で働きたい。あるいは荷役があまりないから(旅行鞄のハンドリングくらいしかない)バス会社で働きたい。さらには、毎日家に帰れるから工場で働いた方がいいや…。

 ここで考えて欲しいのが、「20○○年にドライバーが××万人不足する」という推計。もっとも過激なのは、ボストンコンサルティンググループが昨年出した数字で2027年に24万人、ほぼ25%不足するという予測です。でも、これって生産性を25%アップすれば解消するんでしょ? 簡単に言いすぎてますが。

https://www.bcg.com/ja-jp/d/press/Japan-press-release-27october2017-logistics-174826

 もちろん言うのは簡単です。そこで今、自社のトラックがどの程度待機を強いられていて、どの程度付帯作業で運転以外の仕事をしているかを考えてみてください。これは大変な時間数です。法律で荷受けする荷主が付帯作業について払うように義務づければ、こんなバカバカしい無料のサービスと低生産性はなくなります。なんで法律? 今我々がお願いしても、荷受側は運賃の支払いを直接はしてないので、その必要性を全く感じていないからです。

 いつまで経っても階段の担ぎ上げとか棚の整理、フォークリフトにドライバーが乗って格納作業を平気でやらせて「お客さんには言えないんだよね」という荷主企業に対して諦めているのであれば、これは法律でしっかり管理するという方向にするべきでしょう。商慣習を変えるときなのです。なにもしなければ次の10年、高齢化した日本でどういう問題になっているか? どうにかなるよという話ではなく、本気でこの状態を変えるべく、業界が一致団結すべきだと思うのです。この商慣習自体がグローバルにはおかしいのですから。やればできると思います。

 最後に、自動化で出来る部分は少ないと思っています。付帯作業が多すぎるから。



No.89 世界の人口は増えている
2018/5/11 更新


 先般、愛知県みよし市にある、愛知県トラック協会 中部トラック総合研修センターで行われた物流大学校、「物流経営士」資格認定講座でお話をさせていただきました。その中で申しあげたことの一つが、「日本は少子高齢化・人口減少という中、世界は人口が増えている」という事実。これをしっかり経営者は押さえておいてほしいのです。

 私が子供のとき世界の人口は36億人と覚えていましたが、今や73億人。2017年に国連が発表した人口予測では、上振れしたとき、中くらいの時、下振れしたときの数字3通りを予測していて、最も起こりそうな場合を想定した「中位推計」で、2050年に97.7億人。かなり先ですが2100年にはなんと112億人! 世界中の人の動き方が変わるし、当然モノの動き方も変わる。そのときに物流や自分の仕事はどういう影響を受けるのか? 少なくとも輸入食料の価格はかなり上がるので、物流も変わる可能性大。国内でサンマが不足していると言われても、中国の方々にサンマは美味しいよと宣伝して、中国国内の日本料理屋さんでサンマを出しているのも日本人です。

 新興国からもっと人を呼ぼうという話もあるけれど、果たして彼らにとって日本が働きやすい環境なのかを考える必要もあります。え?日本は安全で給料も良くて働きやすいのでは? と思うかもしれませんが、ビザの問題、そして日本語の問題を考えると、普通に英語が通じるシンガポールやドバイに行った方が簡単。韓国も英語が通じやすいですね。さらに、英語は通じないけれど、これからなんと中国も労働力不足になっていきます。労働力の誘致合戦が起こることが十分予測されます。そのときトラックは自動運転で対応できるのでしょうか?

 
いろいろな意味で、我々の職場もグローバル化しないと、単に給料をアップしていれば人が来る時代ではないし、世界から本当に来てくれるという保証もありません。10年後、20年後に自分の会社をどうしたいのか? どうなっているのか? マクロ的な視点というと大げさですが、この世界人口増加の問題は確実な未来であるだけに、人とモノの側面からしっかりと考えていかなければならない課題です。
ということで、物流大学校で学んでいるみなさんには、こういう将来に対しての自分なりのビジョンを描き出してくれればいいなと思っています。



No.88 国策としての物流人材育成が必要ですが…
2018/4/11 更新


 完全雇用に近い2%台の失業率と言っても、結局は製造業の雇用者数は減っていて、サービス業(特に介護の分野)と小売業での雇用が増えている=安い賃金での雇用が増えている、という図式ができあがっているようです。だから好景気なのに賃金がなかなか上がらない。製造業に比べてサービス、小売りの付加価値が少ないのは当然です。

 この連載ブログの第1回目に「Cheap Labor(チープ・レーバー)に対抗する」と題して書いたのが以下:
「文房具の宅配、スーパーの宅配、ファーストフードの宅配、いろいろな物流サービスが生まれてきているが、よくよく考えるとすべて「安い労働力=Cheap Labor」を前提としたビジネスモデルになっている。要するに「運ぶ」という仕事、あるいはそれに関連する倉庫内の仕事などすべてが「安い労働力」を前提としないとこれらビジネスそのものが成り立たない。」

 労働力不足とは言うものの、小売りやそれに付随する物流の仕事そのものの付加価値がまだ低いので賃金が上がらない、結果として人が集まらない現実があります。付加価値を上げると言っても限界があるでしょう。ロボットだとか何とか夢のような話しをする人がいるけれど、現実的にドローンを一体何機・何台動かせば解決するのか? 自動運転のトラックが大量に街中を走ったら、大渋滞になりませんか? 荷役作業の自動化もそれなりに進むと思われますが、自動化を前提とした商取引慣行といったルールの変更をしなくてはならないでしょう。なんでもかんでも当日だ、翌日だという配達や、棚入れとか検品をドライバーにさせるといった慣習を変えていかないと、さらに自分で自分の首を絞めることとなりますから、やはりそういう仕組みを作り、推進していく人材が必要になるでしょう。

 4月になって新入社員が入ってきました。高校や大学にも新入生が入ってきます。物流の教育を早い時期にしておかないと、こういった問題を現実的に考える機会がないまま、その他の分野に就職。物流の必要性を感じる頃には、ほとんど打つ手を持たない立場にいるという将来が予想できます。だから自動運転やドローンが解決策だと簡単に考えてしまう。
 就職の口がよくないから物流を教えても学生が集まらないという現実もあります。さらに学生が集まらないから物流を教える先生が育たず、先生そのものが高齢化してきています。教える人すらいなくなるという現実に直面しつつある今、国策としての物流人材育成を考えないといけないのですが、まだその切迫感が日本にはありません。それでも、できることをやらなくてはいけない現実を認識しながら、どうやって事業を継続していくかは、物流業だけでは済まない、あらゆる産業そのものの問題になろうとしています。



No.87 先を読めるようにすることが大切
2018/3/11 更新

 今年も3月11日が巡ってきました。あの大災害によって、我々の仕事や生活が災害を意識したものになったのか? それとも風化が始まっているのか? それが問われる時期に来ています。

 この2月から3月にかけて、当社が手がけているインドでのソーラー発電式小型定温倉庫の建設で、漆喰工事に派遣した職人さんの一人が現地コルカタで、突然の心筋梗塞で亡くなりました。3月に入ると、当社の社員が体調を崩して現地の病院に入院するというアクシデントがありました。まさに危機管理であり、会社としての対応についても初動が大切。そのために:

1) 最初に「一呼吸置いて」どう対応するかを考える。
2) 正確な情報を集め、決めたことをぶれずに実行する。
3) 情報の流れを一元化して、噂や間違った情報で組織が動揺しないようにする。
4) 事実を事実として、省略しないできちんと伝える=正確なコミュニケーション
5) 常に次はどういう流れになるのかを予測し、対応を考える。

だと思いました。完璧ではないけれど、こういう思考回路を持って対応すれば自分自身が動揺しないし、ぶれない。ただし、海外で人が亡くなり、ご遺体を日本に搬送するなどといったことは、当然ながら今まで経験したこともないので、最初は途方に暮れました。とにかく情報を集め、経験者に意見を聞き、次に何が起こるのかを知りたかったというのが事実。結果、現地にいる当社の社員にも次にどういう流れになるのかを、可能な限り伝えることができたと思っています。

 先が読めれば人間はそんなに慌てない。これはどんなことにも共通するでしょう。だからこそ、被災地の復興や将来について「先が読めない」というのは、政治の怠慢というか、国がきちんと決めて方針を明確にしないことに責任があると思います。曖昧にしておくという美徳もあるかもしれませんが、危機管理には不要です。あとはこういう意識が風化しないようにすること。それが一番難しいのかもしれません。


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No.86 安全は社長のわがままでも押し通す
2018/2/11 更新

 2月3日(土)横浜の大黒ふ頭で省燃費運転の研修会。2月7日(水)愛知県トラック研修センターで、トラックドライバー安全運転研修会を、広域運送事業協同組合として主催し、両方に立ち会ってきました。
 参加させられた?トライバーには苦痛かもしれないけれど、やっぱりこういう研修は必要です。研修の中から何か一つでも気付いて頭の中に入ってくれれば、それだけで事故は減ります。省エネ運転も「ゆっくり発信、早めのブレーキ」が基本だからこそ、追突事故などが少なくなります。
 あとは経営をしている我々が、こういう機会をどれだけ能動的に作れるか? 忙しいからではなく、事故を起こしたらどれだけ大変かを考えることが大切です。

 とは言え、こういう研修の効果も持続して1ヶ月です。明日は「一時停止に注意しよう」とか、来秋は「右折の時の死角に注意しよう」と思っていても、来月になったらどうか? 3ヶ月もしたら完全に忘れている可能性大。だからこそ「頻度」が大切だと思うのです。
 「なくて七癖」の自分の変な自己流の癖を、添乗した指導教官に指摘をしてもらうことも大切でしょう。指導に使ったトラックに同乗させてもらうと、私が見てもドライバーの癖とかいろいろ分かってきてしまうから不思議。交差点で大回りしがちな人、小回りしがちな人。センターラインぎりぎりに寄って走る人、左のミラーを見たつもりになっている人など、なるほどねーと感じます。
 あとは指摘を受けたことを一つでも「明日から注意しよう」と思うかどうか? その意識を継続するための仕掛けとか工夫をしなくてはならないと実感しました。

 もちろん、こういう同乗研修でなくても、自社の駐車場で自前でできるようなことがいろいろありました。ある意味「ネタ」をいただいた感じです。これを私が持って帰って社内で言うと「また社長が…」と言われるんでしょうけれど、やっぱり事故は起こしたくないから、「社長のわがまま」として安全にはこだわりたいと思います。



No.85 軽貨物と普通トラックを分ける必要があるのか?
2018/1/11 更新


 あけましておめでとうございます。本年もご愛読の程、宜しくお願いします。
齊藤先生、森田先生の話題もドライバー不足への対応です。たしかにこれは深刻な問題なので、新年早々いきなりですが、普通トラックと軽トラックの区分をなくしてしまうことを提案したいと思います。

 
そもそも論ですが、自動車を軽と普通に分けている国は日本だけです。さらに運送業でもそれを分けている根拠が今は希薄です。軽自動車の方が税金が安いというのも、ある意味今では通用しない論理。さらに運送業界では、軽トラックが普通トラックに乗り替えてたくさん参入してきたら供給過剰になって大変だと騒いでいたのも、今や人手不足になったらそんなこと言っていられないのでは?

 軽貨物の方々が2トン車に乗れるようにして、傭車として起用できればかなりの戦力になるはずです。国交省の発表によると、軽貨物自動車の事業者数や車両台数(各年の3月31日現在)は以下のような推移をしています。

      車両数   事業者数
2015年  253,592    154,842
2014年  249,301    154,299
2013年  247,024    155,796
2012年  247,134    156,327
  ※車両数には軽の霊柩とバイク便が含まれます

 まあ、ほとんど変わっていないと言えば変わってませんが、車両数は微増。25万台が全部参入することはないでしょうが、10万人足りないとか15万人足りなくなると言われているドライバー不足に、これは丁度良い数字では? もちろん軽貨物も高齢化してきている事実を忘れてはいけないでしょう。宅配は軽を雇って使えば問題が解決するというわけではないのです。さらに、普通のトラックに乗った方がたくさん荷物が積めるので、特に地方では採算と効率が上がるでしょう。よって軽貨物自動車そのものは減っていく。そうすると通販の宅配が大変になるのでしょうか? 私にはそうは思えません。1t車という選択もあるのですから。

 妙な線引きなどしていないで、貨物を運ぶトラックはトラックとして扱い、事業そのものを分けるといった必要はないと思うのです。新年早々ですが、いかがでしょうか?




No.84 未来を語るのは素敵ですが…。
2017/12/11 更新


 最近思っていることの一つに「どうもみんな未来のことばかり語っていて、現実から逃げてない?」という、私なりの疑問があります。

 少子高齢化による人手不足が甚だしい日本の物流業界では、自動運転などに代表される「自動化」や、ドローンによる配達が「人手不足の切り札」ともてはやされています。しかし、それってみなさんの会社で「いつ現実になるのでしょうか?」と聞きたいです。それよりも前に、オリンピックが近づくにつれ、どう対応するかを考えるべきで、そのときに自動運転で配達するトラックが普及しているなんてことはあり得ないのです。

 だから、2020年のオリンピック前後の都内配達をどうするか? セキュリティーが厳しくなる中、配達の効率が悪くなることは必定で、集配に要する人員の数も増やさないと行けないでしょう。そういった、より地に足の付いた計画を今から検討しておくべきでしょう。
 たしかに、将来を語ることは夢があってすばらしいのですが、ニュースなどに出てくる自動運転、ドローンによる配達などは、すぐにでも実現しそうな感じですが、2年後に一斉に普及している状況を想像するのはムリです。それ以上に人の確保をどうするか? 募集の方法が誤っていないか? 待遇面の見なおし、職場環境の改善、業務のスリム化とか効率化をどうするか?を考えることが大切だと思います。
 さらに問題なのは、そういった効率化をリードしていく人材が少なく、システム化をしようにも、システムに長けた能力を有する人材も不足していくという現実です。

 11月25日(土)に当社のQC小集団活動の発表会があり、予選を勝ち抜いた11チームが参加しました。今回は会社側からの要望もあり、できるだけ「時短」とか「作業の効率化」につながるテーマに挑戦してもらいました。実際にそれに応えてくれた多くのチームは、やればできるということを証明して、それなりに労働時間や残業の削減、少ない人員でも作業ができるように改善の結果を出してくれました。「目先のこと」と言えば聞こえは悪いかもしれませんが、それでも10年先のことをまことしやかに話して、現実から逃げているよりはるかに必要なことだと思うのです。

 ということで、年末に未来を語らずに終わるのもなんですが、2018年が皆様にとって良い年でありますことを、お祈り申しあげます。



No.83 新しくなった約款とどう向き合うか
2017/11/11 更新


 11月4日から新しい「標準貨物自動車運送約款」がスタートしました。と言っても、既にお客様と契約書を結んでいれば、そちらが優先で、標準約款は飽くまでも「契約書がない場合はこれに則って料金をいただきますよ」ということ。だから、明日から堂々と「待機時間料」とか「付帯業務料」を請求できるわけではありません。まさにこれからのお客様との交渉次第。
 当然「そんなのもらえないよ」という声があると思いますし、事実そういう状況であることに変わりありませんが、ここまで国が真剣にトラック運送事業者をサポートするために、料金体系のよりどころ(料金の目安ではなく)を作ってくれたことは大きいと思います。

 いきなり値上げというのはできる場合もあれば、できない場合もあるでしょう。ただし:
1) 今の料金が貸切で5万円だとしたら、その内の4千円が「待機時間料」、3千円が「付帯業務料」ですといった定義をする。なぜなら、今の料金は待機をしてもしなくても、付帯作業があってもなくても同じだからです。だからそういうことがなければ、運賃本体料金は42,000円ですと示すこと。
2) 見積に、○○市〜××市 増トン車 一運行貸切料金 5万円 と書いた後に「本料金には2時間以上待機した場合の待機時間料金、及び卸先でのフォークリフトを使った貨物の取り卸しや棚入れ業務の料金は含まれていません」と明確に書いて示すことが大切になります。

 
今まで何にも考えないで、単純に大型1台貸切5万円、といった「込み込み料金」でやっていた我々も悪いのですが、それが世間一般で通ってしまっていることから、先ずは「運賃と料金は別なんだ」ということをきちんと分かってもらう努力をすべきでしょう。

 その点からすると、森田さんがおっしゃっている「消費者は宅配便しか見ていない」というのは事実で、宅配の運賃とは別に諸料金があることなど、消費者は全く理解していません。その最たるものが再配達料金。自分自身が再配達料を払うのに躊躇しているのであれば、新しい約款で定義された諸料金を、お客様である荷主企業に理解してもらうのは、なかなか大変なことなのです。だからこそ、今回の約款の改正を契機に、腰を据えて対応しなくてはいけないと思っています。



No.82 運送事業の利益率アップのために知恵を絞る
2017/10/11 更新

 森田さんが当ブログでおっしゃるように、働き方改革と生産性向上は表裏の関係にあります。生産性を上げる=儲かる商売をしないといけないのですが、ドイツは労働時間が短くて(なんと年間1393時間!)自由な時間があるといった報道がされています。そこで、OECDのデータを引っ張り出して、各国の年間総労働時間、税金などを払った後の世帯の可処分所得、最後に若年層(15〜24歳)の失業率を比較する表を作ってみました:


 これをご覧になってどう思われますか? 当然平均だから、月間最大293時間に比べたらどの国も短いですが、メキシコ・韓国・ギリシャが大変だなと分かりますし、北欧は労働時間と所得は良いけど、失業率が大変です。そして、ドイツはたしかにスゴイ!時短ができていて、所得も高い。だけど、日本よりは失業率がかなり高い。フランスの現政権も、ドイツが行った非正規労働者の増加と、解雇が簡単にできるようにする政策に倣おうとしていて、マクロン新大統領の支持率が急落しているとか。でも、フランスの数字を見ると複雑です。日本以外の国は「若者の失業率」が大問題で、ドイツも東ドイツと一緒になった後、10%以上の失業率に悩んでいました。高所得の西ドイツが所得を下げることで、ある意味東ドイツの失業率を吸収してきた側面があります。

 「我々の業界は特殊なんだ」といつまでも言っていると、自動化などで時短を進めている業界に人が流れ、誰でもより働きやすい所に行ってしまいます。それによって若者の失業率が上がるから、我々の業界に来てくれるでしょうか? それはかなり難しいと言わざるを得ないでしょう。今のままでは…。
 結果として「モノが動かなくなる前に、自分の会社が動かなくなる」ということになります。「トラックが止まれば世界が止まる」と言いますが、その前に自分の会社が止まらないように、生産性を上げることすることが第一です。
 
 さて、われわれトラック運送事業者の「粗利率」はどうでしょうか? 当然低いから「薄利多売」をしなくてはならない状況です。運送だけで利益率を高めるのはなかなか難しいでしょう。だからこそ、「合わせ技」で全体の利益率をアップしていくしかない。そのために、運送の川下に行くか、川上に行くかという経営判断も出てくるのだと思います。付加価値を付けると言うのはたやすいのですが、それを実行するのは大変です。でも、それをすることこそ経営の責任だと思っています。車を預けっぱなしでは儲からないし、働き方改革もあり得ません。


No.81 雇用のミスマッチが本当に現実になっていく
2017/9/11 更新

 過剰サービスがある意味「日本のおもてなし」であり、「世界に優れた日本のサービス」 しかし、「超労働集約的」で「ホワイトカラーの生産性が非常に低い」のも事実。なぜ?と問われれば、みんなでちょっとだけ「値段が高くて非効率なこと」をすることで、雇用を維持していると私は勝手に理解しています。事実OECD加盟国の中で、日本ほど若年層の失業率が低い国はありません。世界では「若い人々の失業」が問題であり、それが常識。日本は例外です。

 最近は効率を上げるということが、どの業界でも人手不足への有力な対応策として取り上げられています。わが社もカイゼン活動などを通じて、生産性を上げよう、効率化しようとがんばっています。
 ここで問題となるのは、効率化をすると自動化などが進むので、そこで省力される仕事というのは、単純労働に近い物からとなります。逆に自動化する機械を管理するとか、整備するとか、そういう仕組みを作るとか、今までよりも高度な仕事をする人へのニーズが出てきます。すると、スキルのあまりない人達の行き場がなくなります。

 例えば通販がどんどん普及していくと、小売業界が大きな影響を受け、従来型の店舗がある小売店の雇用が少なくなっていくでしょう。トイザらスの経営危機は、その最たるものでしょう。通販業界が増やす雇用の数よりも、実店舗が減ることによる雇用減の方が大きいのは明らかです。小売りや飲食はこういった低スキルの労働力を吸収してきていただけに、そこで余った労働力が、高度化した別の仕事に就けるかというと疑問です。いわゆる「雇用のミスマッチング」が起きます。

 
では、そういう人達がトラック運送業界に来てくれるだろうか? 労働環境が変わらないと難しいでしょう。
 2012年にマッキンゼーが発表したレポートでも、世界で2020年には:
 大卒・大学院卒が3,800万人から4,000万人不足(13%の不足)
 発展途上国では中程度の教育を受けた人材が4,000万人不足(15%)
 低スキル労働者は9,000万人から9,500万人余剰(11%の余剰)!
とあります。

 日本は大学進学率が50%を越えてきていますが、高スキル労働力と言える大卒がどの位育成されるのか?に将来がかかっています。取りあえず大学に行ってみるという話しでは、低スキル労働者になってしまう恐れがあります。数字の上では失業率が大変低く、人手不足の日本ですが、「必要な人がいない」という人手不足になる可能性が高くなるでしょう。
 物流の世界でも、自動運転ばかりでなく、少ない車で運ぶ仕組みを作る人、高度な配車をシステムを使って行う人など、高スキル労働力が求められるのです。



No.80 こんな所にも規制緩和の影響?
2017/8/11 更新

 アメリカのFederal Motor Carrier Safety Administration(連邦自動車運輸安全管理局)が、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査をトラックや鉄道の運転手に課す規則の改正を取りやめる決定を下したようです。さらに、昨年から検討されてきた、アクセルを踏んでも一定のスピードまでしか出せない「スピードリミッター」の装着義務化も延期したようです。え?アメリカではスピードリミッターは付いてないの?と思われる方もいると思いますが、そういうことなんです。

 昨年来アメリカでは法的に検査を強制すべきとの前提で、居眠り運転の原因の一つ、SASをチェックすることが検討されていました。それが延期。どうして?と思いましたが、トランプ政権の下では「新たな規制はできるだけ作らない」というのが方針。だから、SASだなんだと言っていろいろ規制を作っては、民間の自主的な活動を邪魔するということ。なるほどねー。こういう所にも規制緩和が来るんだと、ある意味感心というか、勉強になります。

 
これがよいのか、悪いのか?は分かりません。日本でもSASのスクリーニング検査は自主的な検診=推奨検査とされていて、法的な義務はありませんが、全日本トラック協会から検査費用の補助が出されています。スピードリミッターは日本ではとっくに義務づけられていますね。
 当社もSASの検査については実施していますが、たしかにこれは運送会社としての「安全に対する自覚」の問題です。ただし、自覚がない運送会社をどうするか? だから規制が必要だという意見もあるでしょう。難しい問題です。これ一つだけ取ったら確かに規制を強化しても良い感じですが、規制というのは一つ増えると、似たような物が「これも、あれも」という感じでどんどん増えるというのも事実。大きな政府、小さな政府の議論はこんな所にも影響してきます。
 ハッキリ言えることは、日本は「経済面では規制緩和」ですが、安心安全に関しては「規制強化」です。だからウーバーは日本では難しい。貸切バスの事故に代表されるように、一度事故を起こしたら、それに対する国民の反応があまりに大きい。「事故は許容範囲の内」と割り切ってしまうか、割り切らないかの違いが日米の差でもあると思います。



No.79 再び現実的な話として… トラアポ
2017/7/11 更新

 アマゾンの軽貨物の個人事業者を大規模に動員というニュースはいろいろなところで話題になっているので、国土交通省自動車局貨物課による「貨物自動車運送事業者数」というデータを調べてみました。

 全国の貨物軽自動車における運送事業者数(軽霊柩,バイク便含む)の推移は、各年3月31日現在で:
平成24年 157,769者(車という意味ではなく、事業者の者です)
平成25年 156,327者
平成26年 155,796者
平成27年 154,299者
平成28年 154,842者 となっています。

 軽霊柩とバイク便を含んでますから、実際はこれより少ない。かなりの数で減っているのでは? ここにも高齢化の波が押し寄せています。そう考えると、1万車を組織するというのは、本当に大変なことです。新規に軽貨物市場に入ってくる人がいないということなので、トラック1万車というのはなかなかの%であります。(事業者と言っても、軽は個人が多いので)

 こう考えると、台数を集めると共に、やはり車の回転率など効率を求めないといけないことが分かります。過剰なサービス、過剰な仕様、それも料金が余りいただけないものをどうやって少なくしていくかも大切でしょう。その意味では、再配達を防ごうというキャンペーンが行われていて、大変スバラシイと思っています。

 当方では、エル・スリー・ソリューションから「貨物積み降ろし受付予約システム、トラアポ」(という名前を付けました)を本格的に6月から京都にある倉庫で稼働させ、24時間スマホからドライバーが予約を取れるようにしました。倉庫の混雑状況もスマホから一発で分かります。
 倉庫の作業をしている人でも、事務所の人でも、ドライバーでも、みんなに情報を前広に提供することが大切。そうすれば、何かしら事前に段取りのために考えてくれるはずだと思っています。要するに現実的なことをやって、少しでもトラックの回転率が上がらないか? 倉庫も効率が上がらないか?ということです。
 
 8月1日にはいよいよiOS版もリリースします。できることを一つずつでいいからやっていかないと、この問題はいつまで経っても解決しません。再配達をなくす取り組みを見習いながら、予約を取ろうキャンペーンもがんばっていきたいと思います。



No.78 現実的な話として…
2017/6/11 更新

 人手不足、賃金の上方硬直性、自動運転トラックによる配達、宅配ボックスなどが議論されています。一足飛びに解決の糸口を見つけたいと言うことで、世間一般、特にマスコミはITの将来を夢のように語り、今年、来年の目先の問題をどうするかについては議論していないような気がします。

 ドローンで一個ずつ配達すると、見上げる空の上にどれだけのドローンが飛び回ることになるのでしょうか? 仮に将来完全自動制御で運行させるとしても、空を飛ぶドローンの数に変化はなく、すさまじくなりませんか?
 自動運転のトラックにロッカーを取り付けて無人の配達。さて、ロッカーは一台にいくつ入っていて、一運行で何件分運べますか? 今、配達員のみなさんがデリバリーのトラックに積んでいる荷物の数は非常に多く、人力で押している台車の中に入っている荷物の数もかなりです。町中無人の配達トラックがあふれるくらい走らないと追いつけません。田舎でも同様でしょう。

 今の自動化、無人化は、物流の基本中の基本「積載効率」を無視してないか? ITはそのスピードによって、集約しなくても1対1での計算・処理を可能にします。一から全部数え上げてしまうのが得意。でも、物流はモノが動きますから、1個ずつ運ぶには大量のドローンや自動運転トラックを必要とするので、人手不足に対する解決寄与度は小さいと思うのです。
 駅などに宅配ロッカーを設置する…。これだと単純に配達先が増えてしまいませんか? マンションの住人が全部駅で受け取ってくれればいいけど、今現在、宅配をほとんどしないところに、大量の宅配便が到着するようになります。そもそも、駅の構内に荷物を持っていくこと自体、大変なことではないでしょうか?

 本音の部分で「戸口に置いていっていいですよ」という選択肢をできるようにしたらどうでしょう? 宅配便の黎明期には、玄関先に置いていくのが普通に行われていました。海外では今でも当然のように行われています。
 通販でも玄関先に置くのがOKなら、若干割引があるというのはダメですか? あまり難しくない単純な方法が期待されます。盗まれたら? 貨物保険があるでしょう。それに盗まれる割合は全体でどの位? そのリスクと再配達のコストを考えたら、盗まれた方が社会的コストはずっと安い。そういう合理的な考え方をしないでなんでも100点満点を望んでいるから今の問題になったのでは? まずはそういった「サービスレベルダウン」の議論から入って、技術がすべてを100点満点で解決してくれるという夢から目を覚ました方がよいと思うのです。



No.77 中継輸送と人口の集中
2017/5/11 更新

 丁度このブログの原稿を送るギリギリで、「はこBOON」というネットオークション用に出品する荷物を送るサービスが中止になったとのニュースが出ていました。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1705/09/news094.html


 梱包材を入れたりして嵩張る荷物も、全部重量ベースで運びますと…。それを商社などから請け負っていたヤマト運輸が値上げしてきたので、サービスを継続できなくなったのでしょう。
 それにしても、これほど非常識なサービスが続いていたとは驚きです。容積勝ちの荷物でも何でも重量で運ぶなんて、採算が合わなくなるのは最初から見えてますね。発泡スチロールの緩衝材だけを1KG送るということになったら、運賃は1KG分ですか? 大きさはどの位になるか分かってるのだろうか? こういう「物流のセオリーを全く無視したサービス」というのを商社などが平気でやらかすから問題なんだと思います。もっと物流勉強しましょう!

 さて、物流を教えていらっしゃる齋藤先生が中継輸送について書かれているので、それに続けて私の意見を…。

 先月号で書きましたが、日本の長距離輸送をどうしていくか、将来像を描いて国民的なコンセンサスを得るべくPRしなくてはならない時期に入っています。人口が関東圏と近畿圏に集中し、この2つの地域は圧倒的な「消費地」となります。このため、中継輸送も長期的に見ていくと「片荷」となり、上り貨物ばかりになる可能性があります。
 中継輸送は上りと下りの車両台数バランスが取れないと長続きしません。荷主であるメーカーや卸の会社がこのことを理解していただき、ある程度の在庫調整をして上下貨物のバランスを取っていただけないと、空荷のトラックを中継することになってしまいます。採算が合わない中継輸送は当然成立しませんから、中継輸送ができる範囲は全体で見ると、貨物のバランスが取れている所だけに限定されてしまいます。事実、筆者の関係する会社でも、一時的に減便したり、増便したり(元の台数に戻したり)と、いろいろ調整が必要になっています。

 情報を一元化して、ウーバーや求荷求車のようにマッチングする機能を提供できないか? ここで問題になるのが、40フィート、45フィート、53フィートなどと言ったコンテナ、トレーラーのように企画が統一されていないという問題。いわゆる単車で、ジョローダーが付いてる、付いてない、床フックがあるとかないとか、ラッシングレールが2本ある、1本しかない、などなど千差万別。帰り荷を積む際に、荷物を固定する作業をドライバーが行わなくてはならないので、これが問題になります。いわゆるコンテナを使う場合、ドライバーにそういう作業負担はありません。

 海外はトラクター・トレーラーの組合せで、スイッチ輸送や中継輸送が自然にできあがってます。まずはトラックのボデーをもっと標準化して、さらに荷物の積み方も標準化、規格化していかないと、中継輸送もなにも「仕様が同じ車、貨物同士」という、限られた範囲での取り組みしかできないでしょう。それを実証実験だと言っても、ドライバー不足に大きく貢献するとは言えません。もちろん、ごく一部でもこういう努力はすべきですが、もっといろいろ変えていかないと、この人で不足は解消しないでしょう。

 以上、今月は長くなってしまいました。スイマセン。



No.76 日本の長距離輸送の将来像をどう描くか
2017/4/11 更新

 4年に一度改定する「総合物流施策大綱」を検討する「総合物流施策大綱に関する有識者検討会」という国土交通省の委員会に参加させていただいています。2月から始まり、3月31日で3回目が終了。あと3回で大綱をまとめ上げて、その後閣議決定される、日本の物流のこれから4年間の指針となるものです。

 前回策定時に結構話題となった「グリーン物流」や「日本の物流の海外進出」というのがほとんど影を潜め、とにかく人手不足と物流業界の労働環境改善がメイン。それを克服するための「効率化」「規制緩和」旬のテーマです。
 宅配便に代表される(要するにみんなに分かりやすい)人手不足とか再配達の問題ですが、それに加えて日本の長距離輸送をどうしていくか、将来像を描かないといけないと思っています。

 人口が関東圏と近畿圏に集中し、この2つの地域は圧倒的な「消費地」となっています。鹿児島とか青森などの遠隔地から様々な物資がトラックで運びこまれ消費されますが、それもドライバー不足で難しくなってきています。さらに5年後には労働時間の上限が運輸業にも課せられてきます。そこで「モーダルシフト」ということで、鉄道や船舶にシフトすることが考えられますが、そもそもどの輸送手段に移ったとしても、上り一辺倒で下りの帰り荷が少なくなるということに変わりはありません。だから鉄道も内航船舶も採算性がどんどん悪化していくことが予想されます。北海道にはJR北海道の「維持困難路線」の問題もあります。

 こういう現象をどう克服していくつもりなのか? 対策を打たないと地方の産業に必要な足がなくなり、産業そのものが成り立たなくなります。また、国内生産と消費がアンバランスになり、結果として「外国から持って来た方が安い」という流れができてしまうでしょう。その傾向が出てきている農産物の代表例が鮭や鶏、豚肉です。地方活性化のために産業を興そうといっても難しくなり、日本の将来の人とモノのあり方が問われています



No.75 いろいろな意味での危機管理が必要
2017/3/11 更新

 今年も3月11日がやってきました。この時期になるとマスコミは震災、防災特集を組んでいます。しかし、日常ではBCPという言葉そのものを聞く機会も少なくなってきました。危機管理の意識を持つというのは、日本人にはなかなか難しいようです。その典型が「銃を所持する」ということ。アメリカ人にとって「身を守る」こと=危機管理ですから、良いとか悪いとかの以前に、銃の所持が必然となってきます。
 テキサスに行くと、デパートなどで売っている婦人用のハンドバッグには、裏側にジッパーで開け閉めができる小さなポケットが付いています。小型の銃を入れる「Gun Pocket」というやつです。大抵のハンドバッグに付いています。家族に見せたら「えーーー!」という反応。だからアメリカ人の知り合いと現地で一緒に食事をするときも、銃の話しはしません。どんなにいい人でもその場で「銃を持ってるよ」と言われたら、日本人の私にはどうしても耐えられないから。

以下のURLで、どんなものか実際にご覧になって下さい。マウスを合わせるとどういう具合に入るか分かるようになってます。
https://www.womensholsters.com/collections/cute-concealed-carry-purses

あるいはこんなホームページもあります。
https://guntotenmamas.com/

 しかし、地震や火災に備えることは銃を持つこと違って、やってはいけないことではありませんから、どんどんやるべきです。

 ヤマト運輸の問題に端を発して、大手のマスコミが急にドライバー不足を報道してくれるようになりました。これによって荷主を含め世間一般のみなさんにも理解が拡がったと思います。逆に問題は「こんなに大変な業界なんだから、就職するのやめなさい」なんて家族が言いかねない状況になってくるのではという不安です。マスコミはどんどん「トラックドライバー残酷物語」的な報道をしてきています。さて、どうすべきでしょうか?  
 我々の業界そのものを正しく伝える方法がなかなかありません。特にテレビはどうしても「視聴率が取れるように」ニュースを作りたがるので、視聴者に分かりやすい宅配便に偏りがちです。本当に人手が足りないのは、もっとも大量の貨物を運んでいる建築資材とか、原料系なのに。

 同様に、アスクルの火災も「倉庫は窓がなくてなかなか消火できません」と何度も報道されました。一般の方にとっては初めて「倉庫は窓がなくて危険なんだ」というイメージが植え付けられました。これから倉庫で働こうという方々にとって、どういう風に伝わっているのでしょうか?
 これらの問題も業界にとって「危機管理」ですから、われわれが積極的に発信していくことが必要です。「送料無料」が当たり前だと思っている人が多いのは、それだけ宅配に対しての価値を感じているようで実は感じていないから。感じていれば料金を払うはずです。
 コンプライアンスなど、自身の会社をきちんと運営することは当然ですが、例え小さくても、物流事業者がブログでもなんでもいいから発信していくことも大切でしょう。我々のイメージを変えていかないと、業界の問題は解消しません。物流って本当は面白い仕事だということを。


大震災から6年。BCPについて、もう一度考えてみませんか?

なぜ3.11で日本のサプライチェーンはストップしてしまったのか!
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ベティー A.キルドウ (著)  樋口 恵一(訳)

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No.74 運輸、倉庫にOR的発想を
2017/2/11 更新

 2月20日に大阪で開催される、日本倉庫協会主催の「中小倉庫業経営者セミナー」で、パネルディスカッションのコーディネーターを今年も務めます。今年のテーマは「物流とこれからの情報化」 昨年東京で行ったテーマは「少子高齢化とこれからの倉庫経営」 流れとしては、やはり人手不足に関連していて、情報化をどうやって効率化、省人化につなげていくかという会員のニーズに応える形となっています。さらに、グローバリゼーションによって長くなっていくサプライチェーンに、システムがどう対応していけばいいのか? 内容は盛り沢山で時間内ではとてもカバーできないので、限定テーマでお話ししていくしかありません。

 運送も倉庫も、さらにはどの産業でも人手不足。IT化、ロボット化が叫ばれています。ただ、自動運転とか、アマゾンで使っているような倉庫内ロボットを導入するとか、見た目が派手な対策もありますが、そういうものではない「地味な改善」「地味なIT化」がまずは大切だと思います。

 オペレーションズ・リサーチ(Operations Research=OR)という言葉をご存知でしょうか? ウィキで見ていただくと、戦争からNPOに至るまでいろいろ応用範囲が広いのですが、ちょっと難しく書いてあるのでとっつきにくい感じがあります。でも、私がアメリカで最初に授業で習ったケースは、有名なマクドナルドが硬い樹脂製の椅子を採用している理由。お尻が痛くなるので、来客一人当たりの店舗滞在時間が短くなって客の回転率が上がり、売上げが増えるというもの。その他にも、倉庫内の動線を変更してフォークリフトの移動距離を最短にする改善とか、トラックが接車する倉庫のバースの間隔を広げたり縮めたりすることでトラックの出入りをスムースにして、回転率をよくするとか…。応用できる範囲は様々です。大層な数学的知識がなくても、まねごと程度にできることは一杯あります。

 例えばトラックだったら、配達のルートを変えてみることで、総走行距離と時間を短縮する。積込みの順番を変えて、時間短縮するとか、なんだそんなことかというのが多いのです。たった1Kmの距離短縮でも、年間240日稼働すれば240Km それが10台いたら2,400Km 1リットル当たりの燃費3.5Kmとしたら…。
 OR的な発想をもって改善すること。それを支えるためにITを使ってデータを採って分析してみること。そういう取り組みが無理なく長続きするのだと思います。

 
ちなみに、2月20日のセミナー、日本倉庫協会会員のみ参加可能ですので、全ト協は…。申し訳ありません。



No.73 適正運賃の前にまずは稼働率
2017/1/11 更新


 あけましておめでとうございます。今年も当ブログを宜しくお願いします。

 厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関するアンケート調査(企業調査)」(平成25年度)によると、中小企業の運輸業における常用労働者の離職率で運輸業は6.2%だそうです。しかし、福祉の11.8%、医療・保険の9.3%と比べたら、実はまだ低い数字です。
 とは言え、単純に100人のドライバーが100台のトラックに乗っているとして、6.2%ということは年に6人が退職するということです。その補充に3ヶ月(募集で2ヶ月、入社までと研修で1ヶ月)かかるとすると、毎年6台の車が3ヶ月=延べ18ヶ月車休車していることとなります。
 100台x12ヶ月−(6台 x 3ヶ月)=1,182ヶ月 1,200ヶ月分動いてフルですから、98.5%の稼働率 運賃を1.5%アップしてもらっても今と同じということです。しかし、実際にはこんな数字ではありません。6.2%は従業員全体。半分は事務職ですので、ドライバーの離職率は実際にはもっと高い。どの会社も10から20%の車両が遊んでいるのでは?
 例えば上の計算を15%で計算し直してみると:
 100台x12ヶ月−(15台 x 3ヶ月)=1,155ヶ月=>96.25%ということになります。5%運賃を上げてもらっても、残るのはわずかと言うことになります。

 
適正運賃をもらえるようになったとしても、遊んでいる車両がいたらそれだけ利益を食われてしまうのは当然です。ということは、運賃を上げてもらわないで遊休車両がいればさらに悲惨な状況になるのは自明。上の例ではストレートに売上げが3.75%減る(100%-96.25%)ことになりますから大変です。当業界の経常利益率の低さを見れば、これはすぐに赤字転落ということを意味します(仮に今黒字だとして) 

 募集期間と教育期間にさらに時間がかかっていれば、もっと悪化するし、事故を起こして休車している日数も加算すると、これは大変なことになります。下車勤や修理に2ヶ月掛かったなんて言っていれば、この%はもっと低くなっていきます。
 運賃のことを言う前に、いかに100%稼働させるかということの方が大きいのですが、募集しても集まらない=トラックが稼働しないということに対して嘆いているばかりでなく、知恵を絞らないといけないでしょう。

 そして、当然ですが、回転率を上げることでも、少ないドライバーで多くの仕事をできるようになります。預けっぱなしでなにもしていないと、このままやっていくのは難しいと思います。稼働する車両数が減っていってしまうからです。自分で配車をすることをせずに、これからの時代は乗り切れないでしょう。



No.72 頭の体操が必要
2016/12/11 更新


 アメリカに加えてインドに行くことが多くなり、自然とアメリカ、日本、インドを比較するようになりました。アメリカは何のかの言って、やっぱりアメリカンドリーム。上昇志向がある奴が多い。チャレンジ精神という奴ですね。インドは同じ上昇志向と言っても昭和40年代の日本に似ていて、とにかく「良い生活を勝ち取りたい」し、その下にいる人達は「生きるために働いている」から、真剣度合いが違う。もちろんものすごく多くの人が諦めてもいるけれど。

 日本はと言うと、住みやすくて、居心地の良い世界になって、なかなか上昇志向が見られなくなりました。「ほどほどでいいや」という感じがあり、とがっている人が少なくなりました。安全で、衛生的で、それなりにコンビニがあって簡単に食べられて…。
 だから、家から通いたい、転勤したくないと言う人が多くなってきた。そして少子高齢化。アメリカとインドでは車の宣伝がすごいし、家具の広告、住宅の広告もスゴイ。空き家どころか、家が欲しい人達であふれているから、家具も当然必要です。テレビで家具の宣伝って、日本ではまずないですよね? 介護用ベッドがある!? 赤ちゃん用品の宣伝もアメリカ・インドは多い。日本は高齢者用のおむつの宣伝はあるけど…。人口が増えるというのはそういうことなのだと、今さらながら再認識します。

 私自身は縮小するマーケットと、伸びゆくマーケットの両方を行ったり来たりして直接比較ができるから、頭の体操になっています。合理化ばかり考えているけど、インドの倉庫ではなるべく機械化しない方がいい。なぜ? 人が多すぎて仕事がないから。さらには人のコストの方が機械より安いから。なるほど…。縮むマーケットのことばかり考えていると、自分の頭も収縮してしまいそうです。

 さて、日本の若い方々は今の状態を前提にしていますが、やはり労働力不足でアジアからいろいろな人が来るようになると、自分の立ち位置はどうなるのか?考えているでしょうか。
 例えばトラックドライバーが人手不足で大変です。それが突然外国人労働者OKになって、そういう海外からの出稼ぎや移民の人を我々が使いこなせるでしょうか? 今の日本の若者がそういう人達と一緒に働く、指示する、管理するなんてことができるでしょうか? 品質を維持できるかという問題です。問屋さんに行って、ちゃんと向こうの人が指示するように棚入れできるでしょうか? でも、そういう人達しかこの仕事をやってくれる人がいなくなるかもしれないのです。

 いつまでも今の状態は続きません。こういうシミュレーションをしておくことが頭の体操として必要なのではと思います。



No.71 あなたの本業は何ですか?
2016/11/11 更新


 齋藤先生、森田先生のコラムで取り上げられている労働力不足や人材育成の問題。結局は生産性をアップすることや効率化に行き着くとされています。事実、100万人いる緑ナンバーのドライバーも、たった10%の効率改善で計算上は90万人で済むことになります。すると、あっという間にドライバー不足は表面的には解消。さらに、オリンピック後に景気の下降局面が来れば(今でもデフレ的な値下げがまた始まっていますが)、需給関係はあっという間に「トラックの供給過剰」ということになりかねません。

 よく聞く言葉に「うちは零細企業だからやりたくても何もできない」という言い訳があります。冷静に考えれば我々は資本主義の下で働いているわけですから、やっていけなくなったら撤退するしかないわけです。それが嫌であれば、いろいろと知恵を絞るしかありません。撤退というのは最後の手段で、どの業界でもあるのは「合併」などの業界再編です。

 日本の場合、自分の作った会社だから自分の会社を売るという選択肢を選ぶオーナーが少ないのは事実。あるいは、会社自身の負債が多いので(簿外を含め)売り物にならないという問題もあるでしょう。それでも、何らかの形での「スケールメリット」を追求しないと、いつまでも「20両以下の会社が80%弱」という状況では、価格の支配権を荷主企業に持たれ続けてしまいます。たしかに「自分がいつまでも社長でいたい」という気持ちはあるのでしょうが、社長の仕事というのは「会社の将来にとってベストの選択肢を選ぶこと」であって、自分にとってのベストではないと思います。自分にとってはベターくらいでいいのではないかと。

 先日上場したJR九州は不動産業が全体の60%にもなっていて、東京都都内でもマンションを作っています。JR西日本も三菱重工の不動産事業部門を買収する予定だそうです。もう鉄道会社と言えなくなっています。それもすべて生き残りのため。いつまでもトラック運送事業しかできない、零細だからできないという考え方をどこかで変えなくてはいけないでしょう。「自分の本業は何?」ということを経営者はもっと突き詰めて、会社の継続を考えなくてはいけないと思います。大きくても小さくても、このことは同じです。

 最後に、今年も11月19日(土)に東京海洋大学の越中島キャンパスで、学生による物流研究発表会を開催します。今回で8回目。なんと10の大学が出場してくれるようになりました。学生のフレッシュな発想での物流・トラック運送事業・サプライチェーンなどについての研究の成果を聴くことができます。
 まだ、観戦の申込みを受け付けていますので、NS物流研究会のHPからお申し込み下さい!



No.70 4年後に自分の会社はどうやって食べていくか?
2016/10/11 更新
 日本の個人消費が上がらないという報道が続いています。長生きして、定年退職後に年金と自分の蓄えで生活する年数が25年もあるのですから、みんな心配になります。元々は15年もない前提で設計されていた社会保障制度がこうなることはみんな知っていたけれど、しっかり「先送り」をしてきました。
 働いてきた年数が40年くらい。その後が25年。ということは、単純に計算してしまうと、毎月の給料の40年÷(25年+40年)=61.5% しか使えないことになる。残りの25年のために38.5%を貯金しないといけない。もちろんこの中に年金も含まれています。それがかなり目減りするという心配もあるので、当然今使える61.5%をさらに少なくしていく=消費が減って物量が減ります。

 今はたまたま人手不足という問題もあるので、なんとなく物量とそれを運ぶトラックの数が均衡しているように見えます。
 このままいくとトラック運送業界は発展しないことになります。世間ではネット通販や宅配が成長しているのでドライバーが足りなくなっているという「錯覚」があるようですが、実際には宅配が占める物量はわずか。建築関連が全体の輸送量の40%近くにもなっていることは、輸送統計を見れば明らかです。(”日本のトラック輸送産業 現状と課題 2013” 全日本トラック協会)
 この4割をも占める建設資材が1割減るだけでも全体の4%の物量に影響があります。オリンピック後を考えれば、それがどの位のインパクトがあるか? 自家用が多いじゃないかという意見には、確かにダンプでの砂利・砂・廃棄物が多いのですが、それらが減ったときに、ダンプのドライバーがどこに行くのか? トラックは供給過剰にならないでしょうか?
 
 物量が減っていく前提で、運送業として何をすべきかを各社が真剣に考えなくてはならないときにあります。今日、明日の配車だけ考えていたら、恐らく生きてはいけない。4年後に自分の会社はどうやって食べていくのか? 元請けがすべてで下請けがいけないわけではなく、下請けであれば4年後にどういう下請けとしてのサービスを提供していくか?を明確にすべきでしょう。
 物量は減る、ドライバーは高齢化する、両方減っていったらどうなるのか? 各社各様の状況があるし、歴史もあります。しかし、みんなに平等に確実にやってくるのがこの課題でしょう。経営者として考えることが求められていると思います。


No.69 受付予約システムをついに展示します!
2016/9/11 更新

 「トラックの待機時間を短くするために予約の仕組みを導入しよう」と言ってきて、もう何年になるでしょうか? 私のライフワークの一つになってきました。一昨年の国際物流総合展で「受付システム」を展示しました。今回9月13日(火)からお台場のビッグサイトで開催される「国際物流総合展2016」では、24時間スマホから予約ができる「貨物積み降ろし予約・受付システム」として、受付と予約のシステムをセットで展示します。
  正式発売は来年の1月からですが、物流展がこの時期にあるため、ここでPRしておかなくては!という出展です。

 先月号の森田先生のブログに、「業界の社会的地位の向上を図りたい」というテーマが語られていました。自分の会社の内容を良くすることが大切であることは当然です。だから私が言いたいのは、森田先生と同じ方向にある考え方で、「自分でやれることをやっていく」ということ。文句を言うばかりではなく、まずは小さいことで良いから自分でできることをやって、現状を変えていくことが大切だと思うのです。
 積込み場所で予約を取っても、降ろす場所で待たされるからと言う人がいます。それでも1時間短くなっただけで、さらに毎月20日間それを同じ場所でやっているのであれば、毎月の拘束時間を20時間も短縮できます。なんでもかんでもいきなり100点満点なんて取れるはずありません。まずは30点でも50点でもいいから取りにいって、ドライバーの働く環境を少しでも良くしていきましょう。他人任せではダメです。

 当社の関東営業所(埼玉県坂戸市)と京都営業所(京都府久御山町)では、もう予約を取ることが当たり前になってます。もちろん改善する部分はありますが、ドライバーにも倉庫側にもメリットが出ています。だけど、これをマネする倉庫がなかなかない…。待つのが好きな日本人?

 是非、お台場で開催の国際物流総合展2016、(株)エルスリーソリューションのブースにいらっしゃってみてください。
以下のビデオの最後に出てくるQRコードから、なんと「優先説明の予約」ができます! ドライバーが予約を取ってセンターに来場する状況を疑似体験してもらう展示です。みなさんの理解と行動がドライバーの働く環境を良くしていきます。


<国際物流総合展2016>

会 期:2016年 9月13日(火)〜 16日(金)10:00 〜 17:00

会 場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)

◆ 株式会社エル・スリー・ソリューション
小間番号 : 1-705(東1ホール) 下記略図をご参照ください。


No.68 情報は足で稼ぐ
2016/8/11 更新
 今月もまたインドに行ってきました。足繁く通っていると、どんどんいろいろなことが見えてきます。「よく来るねー」と訪問先のインドの皆さんも驚いてくれますが、行けば行くほど教えてくれる。やっぱりネットでだけ調べていてもダメだと実感します。
 多くの人に会えば会うほど、多角的にいろいろな意見が聞けて、それによって自分の判断がより立体的にできるという確信みたいなものがあります。情報集めすぎて収拾がつかなくなるという意見もあるでしょうが、なんせ自分が全く知らない国なんですから、情報が多すぎることはないと思います。数えてもまだ11回しか行ってません。それで全部分かった気になどなれないし、中小企業の当社がそんなに簡単に「損して構わない」というようなつもりで投資できるはずもありません。もっと経験を積めば、もっと簡単に投資する余裕もできるのでしょうけど…。

 これだけ通い込んでいると、当初の目的以外にも運送や倉庫についてのヒントがおまけで出てきます。発展途上国だからなんてバカにしていられない。逆にそこに地元ならではの知恵があり、そういうところは「おいしいとこ取り」した方がいいです。やっぱり知恵は現場に転がっています。

 西ベンガル州のコルカタ(カルカッタ)にいると、バングラデシュが隣で、ダッカがすぐ近くだという感じで、妙なリアリティーを持ってテロ事件のことも考えさせられます。日本にいるときとは違う感じで同じニュースに接する。この辺も「感性」というか、「肌感覚」を鍛えるのにはいいですね。そう考えると、自分の足で歩くことは本当に大切で、ますますいろいろ情報がほしくなってきます。

 他社を訪問したり、いろいろな会社のやり方を勉強するというのはどこでも同じ。たしかにITだとかいろいろ技術の進歩はありますが、それ以前の問題として、中小企業には絶対量としての情報が足りないという現実をよく認識する必要があります。だからこそ自分の足で情報を稼ぎ、それを自社に持ち帰って応用してみることが大切。そこに多くの時間を費やすことが経営者の大事な仕事だと思います。



No.67 我々は遅れている!?
2016/7/11 更新
 
 一昨年来インドに行き始めて、この6月末から7月の訪問で10回目になりました。毎回物流関係の方々にもお会いするので、いろいろと話しを聞くことができ、かつ大変勉強になっています。

 大手物流事業者は別にして、インドのトラック運送事業者のIT化は実はかなり進んでいます。50両から100両の中堅規模だと、相当IT化している。トラックの見かけでだまされてはいけない。ドライバーの容姿でだまされてもいけない。そこそこERPが入っていたりして、車両一台当たりの収支から、回転率、積載率、稼働時間などみんなデータを持って分析しているのは当たり前。スマホでも見えるようになっているし、受発注や、ドライバーへの連絡もシステム化されていて、インド版のLINE、「WhatsApp」を連携して使ったりしている。へーー、と思っていろいろ突っ込んで聞いていると、それはごく当然という話。この国のIT革命はすごいんだなと思いながら、現場もどうにかならないかと思ったりしています。道路などインフラはダメですが、ITならどんどんできちゃう。できるところからやっていっているという点は見習うべきです。

 さて、翻って我々のIT化はどうか? なんとなく「ほどほど」のところで止まってしまっている気がしないでもない。配車の指示や連絡がドライバーを含めてみんなスマホで見えるようになっている会社って、ほとんどないのでは? 
 かれこれ20年とか30年前にアメリカの物流事業者を訪問したときに「アメリカの物流は面積が広いから参考にならないね」という意見を言う人が多かったのを思い出しました。当時から管理の仕方とかシステム化は相当進んでいて、配車システム、倉庫管理システム、運賃支払い代行サービス、マンパワー管理システムなど多彩でした。一人当たりの生産性をきちんと把握して、作業量に対して何人の人間が必要かなどをきちんと計算して配置していました。トラクター・トレーラーばかり見ていてもしょうがない。

 そう考えると、まだまだトラック運送事業を効率化するためのIT化の余地はいくらでもあり、それを進めて行くのが経営者の責務だと思いますし、今の状態に満足していることはできません。山のようにIT化するネタはあります。遊んではいられないと思う10回目のインド訪問でした


No.66 ほどほど感が怖い
2016/6/11 更新
 毎年恒例の銀行、株主の皆様に、川崎陸送のこの3月の決算内容を説明させていただくべく6月10日(金)から各社訪問を始めました。
 少子高齢化で物量が減る中、川崎陸送もまた、売上げダウンと減益を強いられました。ただ、将来を見据えて厚木に倉庫を確保し、神奈川県内の共同配送のベースにしようという考えで、かなりの先行投資をしたことが減益の理由にもなっています。リスクを伴いますが、常に先を見てやっているつもりなのでご理解を頂きたいと説明しています。インドで倉庫を作ろうと考えているのもその一貫。どうして好き好んでインドに行くんですかとよく聞かれますけど。
 もちろん毎年必ず利益を出し、成長を続けないと株価が落ちてしまう上場企業とは違い経営に自由度があることは事実

 われわれのやっていることはお客様のモノをきちんとお届けすることですが、この30年強で、環境が恐ろしく変わりました。
 消費のスタイルがものすごく変わり、食費を節約するようになりました。外食が低迷する中、「中食」と言われる市場が大きくなりました。高齢化でドライバーの平均年齢は上がりました。コンプライアンスも厳しくなりました。消費者の食の安心・安全に対する意識は猛烈に強くなりました。昔は温度管理をしていなかった商品が、どんどん温度管理を必要とするようになりました。リードタイムも短くなりました。

 自社が時代にマッチするようにいろいろ工夫をする必要がありますが、なんとなく「この程度で十分」と思っている人も多い。一定の売上げ、一定のトラック保有台数になると、「結構がんばってきたからこのくらいで上手く運営していけばいいよね」というスタイルの経営に変わり、本業に割く時間が短くなっていきます。トラック協会の支部でも自主廃業する方が多くなってきています。当たり前ですが、片手間でやっていける商売じゃない。
 常に会社を成長させようと思ってやっていて初めて現状維持ができます。個人でも、自宅から通えるところで就職したいとか、管理職になると大変だからこのままでいたいとか、さらには給料これだけで十分。これ以上は働きたくないとか…。
 「ほどほど感」が蔓延していくことが恐ろしいと思っています。



No.65 震災によってモノの動きが変わる
2016/5/11 更新
 今回の熊本の地震の影響で、被災地への支援物資がなかなか上手くハンドリングできていないといった問題もありますが、それ以外にも、いろいろなモノの流れが変わってきそうです。それは、道路などが復旧してきたというだけではすまない問題だと思っています。

1)海外メーカーはこの5年間で2度の大きな地震があったことで、日本の地勢的リスクをかなり深刻に考え始めています。日本製の部品調達比率を下げる可能性があり、それに対応して、さらに日本のメーカーの海外製造が加速しそうです。これは日本全体に言える問題です。

2)熊本・宮崎・鹿児島といった人でも有数の農水産業県が道路網を寸断されたために、関西や東京方面への農産物などの輸送が滞りました。また、生産県である熊本が物資を供給できなくなり、福岡などの大都市圏に関西方面から供給しなくてはならなくなり、いわゆる「上り貨物がなくなって片荷になる」現象が起きています。トマト、ピーマン、ナス、牛肉といった農産物を思い描いていただければ、お分かりになると思います。長距離輸送の採算が合わなくなってきています。

3)この問題によって、さらに九州方面の長距離ドライバーが少なくなる可能性があります。

 余震が長期化すると、これら3つがさらに深刻に捉えられて、新たな動きが加速するでしょう。自分の会社の顧客がどう対応していくのか? それに伴って自社のトラックの動きがどう変わっていくのか? どう対応すべきなのか?
 311が世界的に伸びたサプライチェーンの脆弱性を示してしまいましたが、海外企業はBCPをさらに発展させ、一次業者から二次、三次まで細かく登録し、代替え生産地をどう確保するかなど、精力的に動いて来ています。そこに今回の地震で、調達比率を下げようとする動きが出てくるのは自明。
 自社の得意先の調達関係、供給関係の動きをしっかり見ていくことが大切だと思います。
 ひとつ災害が起こったら、自社のどの供給先が被害を受け、どの製品に影響を与え、それを防ぐためにどこから代替え生産をしてもらい調達したらいいかを示すソフトが売れているのですから。



No.64 入場料を取る焼き肉屋さんと同じ?
2016/4/11 更新
 流れとして、齊藤先生のアマゾンのお話しを続けます。今月はちょっと分量多めです。

 アマゾンのビジネスモデルは「スケールメリットの追求」それ以外なにもないようです。「できるだけ基本的な(プリミティブとアマゾンは表現しています)ツールを提供して、自分が想像を超えた、みんなの圧倒的な創造力を刺激するのだと。結構有名になった創業者Bezos 氏の1997年の株主向け書簡には、「我々のビジネスモデルの可能性を現実にするには、規模の経済が中心的な役割を果たすと考えるからこそ、成長を最優先にするのです」とあります。
 コストコは年会費の収入で全体の利益が出ているようです。粗利率が11%だそうですが、それだけでは販管費をカバーできません。アマゾンもある試算では「プライムメンバーが5千4百万人いて、一人99ドル払うので、合計53億ドルの収入になっている」と。これって、6千億円! この部分は手つかずです。もし6千億円の利益だけ出せばいいのなら、一般商品から粗利をそんなに取らなくてもよくなります。すなわち価格競争力になります。
 身近なところでは、入場料を取る焼き肉屋さん。とても安いけどどうして?と考えると、入場料が利益。あとは粗利部分で間接費用をカバーしてトントンでOKというビジネスモデルです。ただし、アマゾンやコストコは焼き肉屋さんよりもスケールの大きさが圧倒的に違います。


 アマゾンの最初のビジネスモデルは、アマゾンWebサービスでしょう。これを一般にも開放して料金を取っています。ということは、メインの顧客がアマゾンの通信販売そのものであって、本業は通販ではなく、Webサービスのネットワークを提供することになります。その核となるのが、世界各国にいくつあるか分からないと言われるデータセンター。同様に、物流のフルフィルメントセンター(私は倉庫とか簡単な名前でいいと思うのですが…)をたくさん作って物流ネットワークを提供しています。中国の子会社をフレートフォワーダーとして登録したとかで、まさにインターネットのサービス同様に、物流のネットをインフラとして提供して料金を取ろうとしています。一部ではこれをアマゾンが利用者に課している税金だと…。たしかに言い得て妙です。その方が起業した人にも、かなり高度な物流とITネットワークのサービスを簡単に提供できます。一流企業と同様のネットワークをすぐに持てる! これはスタートアップには魅力でしょう。

 唯一違うのは、データセンターは人がそれほど必要ありませんが、物流のネットワークは人が必要。だから配送でもウーバーみたいなこと(アマゾンフレックス)や一時間以内の配達も始めています。1時間以内の配達なら、受け取る側はどこであろうが、不在にしないというのが、このサービスの利益率が高い秘密でしょう。 
 しかし、アメリカでもヨーロッパでも日本でも人手不足です。規模の経済を物流で追う場合、果たして「人」が付いてこれるのか? UPSでもFEDEXでも、ヤマト、佐川でも中小の運送事業者でも人手不足は同じです。アマゾンだけが人手不足を解消できるとは思えません。その意味で、ウーバーのようなサービスに対して規制緩和が必要になると思います。まさに「第三の矢」なのですが、既存の運送業に対しての「安全面での規制」とどう両立させるか? 運送業ならワンボックス車両での配送でも、ドライバーに適性診断をしたり、点呼の義務がありますね。旅行業でも、民泊がその先鞭を切っているので注目です。

 アマゾンのビジネスモデルが日本で通用する保証はありませんが、そもそもこれだけインターネットと物流を「スケールメリット」だと判断して、とことん集中した事業はありません。われわれもアマゾンを利用しながら物流を提供する時代が来ているのかもしれません。もちろんその分手数料を払って…。


No.63 風化させてはいけない
2016/3/11 更新
 毎月私のブログが更新される11日の内、年に1回は東日本大震災の日になります。マスコミも3月上旬になるとこの話題が多くなります。昭和33年3月3日生まれの私は、今月58歳になりました。それはともかく、かなりの方々にとって、記憶・意識の風化が始まっているのも事実。
 この大災害を経験として、いかに将来の災害発生時に対処すべきか? 最近は語られることが少なくなっているのでは? BCPのセミナーの数もめっきり少なくなりました。いつまでもセミナー受けてればいいという問題ではないのですが。

 2月20日(土)に、川崎陸送の埼玉県にある2つの事業所を対象に「物流管理システム」(在庫管理や配車の管理などをするコンピュータシステム)が朝、出社してみたら止まっていて、復旧までに3時間かかる想定の訓練を行いました。地震、風水害、はたまた火事だとしても、結果停電してシステムが止まるというのが一番考えられる災害だからです。
 システムの系統が別になっているその他の営業所についても1月に訓練を実施しましたが、実はリアリティーが足りず、どうも締まりのない訓練になってしまいました。今回はそのときの反省を踏まえて実施。
 何が原因で停止したかも不明という想定なので、至急沖縄にあるメインのシステムを埼玉県にあるバックアップシステムに切り換えます。切替えなど復旧に何時間くらいかかるか、管理職とキーとなる従業員80名近くにシステム担当からツイッターで一斉に連絡。各事業所や営業はお客様に連絡を入れたり、在庫が夜間にきちんと更新されていたか?正しいかの確認をしたり、遅れてしまう事務処理の応援を増やす段取りをしたり等、考えられる対応を行い、逐次報告をします。

 こういう予行演習は、たまに行っておくだけで、実際にシステムが止まってしまったときなどに大変役に立ちます。とにかく慌てないで済む。さらに、業務にどんな支障が出るか想定をして、対策を立てておけます。なにもやっていない、経験していないと、慌ててしまい、結果としてミスをします。みんな「こんなの大変だし、面倒だよな」と内心思っているかもしれませんが、いざという時にこの経験を実感してくれると信じています。営業所を司る管理職の意識の向上がとても大切なのですが、それ以上に私自身もBCPについての意識を風化させてはいけないと思うのです。



No.62 買い物難民も問題だし、高齢化するドライバーの職場確保も問題
2016/2/11 更新
 齋藤先生の書かれた「ネットスーパーの商品配送を主要な業務として、高齢化に対応したいくつものサービスを付加したビジネス」による複合的サービス。私にとってこれはかなり難しい問題だと思っています。要するに、私が古いのかもしれませんが、物流の基本中の基本から逸脱しないといけないから。

1 見守りとかすれば、当然配送効率が下がる。トラックや配送員の滞留する時間は本来ミニマムにしなくてはなりません。

2 ネットスーパーのピッキングや配達に関わるコストを抑えるためには「安い労働力」を確保しないと成り立ちません。高齢化の中で、運ぶ方も高齢化し、少なくなっています。

3 そもそもこれらのサービスを提供する顧客に「サービスに対する負担能力」があるのか? もしかして行政による補助金を前提にしたビジネスモデルにならないか?

 スキーツアーバスの事故から、「安かろう、悪かろう」という言葉が言われるようになり、サービスにはコストがかかるという認識がちょっと出てきました。しかし、相変わらず低価格でサービスを提供しようとしていないか? 

 実は、私どもの会社でも買い物難民対策のビジネスができないか検討をしています。しかし、このビジネスは高齢化していくドライバーの対策という側面が大きいのです。50後半から60歳を超えて大型を運転し続けることは辛い。2トン4トンも担ぎ上げとか、荷物を抱えて、台車を押してという仕事は辛くなり、さらには事故の原因にもなります。歳を取るとトラックの荷台から飛び降りたら骨折。そんなはずではなかったんですが…。

 だから小さなトラックでスピードを出さずに巡回するサービスは、ある意味高齢者向けで、事故のリスクが低い仕事ではあります。トラック運送事業者にとって、買い物難民以上に、60歳を超えて、65歳まで働かなくてはならないドライバーの安全な職場をどう確保するかが、トラック運送事業者の経営的な大きな課題だと思っています。



No.61 求人の情報は多ければ多いほどいい
2016/1/11 更新
 新しい年を迎えましたが、今年はやっぱり人手不足、ドライバー不足の話題からでしょう。自動運転とかドローンだとか期待する向きもありますが、法律が整備されて、インフラが整備されるまでにどうするかです。まずは目先の求人。

 「求人を出してもなかなか集まらない」と愚痴をこぼすのをよく聞きます。しかし、実際に求人誌を眺めてみると、どれもこれも同じような文言が並んでいて、オリジナリティーのある求人広告が少ないことに気がつきます。要するに、営業に来た求人誌の担当者任せの内容。だから大体似たような感じになってくる。そもそも何件も担当をしていたら、すべて全く違うようには書けないでしょう。
 そのような話しを、身内で何回も話しています。大切なことは、こちらが言いたいことではなくて、応募する人にとって知りたいことを書くという、ごく当たり前のことだと思うのです。「委細面談」なんて失礼じゃないか? 来てみて、話しを聞いて、やっぱりダメだというのであれば、これは双方にとって時間の無駄です。できる限り詳細な情報を提供して、「これは私には合ってない」とか、「これなら応募してみよう」と判断できる程度の材料を提供するべきだと思うのです。それはドライバーに限らないことです。

 トラック運送事業で必要なのは、どんな乗務、すなわちどんな仕事なのかをできるだけ丁寧に説明することでしょう。「長距離」と言っても、大阪方面? 東北方面? 1泊2日? 2泊3日? 月に何回くらい? 月間走行距離が何Km位かなんて書いてある求人にもお目にかかったことがありません。「この車両に乗車します」といった具体的な例示をしている広告は見たことがあります。
 小型車両の場合は配達と言っても「都内1日10から15軒配達」とか「月間走行2000Km」とか「5時出庫、午後3時上がり終い」なんて書いてあるのもまずないでしょう。当社の場合「立替金はありません」という文言は入れています。

 事務所だとか、従業員が一堂に会した集合写真を入れるのもいいですが、大切なことは「できるだけ多くのオリジナルの情報を盛り込むこと」だと思うのです。情報が多ければ多いほど、読み手である応募者は安心感を持つはずです



No.60 生きていくために
2015/12/11 更新
 連載60回目です。5年間も掲載させていただき、また読んでいただき、ありがとうございます。

 インドに行くため、成田空港に向かう成田エクスプレスの中でこの原稿を書いています。今回はコルカタ(旧名カルカッタ)。着いたとたんにクラクションの音が鳴り止まず、無数のオートリキシャ(ツクツク)と言われる3輪のタクシーが走っています。ちなみにこの「りきしゃ」という言葉が本来日本語から来たものだということを、大概のインド人は知りません。

 ドライバーの所得は月額3万円くらいでしょうか? 乗るときふっかけられるので値切れと言われますが、ちゃんとメーターが付いてます。そうでなくても、かなり乗っても100円とか200円に届かない料金で、値切っても…。チップ代わりに弾んで気持ちよく走ってもらった方がいいと思うのは私だけでしょうか?
 彼らは生きるために必死のフルタイムのドライバーです。12時間以上働いている。車の数が多すぎて客を拾える確率はかなり低い。ワンランク上のスズキやTATA、ヒュンダイの軽自動車タクシーに至っては「貸し切りにしてくれれば、何時間でも待っている」と売り込んできます。エアコン付き(もっと安いエアコンが付いてない車もあります)でも半日乗って2500円いかないでしょう。物価的にはかなりの高額ですが、とにかく待っていてくれるので便利。人口が多く、競争が厳しく、生きていくためには大変なんだなーと感じます。

 日本でも、何時間も荷物が出てくるのを待っている軽貨物自動車。ドライバーの平均年齢はかなり高めです。タクシーもしかり。年金までのつなぎとか、年金の足しにとか、いろいろな働き方があるのでしょう。「高齢で、ある程度別の収入がある人」が前提で仕事が組み立てられています。要するにフルタイムで働いて生活していける給料ではビジネスモデルとして成立しない。ヤマトや佐川のように巨大なシステム化をしないとフルタイムとしての給料はなかなか出せないでしょう。

 このように、ローカルで一部ラストワンマイルの部分だけを行うと言っても、パートタイムでの働き方を前提にしないと利益を出せません。ここ20年来、デリバリーのサービスがみんなそんな感じになってきてしまいました。
 外国では移民がこのようなサービスを支えています。日本では「プロパーの高齢日本人」がこういう仕事を支えていくのでしょうか? インドとは違う、長寿国になった日本の「生きていくために」の姿ですが、継続できるのか? 私の疑問です。



No.59 日本は「ウーバー化」するのか?
2015/11/11 更新
 齋藤先生も書かれているウーバー化。トラック運送事業もアマゾンがシアトルで実験を始めています。個人がアマゾンのアプリを使って好きな時間に配送センターに荷物を取りに行って、2から3件運んでお小遣いをもらう感じです。名付けてアマゾン・フレックス。これって運賃ですから、日本の今の法律ではムリでしょう。

 でも、タクシーは特区で何とかしようとしています。私には当面ムリだと思います。それは以下の理由からです。

 1.
あの関越自動車道の事故で、零細事業者の管理はなってないという国民的なコンセンサスができたばかりなのに、またまた「安けりゃいいでしょ?」が出てきました。のど元過ぎれば熱さ…。安全のために貸し切りバスの運賃が大幅上昇したことを忘れています。

 2.民泊を仲介するAirbnbもそうですが、宿泊者が火事を起こしたり、自家用車タクシーが事故を起こしてお客様を死亡させてしまうような事故が起こると、保険に入ってるから大丈夫では済まなくなります。マスコミは喜んで「やっぱりけしからん!」と報道するのでしょう。またまた「管理しないとダメだ」ということに論調が変わります。事実、宿泊していた中国人の4歳の女の子が渋谷のマンションから転落死したとか、賃貸マンションを転貸して稼いでいた人、知らない外人が毎日隣の部屋に出入りするのが気味悪いと思っている住人、ゴミ捨て場がめちゃくちゃになって汚くなってしまった、夜騒いでいるとか…。問題はもう枚挙に暇がありません。
 おりしもサンフランシスコでは、Airbnbを規制するかしないかで住民投票が行われ、Airbnb側も大変なお金を投じて、反対運動が全米に波及しないよう対策をしているとのことです。

 3.これが認められていくと、トラックも個人トラックを認めざるを得なくなってきます。安全研修もなにもしなくていいでしょう? 免許制度に守られている緑ナンバーをどうすると言うよりも、そもそも論として緑ナンバーを縛る理由そのものがなくなってしまいます。

 4.そして、個人のトラックとかタクシーをとりまとめる組織が出てきて、新しいビジネスと称した、新たな「多階層化」が始まります。

 規制の行き過ぎもいけませんが、規制緩和をしすぎると、個人の商売ばかりになって、それを下請けとして使うビジネスが多くなり、結果として安全面などの教育はほとんどなくなってしまいます。アメリカのタクシーは個人へ車両をリースする会社が多く、それをリースして英語を話せないような移民の人達が運転しています。こういったサービスが「おもてなしの国」で受け入れられるのか? 棲み分けを我々ができるかどうか? 上手に使い分ける「グローバル化に対応した国民のセンス」が求められているのだと思います。そして、トラック運送事業にこれらが導入されるのであれば、我々に対する規制が緩和されることを強く求めなくてはならないでしょう。運輸安全マネジメントも不要になります。そういう声を上げていくべきだと思います。



No.58 大所高所からトラック運送への影響を考える
2015/10/11 更新


 9月27日(日)から30日(水)にかけて、カリフォルニア州サンディエゴで行われた「全米サプライチェーン実務者協会(CSCMP)」の年次大会に行ってきました。最近は展示会とセミナーのセットになっていて、10本くらいの講演を聴き、いろいろシステムなどの展示も見学できます。TMS(トランスポーテーション・マネジメント・システム)やWMS(ウエアハウス・マネジメント・システム)は当然進化していて、メインスポンサーもTMSの会社。驚いたのは、ウエアラブルのデバイスについてはほとんど展示がなかったことです。日本ではウエアラブルは花盛りになりそうですが、実際これって現場で使えるの?と思うと、かなりメーカーが勝手に思い込んでいるだけでは?とも取れます。その辺はアメリカは現実的なのかもしれません。

 それよりも、TPPのこと、中国の人件費高騰、ナショナリズムの台頭、パナマ運河拡張、そういった世界的なうねりが、どう自分たちの仕事に影響してくるかを考えるセミナーが、なかなか示唆に富んでいました。
 折しも私が滞在している間、オバマ大統領は9月29日、ニューヨークでキューバのカストロ国家評議会議長と会談しました。カストロさんが議長としてアメリカに来たのは初めて。そう、キューバはアメリカに対してのハブ港になる可能性があるのです。5年くらい前からそんな話しをアメリカ人はしていて、それが現実になりそうになってきました。パナマ運河が拡張され、TPPが合意に達すると、日本の物流はどうなるのでしょう? それも「日本のトラック運送業にとって、荷物が増えるのか? 減るのか? どの辺の荷物が増えるのか?」を考えないといけない。そしてそれが自社にどういう影響するのか? ただでさえドライバー不足だけれど、これによって共同配送とか増えるのでしょうか?

 これからの時代、サプライチェーンが世界的に伸びる中、逆に国産回帰してくるのもあれば、さらにはどこででもすぐに作れてしまうものもあれば…。物の動きをしっかりと想像しながら考えないといけないでしょう。「うちは専属だから関係ない」と言っていると、あっさり切られたりするかもしれません。そもそもドライバー不足です。こういった世界の潮流はどう影響してくるのでしょうか? 常に意識していきたいと思いました




No.57 少子高齢化時代に向けて物流の再定義が必要
2015/9/11 更新

 人口が減少し、高齢化して労働力不足になることが明確になっている中、物流業界における対応策の議論は、女性の活用とか、待機時間の問題など商慣行の改善などについてなされています。しかし、どこまでみんな本気なのかは別問題です。
 そもそも論として、ここ最近話題にされている「オムニチャンネル」の話しにしても、最終的に誰が運んで渡すのか、労務管理の部分がほとんどなされていません。いろいろと便利な世の中になるのは良いのですが、それを誰が実際に担うのという議論がないといけないでしょう。

 通販のセンターなどは労働集約的なだけに、一拠点で相当な数のパート作業員を集めなくてはなりません。その先の宅配に至っては、不在配達なども含め、何度も配達に行くために、なかなか生産性の向上を大幅に狙うことができないでいます。
 これらのビジネスモデルは、どう見ても「人口が増えている国」で可能なもので、労働力が不足している日本で、これからどう成立させるのでしょうか? 安い労働力を期待しても、肝心の体が付いていかなくては、高齢者を頼るわけにもいきません。

 大手の小売りチェーンの進出がなかなか難しいインドでは、昭和30年代40年代の日本のような個人商店全盛の状況で、スーパーマーケットそのもののシェアが低い状況です。さらに、人口の70%近くが農業従事者という構造。しかし、その中でも女性の社会進出などによって「利便性」が求められ、フリップカート社という通販会社を代表として、ネット通販が急成長を遂げています。ただし、それは飽くまでも人口が増えているからこそのビジネスだと思えるのです。
 アメリカもまだまだ人口が増えています。だからこそ、テレビコマーシャルでは子供用品や家具、住宅の宣伝が目立ちますが、よく考えるとこの手のコマーシャルを日本で視ることは少ないのです。家族を持ち、自宅を構えようとするとこういう需要が出るからでしょう。日本は家族が少なくなっているので、こういうコマーシャルは…。
 高齢化社会だからこそのビジネスモデルを真剣に考え、それに伴った物流を考えていく時代です。だから「便利さ」の追求というのを再定義しないといけないと思うのです。

 もう一つの発想は移民受け入れです。シリア難民をドイツがあれだけ歓迎し、今年だけで80万人も受け入れると報道されています。労働力の確保という点で見ると、ユーロ圏内一人勝ちのドイツが行ったこの政策は、短期的な費用負担とか人道面の議論ではなく、将来的な国の成長を考えた上で大きな意味があるのかもしれません。日本も移民受け入れで「積極的平和主義」を展開すべきでしょうか? 「ほぼ単一民族」という現状を堅持すべきでしょうか? これも再定義が必要なのかもしれません。



No.56 待機時間削減の取り組み試行錯誤中 その2
2015/8/11 更新

 川崎陸送京都営業所でのトラック待機時間削減取り組み=予約システムの導入(と言っても手書きですが)は、入庫車両については70点ほどの出来になってきました。そこそこ作業の標準化もできてきましたが、最大の問題は「出庫車両」の予約をどう取っていくかです。入庫は荷物を運んでいるトラックのドライバーが、積み込みが終わった状態で直接電話をしてきます。出庫は今までのまま…。なぜならどれを積むか確定する時間がまちまちだから。

 そもそも出庫の貨物を積みに来る車両というのは、1)出庫だけに来る車両 2)入庫をしてから出庫貨物を同じ倉庫から積んでいく車両 の2つに別れます。そこで入庫に来た車がそこそこ予約を取ってくれるのであれば、それに積み込む作業も一緒のトラックバースで行って、事実上の出庫予約も取り始めようかと…。
 
 しかし、世の中そんなに甘くはないのです。
1) 前述した、お客様からの出荷指示書が出てきてから出庫が決まるので、それが遅れてしまったら、トラックとしては何を積むかがなかなか決まらない
2) 入庫作業と出庫作業を連続で行うと、入庫のみの30分に対して1台当たり45分と標準的な枠を決めることはできるけれど、倉庫の作業の都合がいいように荷物を荷揃えすることができなくなっていく=荷揃え表の通りに順番に出していたのが、トラックの順番に倉庫から出さなくてはいけなくなる=倉庫の生産性が下がる?

 これからの課題はいよいよ本来の倉庫とトラックの効率化に挑む難題。要するに「トラックが来たら、そのトラックに積む貨物が同期した形で倉庫から出てくる」をやらないといけないのです。理屈の上では、これができると「荷揃えした荷物を仮置きする場所が不要」になります。これは相当なスペースの効率アップ! そんなに上手くいくの? いかないからチャレンジをする価値があるのです。出荷指示と、積載する車(それも他社の)の情報をどうマッチングしていくか? 

 まずは、午後2時から予約を取っている入庫車両の電話予約受付を、入庫出庫の両方の両方がある車両に限って、午後4時からとかにしてみることにしました。数台の枠ですが…。
 果たしてここからどんな結果と知見が出てくるでしょうか? 果てしなく続きそうな取り組みですが、とにかくピーク時の待機時間を2時間くらいには抑えたいと…。
 続きはまたの機会で… 。



No.55 待機時間削減の取り組み試行錯誤中
2015/7/11 更新

 ドライバー不足への対応は様々ですが、それでも苦戦しているところと、それほど苦戦していないところと、地域によって差があるのは事実。総じて大都市圏で集まらないのが現状でしょう。
 ドライバーの方々も短期的な視点であっても、同じ労働環境ならば給料が高いところに移動するのは当然の合理的選択。ドライバーの賃金相場も上がってきています。運送会社にはコストアップになるだけに、その分を運賃に転嫁していけるかどうか。

 この転嫁が最初は「スポット運賃の相場上昇」であり、「取り決め運賃の改定」に行くまでどのくらいかかるかです。スポット運賃の値上げスピードは速い反面、運賃の改定という荷主との間の条件は遅い。このギャップをしのいでいかないといけないのですが、ドライバーがいなくなって休車が多くなったりすると、コストアップと休車による売上げ減というダブルパンチになって赤字に転じる運送会社もあります。それがバブル時代にあったことは事実。同じ事が繰り返されるのでしょうか?
 当時は「断ることが営業」なんてことも言われていました。とにかく荷物が多すぎて、宅配便に至っては集荷しきれず、ターミナルでもさばききれず、東京から横浜に荷物1つ送るのに3日かかったなんて話しも実際にありました。今は仕分け機械などのスピードが上がってそんなことはないでしょうが、それでも集荷に時間がかかって集めきれない等ということは十分にあります。

 文句だけ言っていてもしょうがないので、われわれができる範囲で何がやれるかと言うことから、川崎陸送京都営業所久御山倉庫でも、入庫車両に限ってですが、予約を取り始めています。試行錯誤の連続で大変ですが、少しずつ前進中です。埼玉県の坂戸にある関東営業所でも予約を取っていて(こちらも入庫のみですが)、安定期に入っています。問題は出庫の予約受付。なんせ出荷指示書のデータ受信がお客様の都合で遅れることがあるので、どうやって予約を取るかがこれからの課題。
 
 とは言え、いろいろドライバーの方々に倉庫の状況を知ってもらうために、京都ではフェイスブックで待機状況などをアナウンスし始めました。これから飲料配送のピークシーズンを迎えるので、これが効果があるかどうか? そしてドライバーの方々がどれだけフェイスブックのアカウント持ってるか? LINEだといろいろ問題ありまして、今の段階ではフェイスブック。ということで、ご興味ある方はフェイスブックで「川崎陸送 京都営業所」を探してみて下さい。こんな感じの「おしらせ」がご覧になれます。

FBで倉庫の予約状況を発信中!


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No.54 デラックス休憩室!?
2015/6/11 更新

 先月このブログでご紹介したアメリカの「ターゲット」、今度は突然インドのバンガロールで180人をレイオフするとのこと。グローバルなリストラの一環だそうです。グローバル化するとこういうことにもなるんだと、妙に関心をしていました。ただ、配車機能はインドに残るようです。まあ何千人もいますからそういうことなんでしょう。

 5月中旬に川崎陸送名古屋営業所の建物を建て替えました。まだ8年か9年ほどしかたってないのですが、今までのプレハブに毛が生えたような2階建ての建物を取り壊しました。できたころから、ちょっとなんだか中途半端というか、働く人のことを考えずにコストだけ考えた建物だと思っていたので、いつか建て替えたいと。4月にも関連会社の山梨総合運輸の休憩室を大幅改善しました。山梨県で一番デラックスな休憩室!を自負しています。両方とも「女性専用ラウンジ」を備えています。
 やはりドライバーが休憩するにしても、事務職が働き、休憩するにしても、快適な今風のところにしないといけないと思うのです。イメージを変えましょう! 普通に考えると、他の業界でやっていることをわれわれもやっていけば何とかなるのではないか? この業界は特殊だからしょうがないと言っていては、いつまでも進歩はないでしょう。確かに「大変だ大変だ」と言いながら経営者だけがベンツに乗っている会社が多い、特殊な業界ではあります!? だから、今、当社がやれば目立つはずだとも思っています。

 坂戸流通センター(埼玉県坂戸市)から始めて、京都営業所久御山倉庫(京都府久世郡)、葛西流通センター(東京江戸川区)、山梨総合運輸(山梨県竜王市)、名古屋営業所(愛知県丹羽郡大口町)と順番に環境改善をしてきました。今後は鳥栖営業所(佐賀県三養基郡基山町)、江川営業所(茨城県猿島郡五霞町)と改善していきます。と、これだけ書いてみると、結構な事業所数になってきていて、会社として力になってきているのではと思います。自分の働く場所が汚かったら誰だっていやですから。
 人手不足に対応するのはIT化、共同化による車両の稼働率アップ、待ち時間や庭先条件の改善などやらなくてはならないことが山積しています。これらを地道にきちんと実行していかなくはならないのです。時間も費用も知恵も必要です。文句ばかり言ってはいられません。


【名古屋営業所】
運送屋さんとは思えない?
入り口すぐ右の打合せスペース
【名古屋営業所】
運送屋らしからぬ
大画面テレビの付いたカフェテリア 
山梨総合運輸のカフェテリア
どうだ!
  

※各写真をクリックすると、違うアングルの写真がご覧いただけます。

 


No.53 いつまで日本で配車をしますか?
2015/5/11 更新

 冒頭、敢えて挑戦的なことを書きます。どうせ、私がここで書いたって、マネする人はいないはずだからこれを堂々と書きます。所詮できやしない!

 3月末にアメリカ、4月12日から19日までインドのムンバイに行ってきました。アメリカは業務をインドに下請けに出しています。マクドナルドのドライブスルーの応答が、実はインドで行われている話しは前に書きました。
 インドは昨年就任したモディー首相の「メイク・イン・インディア」というキャッチフレーズの下、輸出を伸ばしていこう、工業生産を伸ばして生活を豊かにしていこうと、ムードが異様に盛り上がっています。昨年4月に訪問したときと、お会いしたビジネスマンのやる気、活気がまるで違いました。
 驚いたのが、アメリカの小売業大手「ターゲット」のインドの部長さんとの会話です。日本で言うとイオンとかヨーカドーでしょうか。インドで3,000人を雇っているとのこと。では、インドで何店舗あるんですか? 今までターゲットの店舗をムンバイ周辺で見たことがないと聞くと「インドには1店舗もありません」と…。
 インドはコットン、繊維製品、紅茶などいろいろありますから、それらの製造・仕入れとアメリカ向けの輸出を、大体1,000人位が担当しているそうです。では残りの2,000人は? ホームページのメンテナンス、チラシのデザイン、店舗ごとに異なるクーポンの発行と顧客のスマホへの送信、店内管理業務(商品マスターの管理他)などに従事。売上げ50兆円越えの世界最大企業、ウォルマートにはかなわないものの、8兆円を超える売上げと、米国・カナダで1,934店舗を構えていることを考えると、各店舗の仕事をインドで1人ずつ担当して行っていると考えれば、この人数は納得がいきます。
 クーポンも店舗ごとにライバル店との競合や、メーカーのプロモーションによって違うでしょうから、アメリカの夜中にインドで店ごとに制作して、顧客に翌朝配信するというのは理にかなった方法です。

 ここからが本題。さらに驚いたのは、配送センターや仕入れ先から各店舗との間の配車業務を、これまたアメリカの夜中にインドですべて行い、配車結果をアメリカに戻しているとのこと。グーグルを使って、店舗の入り口などの様子も見えるようにしているので、トレーラーが入れない場所など分かるとか…。日本とインドでは言葉の壁がありますが、アメリカとはありません。しかし、それだけの理由で、24時間を利用して、それも賃金が10分の1以上安いところで配車をしている。日本では配車マンはある意味花形です。でも、彼らの仕事は、別に日本で行う必要はないですよね。でも、言葉の壁はあります。

 まさに今、大胆な発想の転換が求められるのです。インドは食べ物が大変だ!?なんて言っている場合ではありません。24時間、365日ある以上、地球のどこかで仕事ができます。さて、5年先、われわれの会社の来週の配車は世界のどこでやっているでしょうか?

 


No.52 ランニングコストとライフサイクルコスト
2015/4/11 更新


 
北陸新幹線が開通しました。マスコミの盛り上がり方もなんだか異常に思えます。まして、いろいろな業界団体の視察旅行・研修旅行・なんとか総会・なんたら大会は軒並み金沢! 筆者の参加している団体の内、4つもが金沢で開催する予定です。ということは、来年はどこも金沢には行かない? さらに計画では金沢と大阪を結ぶ新幹線構想もあります。
 被災地の復興支援では巨大プロジェクトで新しい道路、橋、防波堤などを作っています。何百億円もの国費投入です。さて、これらは復興予算で国がほとんど負担するのでしょうが、10年、20年後の維持費は誰が払うのか? 普通は自治体です。でも、そのときには道路や防波堤を作るために尽力した地方政府の首長さん達は引退していて、後継者達が負担を考えることになります。
 今、高度成長期にどんどん作られた道路や橋が老朽化していますが、各市町村が平気で「点検する金も人もいない」と言って、財政難を嘆いています。これは本来無責任ではないでしょうか? どうも日本人は新しいものをさっと作るのは好きだけど、維持費を考えるの苦手なようです。伊勢神宮の20年に一度の遷宮もそういうことなんでしょうか!?

 トラックについて考えてみましょう。15年間、150万Km位乗るとしたら、イニシャルコストの1500万円とか、2000万円とかいうのは、ある意味年額にしたら大したことはありません。それ以上に燃費や修理費、それに関わる人件費などの方がよっぽど大きい。これをどう最小にするかが、運送会社の利益を左右します。だから、いろいろな種類のトラックやフォークリフトを持つのではなく、同じ車種に統一して管理をしやすくする。タイヤもリサイクルタイヤやリグルーブのタイヤを使う。定期的な整備を怠らない。エコドライブを励行する。などなど山のようにアイデアがあります。15年を16年に伸ばすだけでも、コストは下がります。新車を買って燃費を良くするだけが取り柄ではないでしょう。
 まずは大事に長く使う。大規模な修理がないようランニングコストを最小にして、トラックの一生涯にかかる費用=ライフサイクルコストを考えながら管理していく。当たり前ですが必要な仕事だと思っています。その意味で「フリートマネジメント」という言葉は大切。これからは、それをになう人材が必要です。

 齋藤先生が今月書かれているアメリカのロサンゼルス・ロングビーチ港の6年に一回の労使契約更改交渉と、それにまつわるストライキ。結果として、東海岸のジョージア州サバンナ港は、2月のコンテナ取扱い実績が前年比14%増。サバンナ港発の荷物が、下ってきたトラックの帰り荷になっていると…。パナマ運河も拡張を控え、明らかに東海岸の港を使う動きが増えています。サバンナ港は取扱可能数量を増やすべく工事をしています。いつまでも西海岸の港があぐらをかいているわけにはいかないでしょう 。


 


No.51 3月11日に自分の会社の危機管理を考えよう
2015/3/11 更新

 3月11日です。あれから4年になります。期せずして、私がつい先日読み始めた本は「サプライチェーンとBCP」に関連した本です。いろいろなリスクについて頭を巡らせておくことは、経営をする上で必要だと思っています。「どうにかなるさ」という楽観主義は、ある意味無責任です。それでも、世の中には何百万人もの社長さんがいるわけですから、いろいろな考え方があって当然ですが…。

 基本は、自分の会社で失ってはならないものと、失ってもいいものの線引きをしっかり考えておくこと。運送会社として、トラックすべてを失うことは大変な問題ですが、その中でも失っていいトラックと、失っては困るトラックがあるはずです。もしかして全部傭車で対応できるから、トラックそのものは失ってもいいかもしれません。その失ってはならないモノに対して対策を立てておくことが重要。災害が起きて「しょうがないじっと我慢だ」と言って、仕事ができるまで忍耐でしょうか? その間仕事ができないから、請求書を発行することができません。すなわち売り上げがない。それで会社が続きますか? いくら資金的に余裕があったとしても、売上げが立たない時間を最小にすることが必要でしょう。

 結局、普段どれだけそういう「非常事態」について、頭の中でいいからシミュレーションできているかどうかなんだと思います。そういう思考回路を養っておくかおかないかで、いざという時、会社の運命が決まってしまうかもしれません。だから、BCPというと大げさと言われるかもしれませんが、いざという時のことを考えておくのは、会社を経営するものにとって必須事項だと考えています。これだけは従業員ではなく、社長が考えておかなくては進まない。とくに中小企業にとっては。

 3月11日は身近な記憶です。9月1日の防災の日というのがありますが、これは大正12年(1923年)9月1日の関東大震災にちなんだものです。さすがに今のわれわれにはさっとイメージが沸きません。だから、3月11日こそ災害に備える日として、自分的に危機管理について見直したり、考えたりする日にした方がいいと思っています。


大震災から4年。BCPについて、もう一度考えてみませんか?

なぜ3.11で日本のサプライチェーンはストップしてしまったのか!
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No.50 改めてトラックの回転率アップのために発想の転換を
2015/2/11 更新


 
ついにこの連載も50回を迎えました。お付き合いいただき、ありがとうございます。

 さて、世間では人手不足が言われています。昨年から書いているように、やはりここはITを駆使して、知恵を出して、運送会社の大事なアセットであるトラックの回転率を上げるための工夫をするに尽きます。なんでもかんでも頭数を揃えればいいというビジネスでは、結果として進歩がないし、そもそもコストアップになって利益そのものが出ません。
 回転率を上げれば、それだけ必要とするネットのトラック台数が減るというのは、簡単な計算。それを本当に実行するかどうかが難しいことです。しかし、生産性を上げることなしで、賃金だけを上げることは不可能です。

 アメリカに行って視点が違うなと思ったのは、道路の渋滞を非常に気にしていることです。シカゴ、アトランタ、ヒューストンといった渋滞で有名な都市を通る輸送の場合、トラックの通過時間を午後10時から早朝5時頃になるように配車を調整しています。さらに、行政に対しては渋滞対策に道路予算を使うように要求している。そのための燃料税のアップも致し方ないとまで言っています。

 結局、立ち喰いのレストランや飲み屋が流行るように、すべては回転率を上げることなのです。自社のトラックの運送作業日報を見れば、走っている時間が24時間のうちの何%か分かります。そして、現実はほとんど停まっている時間です。これをどう改善していくか? 物流全体の課題として、倉庫・物流センターも含めて考えないといけない、国家的な問題でもあるのです。

 こんな難しいことにチャレンジしていかないと、トラックの生産性は上がらないので、結果物流面から日本の国力が衰退していくことになります。大層なことを言っているようですが、会社としてもこの問題については根本的に対応を考えて、4月からの新しい期の経営方針にも入れました。トラックドライバーの働く環境を改善すると…。
 トラックドライバーがやっているパレットへのストレッチラップ巻き作業も、倉庫側で事前に行って、どんどんトラックが荷物を積んで出発できるようにすれば、倉庫そのものの貨物通過量も増えるはずです。そのためにはみんなの意識が変わらないといけない。全くの発想の転換が必要なのです。




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No.49 基本に対して最大の知恵を絞ろう
2015/1/11 更新


 明けましておめでとうございます。本年もご愛読のほどよろしくお願いします。

2013年 人材の確保について『諦めないで「良い人材を求む!」』
2014年 『90周年の名に恥じないためにも「クオリティー・イン・モーション」』
 さて、今年のお題は…。実は当社の来期4月からの経営方針の発表を1月16日に予定しています。この冬休みの間、かなりの時間経営方針を考え抜くというのが私の年末年始恒例になっています。やっぱりこういうのは「煮詰めるプロセス」が必要。自分自身得心しないと…。


 
昨年アメリカやインドに行って、ロジスティクスとか物流の将来をずいぶんと考えるネタをもらいました。このブログでもいろいろと書いてきたとおりです。結局、これらをまとめて見ると、やはり「人、モノ、金、情報(ノウハウ)」という括りで考えると分かりやすくなります。まだ最終的に決めかねている段階ですが:

人…
  
諦めないで良い人材を求め続けるために努力する
   現場レベルのITリテラシーを上げていく
   働く環境をよくする

モノ…
   ITによって労働力不足を克服する
   省力化投資を徹底していく
   機材の回転率を向上し、ダウンタイムを少なくする

金…
   利益率の高い仕事にシフトしていく=粗利率の向上
   得意分野、本業への資金の集中投資

ノウハウ…
   ITによって労働力不足を克服する
   単純な仕事をやめて、積極的に得意分野と周辺のノウハウ蓄積を図る

という、実に当たり前のことになっていきます。しかし、その中でも、ITとノウハウの蓄積というのがものすごく大事になっていくでしょう。適正料金の収受ばかりを言っていても無理です。回転率が悪い、稼働率が悪い中での適正料金というのは何なのか? その前に我々がやるべきことがたくさんあるはずです。

 ドライバーの離職率も高くなるでしょう。いわゆる適正料金?をもらったとしても、10%から20%のトラックがドライバー不足で遊んでいては、適正料金が適正料金ではなくなります。

 同じように回転率もあります。1日の回転が1回転と2回転では適正料金は大きく変わります。3回転するに至ってはさらに…。これを「われわれ中小ではそんなことできない。大手の仕事だ」と言うのは簡単でしょう。ならば、撤退するしかない。簡単な話し「運送三率」と言われる「実車率・積載率・稼働率」をどうやって向上するか?にもっと知恵を絞る。こんな基本に立ち戻ったことが、されどものすごく知恵が必要なことが求められる2015年なのではないかと思います。




No.48 これからの運送はどうなるのか?
2014/12/11 更新

 先月書いたアメリカの「ITで人手不足を克服していこう」という流れは、恐らく日本でもそうなっていくでしょう。そこで問題になるのは、実輸送を持たない元請けと、実輸送を担っているトラック運送会社の関係が、これからどうなっていくか?
 元請けにとっては、輸送管理システム(TMS)を駆使して、いかに少ない台数で効率的な輸送を行っていくか、システム構築力と運用力が問われていきます。工学部の学生を採用していくというのも必要でしょう。人材育成がますます重要になります。
 実運送会社にとっては、元請けとの関係が一層難しくなるかもしれません。その理由は「ヒューマンな部分でのつながり」が薄れていくかもしれないからです。配車マンと運送会社の社長の関係が、TMSというシステムソフトが間に入ることで、血が通わなくなる可能性があるからです。荷主や元請けにとって、少ない人数でより多くの運送会社と付き合うのは、大変な手間になっていきます。しかし、きちんと品質方針を伝えたりして運送を実行するには、その手間が必要だし大切です。


 
さらに、水屋と呼ばれる方々の立ち位置が難しくなっていきます。ホームページを通して小売業などがやっているような運賃単価の見積もりが可能になっていくと、結果としてシステム力がある水屋とそうでない水屋で差が出てくるなるのではないか? あるいは人間的な部分を全面的に出して、きちんと実運送会社を紹介していくという道を選ぶか?

 そして、実運送会社は、商品であるトラックをドライバーを確保しながら提供し続けることができるか? 実はそのためにはどうしてもシステムの力を借りた、荷主や元請けと協力をした「ドライバーの働く環境の改善」が必要になります。荷主、元請け、水屋、実運送会社といった関係から、どう全体最適を図って待ち時間や付帯作業などの「トラックの非効率的な部分」を削減していけるか。休憩室などもきちんと整備できるか? 人がいなくては、TMSを駆使してサプライチェーンを支えていくことは不可能でしょう。その意識を関係者が持てるかどうか? アメリカでは待ち時間や都市部の渋滞によるトラックの回転率低下に対する意識が非常に高いのですが、日本では? 大きな課題だと思います。

 


No.47 システムを使いこなせる人間が必要だ
2014/11/11 更新
 9月下旬に全米サプライチェーンマネジメント実務者協会(CSCMP)のテキサス州サンアントニオでの大会、10月初めにカリフォルニア州サンディエゴでの全米トラック協会(ATA)の経営者大会に立て続けに行ってきました。ATAの大会は行くつもりはなかったのですが、CSCMPの大会で聞いたことを、さらに確認したくて、急遽参加することとしました。その理由は人手不足への対応をどうするか? 将来にわたってのサプライチェーンの組み立てから、その現場を支えるトラックや倉庫の現場についてヒントをもらいたかったし、確認をしたかったからです。

 アメリカは日本とは違って、景気が良くて人手不足。さらにトラック運転手はなり手がいなくなりつつあるという、こちらは日本と同じ状況。結果としてメキシコやその他の国からの移民をどう使っていくかという話しかと思っていたら、対応策はIT化しかないという結論。ITによって根本的に使う人手を少なくする。そのために倉庫管理システム(WMS)や輸送管理システム(TMS)を駆使していくということなのです。
 しかし、そういうシステムを作るITや経営工学的な能力を持った若者はいるけれど、実際に配送センターや配車の現場でそれを使いこなせる若手管理職の人材がいないんだと…。
 高度化したシステムから出てくる情報を見て、いかに実際の改善行動に移すか。判断をしていくか。これが問題なのです。だから、現場監督にもこれからはエンジニアリング的な能力が必要なのだということです。車を集めるために電話をかけまくっているのも、そう長くは続かないし、まず利益が出ない…

 人手不足やトラックの車両不足によって、100台の車両を集めるのに、今までは10の運送会社に声をかければ良かったのが、今や50社に声をかけないと集まらないかもしれない。そうすると、輸送品質の管理も大変ですが、見積もり、請求、料金チェックと下払いなど、事務手数がどんどん多くなっていきます。だから、TMSのソフトは契約をウエッブ上で行う自動化、料金チェックや支払いの自動化まで行っていて、さらには使用する運送会社の最適化を方面別に一定時間の間隔で再計算していく! 言うは易く行うは難しです。それを扱える人間を教育し、育てていく。日本ではどうでしょうか? 多いに考えさせられます。でも、書面化の問題など将来を考えると、この方向は避けられそうにありません


 先月書いた、ITで人手不足を克服するという流れは、恐らく日本でも遅ればせながらそうなっていくと思われます。そこで問題になるのは、実輸送を持たない元請けと、実輸送を担っている運送会社の関係がどうなっていくか?
 元請けにとっては、輸送管理システム(TMS)を駆使して、いかに少ない台数で効率的な輸送を行っていくか、システム構築力と運用力が問われていきます。工学部の学生を採用していくというのも必要でしょう。


 実運送会社にとっては、ますます元請けとの関係が難しくなるかもしれません。その理由は「ヒューマンな部分でのつながり」が薄れていくかもしれないから。配車マンと運送会社の社長の関係が、TMSというシステムソフトが間に入ることで、血が通わなくなる可能性があります。まして、荷主や元請けにとって、より多くの運送会社と付き合うのは、大変な手間になっていきます。しかし、きちんと品質方針を伝えたりして運送を実行するには、その手間が必要。
 さらに、水屋と呼ばれる方々の立ち位置が難しくなっていきます。ウエッブなどでの見積もりが可能になっていくと、結果としてシステム力がある水屋とそうでない水屋で生き残れるかどうかの瀬戸際になるのではないか? あるいは人間的な部分を全面的に出して、きちんと実運送会社を紹介していくという道を選ぶか?
 そして、実運送会社は、商品であるトラックをドライバーを確保しながら提供し続けることができるか?

 実はそのためにはどうしてもシステムの力を借りた、荷主や元請けと協力をした「ドライバーの働く環境の改善」が必要になります。荷主、元請け、水屋、実運送会社といった関係から、どう全体最適を図って待ち時間や付帯作業などの「トラックの非効率的な部分」を削減していけるか。これなくして、結果としてサプライチェーンを支えていくことは不可能でしょう。その意識を関係者が持てるかどうか? アメリカでは持ち始めていると見ましたが、日本では? 大きな課題です。



No.46 トラガール、まさかの官邸訪問!
2014/10/11 更新



写真 : 総理の右隣りが当社の山根さん

 「まさかの総理官邸訪問!」の打診が全ト協からあったのが9月4日。全ト協から「女性ドライバー=トラガールの代表として、9月9日に総理を訪問してくれる方はいませんか?」とお問い合わせをいただき「???」 他社の女性ドライバーと一緒に安倍総理を訪問するとのこと。ビックリしました。

 当社の女性ドライバーのリストをお送りしたのですが、何のかんの言っても、葛西流通センターに所属する山根理絵さんを推薦。普段の燃費カイゼン活動では当社の「MVP」受賞=「燃費クイーン」。さらに当社にとって最初の女性ドライバーです(入社14年目)
 小柄な山根さん、普段は2トン・4トンに乗っていますが、大型車にも乗っているというのも、彼女を推薦した理由。そうしたら、なんと大型車のハンドルを持ってきてくれと依頼されたのには驚きました。しっかり総理にハンドル渡してもらいましたが、総理のコメント「重いですね」というのは…。ハンドルって持つものではないでしょ?

 ご本人にとっても一生の経験になるし、会社にとってもすばらしい経験ができたと思います。当日は当社の役員と所長に同行を任せましたが、全ト協の事務所に集合して、リハーサルをしたりと大変だったようです。そして当日は鳴海急送の小島さん、「ドボジョ」(この名前もどうなんだろうか?)の左官職人の方と大林組の初の女性現場所長の方と4名での訪問。待機していて、総理が出てきたときに「あっ! 本物来ちゃった!」と思ったそうです


 ともあれ、重要だったのは、その後面談させていただいた太田国交大臣から苦労していることを聞かれ「女性用のトイレがない」と直接訴えることができたこと。その場で大臣が秘書官に「トイレを増やすように」と指示を出されるという一幕もあったようです。
 セレモニーと言ってしまえばそれまでですが、それでも道の駅にトラックの駐車スペースと女性用トイレが増えるきっかけになったようで、これは大きい。なんでもいいから、女性が働きやすい環境を、着実に整えていくことが大事だと思いました。

 以上、当社山根さんにとって「非日常経験」だった9月9日の報告でした!



No.45 労働量不足に対抗するにはやっぱり回転率だ
2014/9/11 更新
 訳あって?今月は11日ではなく、早めのアップをお願いしました。

 トラック運送業界も人手不足と高齢化です。8月28日(木)NHKラジオ第1放送午後10時からのNHKジャーナルという番組で、トラック運送業界の人手不足が取り上げられ、当ブログでご一緒している齋藤先生とインタビューを受けました。
 世間一般にはトラック運転手の賃金が低い、労働時間が長いということで人手不足と思われていて事実その通りですが、その根本原因は、トラックがきちんと稼働していないことにあると思います。この点をラジオのディレクターの方には説明させていただきましたし、これからも一生懸命発信していかなくてはならないと思っています。

 トラックは走って荷物を運ぶ道具です。しかし、実際には停車している時間の方が長い。なにをやっているかというと「待たされている」「相手の荷役をやらされている」ということ。農業関係の仕事をしているトラックドライバーは、下手をすると作物の収穫を手伝っていたりする。これでは稼げません。
 これをすべて「日本の商慣行の問題」にするわけにはいきません。もちろん原因の大きな部分を占めてはいます。でも、我々ができることからやっていくことも必要。車両の回転率が上がれば、2回戦目、3回戦目の仕事ができて、運送収入もアップします。適正料金の収受と言っていますが、1日に1回戦だけで3万円をもらうのと、2回戦して5万円もらえるのとでは大違いなのです。回転率を上げることが先決です。

 昨年9月から、川崎陸送の関東営業所(埼玉県坂戸市)で取り組んでいる「トラック予約システム」は、それ以前からやっている、トラックが入場してから出ていくまでの時間を計測する「トラック受付システム」に次ぐ取り組みです。
 そもそも倉庫や配送センターで予約を取るということ自体が滅多にないことなので、ドライバーからもなかなか信用してもらえませんでした。荷卸しや、積み込みの時間も標準化しなくてはならず、倉庫の人員体制、作業方法も変更が必要。でも、予約って、病院でも、床屋さんでも、マッサージでもレストランでもするでしょ? なんで倉庫・配送センターだけが予約を取れないのか? 欧米の配送センターはみんな予約を取ります。日本でも外資系のアマゾンやコストコは、トラックが納品する際に予約が必要です。そう思って取り組んできて、今やほぼ100%に近い予約率。待ち時間も大幅に削減され、順番を取るために朝一番から並ぶ車がなくなりました。系列会社のトラックは山梨から出てくるのですが、今まで午前4時・5時出発だったのが、予約を取ってからは午前8時から9時に出発時間が変わりました。11時過ぎに降ろして、午後一番で積んで帰っちゃう。これって大幅な労働環境改善ではないでしょうか? これが大きいと思うのです。

 ということで、こんな努力をちょっとずつしています。関連のエル・スリー・ソリューションとして、この予約のベースとなった「受付システム」を販売すべく、9月9日(火)からお台場で開催される「国際物流展」に出展します。アイドリングストップ用のヒーター、クーラーを販売している、ベバストサーモコンフォートジャパンさんと、ブースをシェアしています。私も自らブースでプレゼンテーションをしていますので、是非ともお立ち寄りください。


<国際物流総合展2014>

会 期:2014年 9月9日(火)〜 12日(金)10:00 〜 17:00

会 場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)

◆ 株式会社エル・スリー・ソリューション
小間番号 : 6-211(東6ホール) 下記略図をご参照ください。

入場券をお持ちでない方は事前登録(公式サイト内)が便利です。


No.44 経営者は年に一度は海外に行け!
2014/8/11 更新
 毎年7月下旬に事業継続(BCP)の関係でアメリカを訪問するようになって、今年で3年目。今回は4泊6日の弾丸でしたが、目的地のインディアナポリスに7月24日(木)深夜に到着。25日(金)は、BCPの本の著者のキルドウさんのセミナーに参加。土曜日はキルドウさんにお世話になり、日曜日は念願のインディアナポリス・モーター・スピードウェイに行って、月曜日朝にインディアナポリスを出て、日本時間火曜日深夜に帰宅。こんな感じでした。

 実は、なんだかんだ忙しくしていて、海外に出ていろいろ視てくるという機会が、ここ3・4年前まであまりありませんでした。せいぜい3から4年に1度くらいCSCMP(全米サプライチェンーマネジメント実務者協議会)のカンファレンスに出席したり、業界団体の視察旅行に参加していた程度でしょうか? それが、翻訳をしたことがきっかけで、ここ3年は、韓国、中国、インドと、結構いろいろなところに行っています。今年の元日にはプライベートでローズ・ボウルを弾丸で観戦しに行ったりも…。
 そこで思ったのが、川崎陸送にも出資をいただいている、東京中小企業投資育成株式会社の前社長、荒井寿光氏が常々おっしゃっていた「経営者は、年に一度は海外に行け」という言葉。年に一度は外から日本や自分の会社を見なさいということです。さらに、ヒントになることは発想から、そのものズバリのビジネスまで、いろいろあります。本当は日本国内にいてもヒントは一杯あるのでしょうが、「場替え」をして日常から離れて環境を変えないと、なかなか思考回路が働かないのでしょう。
 私も、行くたびにいろいろとネタを頂戴してくる感じで、時間と費用は無駄にはならないと思っています。業界団体の視察ツアーであろうが、ハワイ旅行であろうが、一旦視点を変えて見てくると、なんでも参考になります。

 私の会社のブログ、『7月25日 No.1509 ITってこう使うべきだと…。』などはその典型。アメリカの場合、規模が大きすぎて参考にならないよという人が多いのですが、プロセス管理、サービス面での効率化という点では、ものすごく参考になります。ディズニーのサービスだけが参考になるのではなく、われわれ物流に携わっているものとして、ちょっとしたことでもネタになることは山のようにあります。
 人を使うのは高い、だから使う人の数を最小限にする。これがアメリカなどでの鉄則。逆に日本は数をそこそこ維持して、使う人の単価を落としてしまいました。こういう違いもまた勉強になるし、自分の会社に当てはめてみるのが良いでしょう。ただ遊びに行くのはもったいないです。
 ということで、年に一度は海外に行きましょう!



No.43 QC16年=継続は力なり
2014/7/11 更新
 6月28日(土)に、東京都トラック会館で開催した川崎陸送のQC活動発表会決勝は、16年目にして40回という節目に到達しました。上期と下期の年2回の発表会を開催するようになったので40回目。石の上にも三年、継続は力なりにです。
 このQCカイゼン活動を教えていただいたのが、倉庫業メインの富士ロジテックさん(静岡)と丸二倉庫さん(大阪)で、1998年のことです。丸二倉庫さんはこのQCカイゼン活動が今年で30年目を迎えられています。これはすごい。湯川社長、湯川専務お二人の熱意と、それを支えるスタッフの方々のがんばりが見事に続いています。富士ロジテックさんも、同じくらい続いている計算になります。

 川崎陸送の中でも、まだまだQC活動は「どうせ社長が言っているから」と思っている人がいることは事実ですが、あと15年すれば、途中からQCをやらされたと思っている人が全部いなくなって、すべての人が「入社時からQCがあった」ということになります。そこで始めてQCが本当の力になるのではないかと思うのです。長い道のりです。
 とは言っても、やっていなかったら従業員の発想というか思考回路が根本的に石器時代のままだったでしょうし、そもそも川崎陸送は生き残っていられたでしょうか?

 今回、名古屋営業所のドライバーチームが発表してくれたのは「バックによる事故を少なくする」というもの。その対策は? なんと「そもそもバックをしないような道順を考えればバック事故を起こさない」ということで、バックした回数を一定期間計測。そこから、バックしなくても目的地に到着できる、接車できる方法を考えて、バックしなくてはならない回数を3割以上少なくしたというものでした。
 これで、バックによる事故の発生確率も3割くらい減ります。こういう発想ができるかどうか? まさに「根本原因」を解決し、対症療法ではない対策を考えてくれました。まずは自分たちでできることをしっかりやる。それによって頭を使うドライバーと、頭を使わないドライバーでは賃金格差が出て当然でしょう。それがこれからの物流業です。富士ロジさん、丸二さんを見習わなくては…。



No.42 経営者が知恵を絞らないといけない
2014/6/11 更新
 人手不足と言われている。特に地方から大消費地にモノを運ぶ大型トラックによる長距離輸送は、家に帰れない、時間に間に合わせるために休まずに運転しなくてはならないなど、条件が厳しいことから敬遠され、結果それがドライバー不足につながっている。
 事業者は、地方は長距離をやっていかないと食べていけないという。だったら撤退したらどうなんだろうか? 働く人が条件面で合わないので応募してこないならば、条件面を変えなくてはならない。その場合、単純に賃金だけの問題ではないことは明白だろう。すなわち、家に帰れるか? 一定のゆとりを持った運行が確保されるか? そういった部分の改善をしないで、長距離はやっていけないと言ってもしょうがないし、恐らく料金をある程度上げてもらっても、3日間も家に帰れない運行などは、それを希望するドライバーがどんどん減っていくだろう。そして、その運送会社の経営者は毎日家に帰っている…。
 当社も埼玉・大阪間のトレーラー輸送を、中間に当たる長野県飯田市で両方から来たトレーラーをスイッチするという方法で、ほんのわずかではあるが成果を上げることができた。しかし、これも1日3台ずつと言うことで、自ずと限界がある。さらにパートナーを探して、このような「双方が日帰りできる距離」でのトレーラーのスイッチができないだろうか?と考えている。それが経営努力だと思っている。でも、賛同してくれる人は少ない。

 待ち時間を削減する努力も、積み込みのドライバーと配達のドライバーをシフトで対応させるなど、考え方によってはいろいろあるはずだ。1台の車に一人のドライバーという、十年一日の考え方でやっているのであれば、それは何をやってもムリだろう。台数が少ないからできないのであれば、他社と組んでやってみる。そういうことができないのであれば、素直にこの商売止めた方がいいと思う。

 改めて言うが、これからドライバーの労働環境を良くすることができなければ、どんなにがんばっても難しい商売になっていく。経営者の知恵が求められている。だからといって、一人でアイデアを出せるものでもない。みんなで集まって知恵を出すことが必要なのだ。お互いに文句や泣き言ばかり言っていても始まらない。それでも「中小零細トラック事業者にはムリなんだから」と言うのであれば、やはりこの商売、おやめになった方がよろしいかと…



No.41 企画力・営業力、そしてビジネスモデルが必要
2014/5/11 更新
 齊藤先生がアメリカの地場の運送業者が通販物流のエリア配送で成長をしているという話を書かれています。「わが国では地場の中小トラック運送業者が頭角を表していないことである。極めて有望な新たな輸送ニーズがそこに存在しているにもかかわらず、それに対応した物流ビジネスの展開がなされていない。」と締めくくられています。

 2011年6月にこのブログで、No.6 「預ける」=骨抜きにされる運送事業者 と題して「自ら考え、自ら商売することを放棄している。」と書きました。「中小だからできない。適正運賃収受を」と繰り返し言っている業者の方が多いのですが、それ以外に自分でやるべきことはないのでしょうか? 結局行き着くところは、企画力・営業力がないということ。会社というのは生産設備だけ持っていてもだめで、良い製品を売るための努力がないことには成り立ちません。どうやらその営業力というか、販売するための機能がなくて、単純に運ぶというサービスを製造するだけの運送会社が多いから、結果として大手に「預ける」方法しかなくなってしまいます。JTBや近畿日本ツーリストに全面的に販売を委託している旅館やホテル、バス会社と同じです。生命線を握られたら、料金をたたかれるだけになります。

 自分の会社の運送サービスを「顧客の販売のためのツール」としてとらえ、顧客にどう利用してもらったらいいのか? そこを切り口に考えて営業していかないと、お客様にとっての価値が出てこないのです。また、単品販売ではなく組み合わせて販売しなくては、結果としてパーツとして扱われ、叩かれるだけです。今はそれができなくても、10年20年かけてでも営業力を付けようとするかどうかの「意志」が必要となってくるのは、どのようなビジネスでも変わりはないと思います。

 今月4日から、好例になっているミシガン州立大学のサプライチェーンを専攻している現役学生が、日本の物流や文化を勉強しにやってきています。彼らの勉強するポイントは「日本の物流を見てびっくりすること、感動することではなく、どこで稼いでいるのか? どこにリスクがあるのか?」ビジネスモデルを学ぶことです。われわれ物流業にも、どこで儲けているのか?明確なビジネスモデルがないといけません。「うちはここが強みで儲けているんだ」と明確に説明できるようにすることが必要です。



No.40 インドの物流は面白い
2014/4/11 更新
(※各写真はクリックで拡大表示します)
 3月20日から30日までアメリカに行き、4月3日から8日朝にかけてインドのムンバイに行ってきました。インドは始めて。Council of Supply Chain Management Professionals (CSCMP サプライチェーンマネジメント実務者協議会)が唯一海外にオフィスを構えて活動しているのがインドのムンバイ。そこで大会を開くというので、一応スピーカーとして招待されて行ってきました。日本の物流、とりわけエコドライブ、倉庫の省エネ設備などの話しをしてきましたが、そもそもこういう機会がなくてはインドなど行くチャンスがありませんでした。

 衛生状態が悪い、貧富の差が激しい、食事が合わないなど、インドはネガティブな印象をお持ちの方も多く、「好きな人」「嫌いな人」がはっきり分かれます。実際に行ってみて、確かにスラムの状態はすごいし、見た目大変な国だと思ったのですが、いわゆる物流という視点でいろいろ見ていると、日本と共通項がたくさんあって、これは結構勉強になるなと…。

1.人口が多くて(急増していて)、土地代が高いので住宅事情が悪い。よって、家に在庫することができないので、毎日細かく購入する都市型の消費。これって日本にそっくりです。よってウォルマートが進出するも、インドでは成功していません。日本も似たような感じですから、
 物流が日本と要素的に共通項を持っています。見た目は違いますが…。インド政府が小売りの外資開放に積極的でないとか、いろいろ言われていて、ようやく昨年規制が緩くなり、野党が反対しているようですが、根本的にスーパーが根付くには文化が違う感じです。

2.未だに識字率が低いため(2011年の国勢調査では識字率74%)、書類や伝票を使わないでも仕事ができる仕組みが昔からあります。主婦が作ったお弁当を家から集荷して、ご主人や家族の働く事務所などに届け、食べ終わった容器をまた回収して自宅に届ける「ダッパーワーラー」のシステムもそう。誤配率1200万分の1で、なんとISO2000取得。伝票なしというのもすごいです。さらにこれが協同組合になっている!


3.ぼろぼろのバス、TukuTuku(オートリキシャー)と呼ばれる3輪タクシーも、かなりの台数がCNGに移行しています。日本車も軽油で動くディーゼルで、燃費を非常に考えています。見かけじゃなく、実を取っています。

 とまあ、書き切れないほどいろいろと考えさせられることがありました。瞑想だとか、ヨガだとか精神的に考えるというのもありますが、まったく違う物流という視点から見ても、インドはなにかの発想を得るためのネタの宝庫です。


No.39 頭を柔軟にして災害に備える
2014/3/11 更新

 私のブログが更新されるのが毎月11日。そして年に一回3月11日が巡ってきます。対策がまだこれしか進んでいないというのは唖然とするばかりで、さらに被災地から遠くに住んでいる多くの人にとって、この震災は過去のものになっています。だから選挙でも何でも、経済政策が最大の関心事になっているのでしょう。

 この対応を見ていて思うことは、次にどこかで大きな災害が起こった場合、途上の東北復興が切り捨てられて、新たな被災地に資源を投入しなくてはならないのか? そういう選択を迫られそうです。さて、そのとき自分の会社はどうなるのでしょうか? 被災した場合、逆に被災しなかった場合。会社施設が複数箇所あれば、同時に被災する可能性が低いので、それなりにリスク分散ができ、どうにか営業は続けられるでしょう。しかし、本社=すべてという1カ所型のリスクは大きい。そういうことを考えなくてはいけない時代なのです。

 いざとなったらどうにかなるさというのは、経営としては無責任。100点満点なんて取ることはできませんが、なにがしかのことはしておくべきでしょう。トラックが全部ダメになったらどうしますか? 車庫を2カ所に分けるというのも一つの方法。河川敷のそばの駐車場は川の増水で被害に遭いそうだから、全部移動しようというのは大変で、一部だけ移動するという方法もありだと思います。

 要するに、経営者の「想定能力」が問われるわけで、その想定能力を使って、いかに部下や組織にもリスクを考える思考回路を持ってもらえるかでしょう。これは、顧客サービスにも通じる部分があって、自分勝手に物事を考え、自分の権利だとかなんだとかしか言わないような人には、かなり難しい発想です。常にお客様のことを考える、常にこういうことが起こったらどういうことになるだろう、それが結果として従業員やお客様にどういう影響を与えるだろうか? そういう思考回路なのです。頭を柔軟にして、災害に備えましょう。



No.38 人手不足、トラック不足
2014/2/11 更新

 おかげさまで、いよいよ2月21日に90周年を迎えさせていただきます。しかし、齊藤先生、森田先生がお書きになり、当サイトにも特別寄稿でトラックの不足が大きく取り上げられています。
 
 
今回のトラック不足は、バブルの時とは構造的に違います。白ナンバーと緑ナンバーの両方が、この20年近く大幅に車両台数を減らしたところに、ちょっとだけ物量が戻ったことからのトラック不足です。1年間を均して物量が減ったとしても、月別に物量がたったの5%とから6%増えただけで簡単にパンクする状況になっていると構造になっていることを理解しなくてはいけません。
 これが12月末の特積みを中心とした状況です。決して物量が20%も増えたわけではないのです。だから、季節変動でちょっとした荷動きの変化が、簡単にトラック不足を招きます。このジェットコースターのような状況をどうしましょうか? それが経営課題だと思っています。

 多くの運送会社で「ドライバーがいない」理由から、10%近いトラックが遊んでいます。約100万台の緑ナンバーがいるので、日本中では10万台が遊んでいることになる! 人手不足をどうするかというと、やはり知恵を絞らなくてはならないでしょう。単純にハローワークに求人をして「ドライバーが来てくれない」と嘆いていてもしょうがない。女性の戦力化とか、社内での人材育成の教育とか、いろいろ言われていることですが、やっぱり「世間並み」のことをしなくては、だれもこの業界に来てくれません。経営者としては、それを決断して歯を食いしばってやっていかないことには、ドライバーがいないのですから、結果として廃業に追い込まれます。共同配送を行ったり、輸送ロットの大型化をして「使用するトラックの台数を少なくしていく」という作戦も当然有効でしょう。

 とは言っても、これだけの人手不足で12月の完全失業率が下がったと言っても3.7%、225万人もいます。これらの人のどれだけがドライバーになるかというと、ほとんど期待薄。そしてドライバーには「質」が求められる訳ですから、たとえなりたいと言われても、それにそぐわない人は当然なれません。失業率が1%台になるなんてことはあり得ない話しですから、やはりわれわれの知恵と努力が必要であり、試されます。これが90周年を迎えた川崎陸送の試練、課題であり、100周年を迎えられるよう、このハードルを越えていきたいと思います。



No.37 
90周年の名に恥じないためにも「クオリティー・イン・モーション」
2014/1/11 更新

 新しい年を迎えて、みなさんいろいろと今年一年の目標などを立てられると思います。とりわけ今年は、2020年のオリンピックに向けて、多くの方々が「将来を考える」ことが多くなっていると思います。

 川崎陸送も、いよいよ2月21日に90周年を迎えることになります。変化の厳しい時代、ビジネスの環境が一変に変わってしまう時代に、先輩方から受け継いできた資産をどのように活用していくか。さらには100年に向かってどうしていくべきか。後輩としての責務があります。
 いろいろ考えていて、結局はありきたりなのですが「本業にしっかり磨きをかける」ということ。今さら得意でないことをやってみてもしょうがないでしょう。そこからが難しい。得意なことに磨きをかけると言っても、何に磨きをかけるのか? 少子高齢化の日本で、物流という仕事で、中小企業として、人・モノ・金・ノウハウ、いろいろ制約がある中で、何に磨きをかけるのか?

 はっきりと言えることは、今と同じ仕事をしていると相対的に劣化していくので、会社の業績も、従業員の賃金も下がっていきます。グローバル化の影響は直接・間接的にも大きいでしょう。だから付加価値を付けるというのも、ある種月並みですが、そうせざるを得ない。
 祖父から始まった物流の仕事が、すばらしいお客様に恵まれて続いてきたことに対し、お客様に品質でお応えしていくということが、結果として得意なことに磨きをかけ、付加価値を付けることになる。そう思って「Quality In Motion」という言葉を考えました。クオリティーは品質。イン・モーションは「動いている」「進んでいる」という意味。まさに現在進行形の品質向上が、川崎陸送の使命であるとの意味です。これはトラックやフォークが前に進むことにも掛けていますが…。

 90周年の歴史に恥じないよう、そして品質の向上には終わりがないからこそ、2024年に迎える100周年に向かって、敢えて声を大にしてがんばりたいと思うのです。



No.36 お前は運送屋になるんだ!
2013/12/11 更新

 森田先生が11月9日(土)に行われたNS物流研究会の「第5回 物流関連ゼミ学生よる研究発表会」について書いていただきました。物流に興味を持つだけでなく、ゼミで勉強するだけでなく、それを発信できる場を提供しようと、もう若手ではない?6年ほど前は若手だった?トラック運送事業経営者が集まった「NS物流研究会」が主催しています。
 物流・運送事業・ロジスティクス、なんでもいいのですが、中学でも高校でも大学でもほとんど触れる機会、学ぶ機会がありません。シルクロードは物流ですが、そういう教え方はしない。学校で接する機会のない職業について「学びたい」とか「働いてみたい」と思うのは難しい。だから本当に少しのチャンスでも学んだことを発表する機会をわれわれが提供できれば、それは物流を学んでいる学生にとって、ロボコンのような目標になると思っています。
 参加した学生にとって勝った負けたも大切です。それを見て後輩が「来年こそわれわれが優勝する」と思ってさらに研究を進めてくれれば、物流を支える人材の層は、荷主企業に勤めるにしても、実輸送の業者に就職するにしても厚くなっていくことは確実です。

 では、齋藤先生がお書きになった「後継者」について。私の場合はある意味「特異」です。川崎陸送の創業者、私の祖父である樋口由恵(よしえ)は典型的な明治男。小田原出身の私は、幼稚園の時に近所の鴨宮駅(かものみや)そばで開発されていた東海道新幹線、夢の超特急を間近で見て育ちました。そして1964年の東京オリンピック、新幹線開通。「将来なりたいもの」という作文には当然のように「新幹線の運転手さん」と書いたのです。
 しかし! それを何かで読んだ祖父は私を殴り「お前は運送屋になるんだ!」と一喝。そういうものなんだと思って、それ以降は作文でも「将来は運送会社に入っておじいさん、お父さんを助けたい」なんてことを書いていました。だから高校に行っても、大学に入っても、その考え方は変わりませんでしたが、1970年代後半、物流を勉強できる大学なんてありませんし、講座すらもない。ということで、大学在学中に物流を勉強するにはアメリカだと勝手に思い込み、ファックスもメールもない時代にアメリカ大使館や図書館に行き、「航空郵便」をバンバン使って「運送学部」なんていうのはあるのかと探していました。
 3代目として、親の跡を継ぐには物流の勉強をしなくてはいけないんだ、となんとなく自然に思っていたのが不思議です。今、日本の大学でも物流の勉強ができるようになってきました。後継者の方々にとっても、実運送事業者にとってもこれはチャンスです。だから、物流を学ぶ学生を応援しなくてはいけないと思っています。
 私自身、祖父の言うことをけなげに?信じて、運送屋になったのですから…。

 ところで、宅配の会社がマニュアル通りに保冷の貨物を配達していなかったという問題は、われわれ運送事業者にも大きな問題です。マニュアルとはどこまで書いて、どこまでドライバーの応用に任せるべきでしょうか?
 例えばこんな事例。不在通知が複数あって、一つはお父さん、一つはお母さん、一つはお嬢さん…。お父さんが、明日は戻りが遅いので配達を明後日日曜日の午前中にして下さいと連絡。
 その連絡を受けた配達ドライバーは気を利かせて、そのお宅のすべての貨物を明後日日曜日の午前中に配達するという対応をしてしまいました。実は土曜日に必要な商品を注文していたお嬢さんは…。
 これって難しいし、ものすごーーく面倒な対応です。そこまで宅配のドライバーに「品質」を求めますか? 

 以上いろいろ書いて、本年最後の当欄ブログといたします。良いお年をお迎えください。



No.35 キャパシティー(処理能力)を超えた物量
2013/11/11 更新

 最近講演の機会を頂戴したときにお話をさせていただくことが多いのが、「物流部門のキャパシティー(処理能力)を超えたオーダー、出荷指示を出しても平気な営業と、それをしょうがないと思って受け入れている物流の現場」の問題です。
 1日に100台しか出荷能力がない倉庫に、年度末だからと言って200台を超える出荷指示を出す。出荷優先になるため、当然入庫のトラックは長時間待たされます。東京港のコンテナヤードで長時間待たされているコンテナドレージ業者も同様です。6時間とか8時間待ちというのは、ある意味人権問題です。

 これと同じ問題が最近ヤマト運輸や郵政のクール便でも起きています。世間ではヤマトや郵政が不正を行っていたという報じ方ですが、これも原因を考えれば立派なキャパシティー問題です。そもそも不思議ではありませんか? 猛暑の今年、昨年でも、ヤマト運輸が「これ以上クール便を引きうけることはできません」と集荷を拒否することがないのは? 
 北海道や九州に旅行に行って、お土産に海産物を送ろうとしてお店に依頼しても「真夏でクールは容量をオーバーしているから発送は3日後でもいいですか?」なんて聞かれることは絶対にありません。お店も、業者もすべてがクール便と頼まれたら、そのまま受けて割増の料金をもらって…。配達の台車に載っている保冷ボックスの容量を見ても、とてもそれだけ配達しきれるとは思えないし…。

 現場で何が行われていたかは、報道されているとおりです。発泡スチロールの箱に保冷剤をきちんと入れて、テープで封をして「常温便」で送る方がまだましです。北海道や九州からの場合、空を飛んでいる間、貨物室は冷えていますから…。そう言えば、集荷したり到着した貨物が空港で待機している時間はどの位なのでしょうか? 発着便数など方面によって異なるでしょうが、空港にそれだけの保冷設備があるとは思えないし…。

 結局、キャパシティーオーバー(あるいはそもそもキャパシティーが最初からない!)の物量になると、以下のような対応に分かれるのです:
1) 全部の処理が終わるまで、何時間かかろうがじっと我慢して黙々と処理をする。
2) 決められた処理をせずに、ショートカットして、形だけ間に合わせる。
3) できないと言って、堂々と断る

 最後の選択肢は稀です。1)と2)は、何でもかんでも「翌日到着」という「妄想」があるから、こんなことをするのだと思います。限界を超えているときは、限界を超えたと素直に言うべきであり、それを荷主も学ぶ出来だと思います。物流事業者は奴隷ではありませんから…。
そのために、予約を取ったりして計画的に仕事をする必要があるのですが、それについてはまた後日



No.34 初の加害死亡事故を起こして
2013/10/11 更新

 10月3日(木)午前7:20頃、川崎陸送のトラックが茨城県五霞町で死亡事故を起こしました。営業所からすぐの見通しの良い直線道路を走っていて、赤信号のT字路交差点に自転車で侵入してきた被害者に接触した事故。81歳のろう唖者です。これから過失割合が警察の捜査で決まっていくことになると思いますが、それでもお一人の命が失われたことに違いはありません。亡くなった女性の通夜・告別式に参列させていただき、ご冥福をお祈りしてきました。

 加害死亡事故は当社89年の歴史において初めてです。死亡事故で会社の代表として弔問に伺ったのも初めてです。被害者の方、ご家族、関係者、加害者、会社の人々すべてが嫌な思い、辛い思いをする交通事故です。なんとかなくしたいと思い、安全教育などがんばってきました。その中でも最近注意をしていたのが「高齢者が被害に遭う事故」です。交通弱者とも呼ばれていますが、少子高齢化でお年寄りの事故は増える一方です。徘徊していて夜間の国道に迷い込んでしまったり、高速道路を逆走したりと、この手のニュースをよく聞くようになりました。これからも増えるでしょう。

 「避けようがない事故」と言ってしまえばそれまでですが、これだけ増えてきたら、想定外を想定内にする努力をしなくてはプロとは言えない。どんなトレーニングをしたらいいのか? 危険予知トレーニング(KYT)の内容も、もっといろいろ工夫しなくてはならないでしょう。

 そもそも高齢者の事故というのは、トラックドライバーだけの問題だけではなく、普段乗用車を運転するすべての人に対してもかかわって来ます。人を轢いてしまえば、どのような条件でも、一定の過失責任が車の方に回ってきます。夜間に一般道で寝込んでいた歩行者が車にひかれた場合、運転手と歩行者の過失割合は5対5が原則とも言われています。
この現実を認識して、さらに今回の事故を教訓にして、新たな対策を考えていくことがトラック運送事業者としての責務です



No.33 パナマ運河の拡張
2013/9/11 更新
 先月のこのブログで長さ53フィート(約16.2m)、高さ9フィート・6インチ(約2.9m)のコンテナ=トレーラーがアメリカで急速に普及している様子をご紹介しました。日本で見る海上コンテナは40フィート(約12.2m)です。当然こんな大きなコンテナが国内を走れるわけがありません。しかし、世界のトレンドとして、幹線輸送、すなわち消費者から見えないところでの輸送はどんどん大型化してきています。

 海上輸送の世界では、2015年にパナマ運河が拡張され、巨大コンテナ船が通れるようになります。物流の基本、幹線輸送は大型で、末端配送は小型で、を船では「幹線輸送は巨大コンテナ船で」という時代に突入します。どの位違うかというと、東京港などに入ってくるコンテナ船は8000本から9000本のコンテナ(20フィート換算)を積むことができますが、巨大コンテナ船は14000本近く積載できます。ほぼ5割アップです。

 この拡張で、アメリカ東海岸の市場向けに、中国から直行便を出せるようになります。もうロサンゼルスで鉄道車両に乗せ替えて(ピギーバック)、ゴトゴトと東海岸の都市に持って行く必要がなくなります。リードタイムが短くなるのです。すると、日本に寄港して輸出貨物をアメリカに積んでいってくれる船が少なくなるのではないか? 東海岸という巨大な市場の需要をまかなうだけの大量貨物を積んで、中国や韓国からまっすぐ行った方が、リードタイムも短く、途中寄港する費用なども安くなると考えられるからです。それによって、日本の輸出の仕方も今まで以上に釜山経由が多くなっていくのではと予想されます。

 で、われわれトラック業界にとってどうなのか? 地方港に持って行ったり、地方港から持ってくる貨物が確実に多くなるだろうということ。これにTPPが加わってくると、東京・横浜・名古屋・大阪・神戸といった5大港に対する影響も大きいでしょう。パナマ運河の拡張一つで、モノの動き方が日本国内でも変わってくる予感がします。これからトラックの車庫をどう配置していきましょうか?



パナマックスサイズのコンテナ船に比べて、スーパー・ポスト・パナマックス船の巨大さが分かる

出典 : WEBサイト「rachel edmonds」



No.32 アメリカのハイウエーで日本のコスト高を思いました
2013/8/11 更新
(※各写真はクリックで拡大表示します)
 7月19日(金)から30日(日)にかけて、アメリカはシカゴ、ニューヨーク州の田舎町シャタウカ(ニューヨーク市ではありません)、そしてインディアナポリスに行ってきました。
 今回は日程の関係上、飛行機で移動すると、乗り換えたりする時間がもったいないので、久しぶりに国内の移動2800Kmほどをすべて車で行いました。ハイウエーをこれだけ運転すると、いろいろ運送屋的な視点で感じることがありました。アメリカも夏休みシーズンで、飛行機のコスト、セキュリティーチェックの時間などを考えると、ガソリン代が高くなっていても家族で車を使って夏休みというのが多いようです。みなさん、どう思われるでしょうか? アメリカだからできる? 日本でも考え方として採り入れることはたくさんあると思うのですが…。
1.トラックの多さとアメリカ経済

シカゴから80号線(I-80)90号線(I-90)を使って東へオハイオ州を通ってニューヨーク市に向かう大動脈を走ると、土日であろうがトラックの多さに圧倒されます。アメリカのトラックによる輸送分担率は約60%。これは隣接するカナダ、メキシコ間の輸送でも同じ割合です。トンキロを考慮すると鉄道や内航海運のシェアが増えますが、それでもこれだけの物量を運ぶトラックと、それを要求する巨大な消費が存在することを実感。

2.有料道路が増えた

 無料のフリーウエイという言葉はもう過去のモノ? いたる所で料金を払うことに。レンタカーでE-Z Passという機械(写真)を借りて楽でした。75セントとか2ドルとか、日本に比べたら安いのですが、これは老朽化したインフラを直すための費用に充当されると同時に、近年問題になっているハイウエーの渋滞問題解消にも使われます。 財源確保のために無料だった道路を有料にするという「切り札」がアメリカにはあります。日本は作る時点で有料化が前提でしたから、今や切り札なし。誰が橋や道路を「強靱化」のためにファイナンスしていくのでしょうか?

(左)E-Z Pass本体
(右)ダッシュボード設置用のケース

E-Z Pass本体をケースに入れてセットし、
ダッシュボードのどこでもいいから置くだけ
3.かんたんなシステム

 写真の機械は「虫コナーズ」ではありません。日本で言うところのETCの機械です。実に簡単にできている。とにかく吸盤でダッシュボードにくっつけるだけ。と言っても日差しで熱くなるのではがれて、ダッシュボードの上を行ったりきたりしていました。液晶画面が付いていたり、女性の声で「通行できます」「○○ドルです」などと話してくれません。無言です。通過してもチャイムすら鳴りません。大丈夫なの?と心配になりますが、よく考えるとこれで十分です。サービスエリアの売店で機械をもらって、クレジットカードを使って申し込むと、3日後に開通するそうです。「三位一体」なんていうのもありません。取り付け工賃も不要です。機械はハイウエーの組織から無料で借りる形です。

4.53フィート、9フィート・6インチが大普及

 国際貿易における海上コンテナは、40フィート(約12.2m)から45フィート(約13.7m)に主力が移りつつあります。しかし、アメリカ国内は53フィート(約16.2m)になってきたと思っていたら、高さも背高コンテナと同じ9フィート・6インチ(約2.9m)が目立つようになってきています。これだと、容積で比較すると40フィートコンテナのなんと57%も余計に積み込めます。これがある種アメリカのエコに対する手法。個別のトラックの燃費はともかく、幹線輸送部分を徹底的に大型化していく。それによってトラックの使用台数そのものを減らす。結果としてドライバー不足への対応にもなるのです。だからこれだけの大型コンテナが一気に普及しつつある。日本でも東名高速の東京・大阪間だけでも規制緩和が求められます。
 いつもより長めになりましたが、道路を走るだけでもこれだけの違い。物流コストは企業の競争力にも大きく影響します。それは国としての競争力にもつながります。われわれ完璧を求めすぎていて、なにか大事なところを見落としているような気がしてなりません。


No.31 森田先生と齊藤先生の話を受けて
2013/7/11 更新
 森田先生が書かれた「トラック運送の契約書文書化」の問題。おっしゃるようにスポット取り引きが問題ですが、そもそも論で、自分がトラックを運転して、あるいは営業で外出している合間に携帯を使って配車をしている方々が、どこで文書を書くのか? それをどうやって送るのか? が問題です。いわゆる「水屋」=取次をしている方々。

 現実的に運転しながらできる文書化を考えないといけません。そうなると、やはり「文書がない場合はすべてこの約款に従うことにする」という、例外はすべて約款に準じると決めた方が、ずっと現実的であると思うのですが…。
 具体的な金額は決まらないまでも「支払い条件は翌月末までの振り込み、2時間以上待たせた場合には留置料を支払う」などの決め事を、今より詳しく約款の中に入れてしまえば良いのではと思います。逆に契約書を結ばないと約款に従わないといけないから不利だというインセンティブが働くのではないでしょうか。
 
 スポット契約に「参加率が高い」水屋の方々=取次を縛られないといけません。元請け->実運送会社->純粋水屋->実運送会社 という契約だと「純粋水屋」が書面を発行しなかったとしても、今回の改正では罰せられることはないのです。結局書面化しなくてもいいってことでしょうか? 100%取次の子会社を作って、そこを通せば文書化は一切しなくていいことになってしまう!?

 齊藤先生がおっしゃった学生さんのキャリア選択での考え方。離職率が低いところを選ぶというのはなるほどです。しかし、やっぱり安定を求めていて「自分のキャリア」という考え方=「転職してキャリアアップ」は考えられないのでしょうか。入社して10年くらいキャリアを積んでから、物流のスペシャリストとして転職を考える…。いろいろな会社に移ってステップアップする。キャリアプランとしてはある種グローバルスタンダード。そんな考え方を最初から持っている学生さんがいないのは、日本全体の問題です。

 物流のスペシャリストがキャリアの階段を転職しながら昇っていかないと、結果日本の物流管理レベルは上がっていきません。海外に打って出ると言って、海外で物流を議論し、推進できる人材がどのくらいいるのでしょうか?
 日本のきめ細かい物流を世界に発信して…といった合い言葉が、物流大綱を作る過程でも委員会で述べられていましたが、それを普及させる人材が本当にいるのか? 中国の方々が大量にアメリカに留学して物流を勉強している事実を考えると、人材の数からして、日本はすでに抜かれてしまっています。日系のメーカーの物流を担当するだけでグローバル物流とは言えないのです。

 物流のキャリアというのは、同じ会社に安住していてはレベルアップしないというのが私の持論です。だからこそ、キャリアアップを真剣に考えたら、希少価値でチャンスだとも思うのです。



No.30 ロジスティクスのムダ取りが必要
2013/6/11 更新
 5月29日に私が代表を務める物流ソフトウエアの会社、(株)エル・スリー・ソリューションから「リーン・ウエアハウジング〜ムダのない倉庫・配送センターをめざして〜」という、倉庫・配送センターの管理・運営向け教科書を翻訳出版しました。
 社内での教科書に使いたいと思い翻訳。どうせ翻訳するのであれば、ちゃんと出版した方が読みやすいということで…。

 倉庫・配送センターのムダをなくすことで、それにかかわるトラックにも計り知れない好影響が出てくることがこの本から分かります。倉庫は倉庫、トラックはトラックと分断されてしまっている今の状況は、日本の「物流後進性」の象徴でもあります。
 ロジスティクスと言っているのであれば、倉庫、トラックなどは「一連の流れ」としてとらえなくてはなりません。しかし、相変わらずトラックが配達先や積み込み先で長時間待たされています。

 この7月に閣議決定される予定の「物流大綱」を議論する委員会に参加させていただきましたが、東京港での渋滞問題が具体的に文章に盛り込まれました。日本の国際競争力を強化するためにも、ロジスティクス面でのムダを省かないといけません。全体最適と言っておきながら、実はトラックにしわ寄せがすべて行っているような状況は、結果としてモノづくりの足を引っ張ってしまいます。「正しい物流に対しての知識」が必要です。
 倉庫や運送のオペレーションについて、きちんとした教育がないと、「無知な人たちが自分たちだけよければいい」という部分最適のシステムをどんどん作ってしまいます。駅中ビジネスなどはその典型で、あれだけ駅の中にお店を作って、誰が商品の搬入をしているのか?駅にどれだけトラックが駐車できるスペースがあるのか?そういったことがほとんど考慮されていません。

 「リーン・ウエアハウジング」はトヨタ生産方式(TPS)の「ムダ取り」の考え方を倉庫に持ち込んだユニークな教科書です。これをさらに輸送にまで展開することが必要でしょう。諦めずに、こういった努力を地道にしていこうと思います。


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倉庫、配送センターに携わる方々必読!!
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No.29 「年収100万円も仕方ない」へどう反発するか?
2013/5/11 更新

 4月23日(火)の朝日新聞朝刊に掲載された、「世界同一賃金」の方向性を示したユニクロの柳井社長のインタビュー記事が波紋を呼んでいます。「Grow or Die(成長か、さもなければ死か)」など刺激的な言葉が話題を呼んだようで、ブログなどでは「やっぱりブラック企業」とか「ユニクロ不買」など賑やかです。「年収100万円も仕方ない」で検索していただくと、たくさん出てきます。

 私が驚いているのは、このグローバル化についての意見に対する批判の矛先が、柳井さんに向いているだけであって、アジアのそれも中国などの安い人件費の国に向かっていないことです。あれ? どうして? 
 これが今の日本と他の国との大きく違うところだと思うのです。普通は「仕事をよこせ!」ということで日本車や中国製品を燃やしたりして気勢を上げるデモが発生します。飽くまで外国の場合ですが…。しかし、日本ではそうではなく、ユニクロ批判になってしまう。
 シャープやその他家電メーカーの景気が悪くなって、その原因となった中国のメーカーや、サムスンなどが批判されることはない。本来ならサムスンの不買運動が起きても不思議ではない状況なのに。自分の生活は安い海外の製品でもなんでも買う、だけど自分の仕事は「日本スタンダード」でいたいという意見なのでしょうか。なんとなく、日本人は高い給料のままで、安い給料は新興国に任せたいという、日本人の潜在的な意識?が見えなくもないのです。これって過激な意見でしょうか?

 柳井さんは政治家ではないので「世界の現状を淡々と語っているだけ」とも言えなくもない。あるいは「世界の現状を社員に分かってもらいたいと熱弁をふるっている」のかもしれません。ブラック企業と言われている部分を私は知りませんが、世界がフラット化しているという現実については理解すべきでしょう。消費者は同じTシャツ1枚を買うにしても、2000円の国産と、1000円の中国製ではどちらを選ぶでしょう。

 翻って、トラック運送事業者のほとんどが、グローバル化が難しい「まるでドメスティック」な会社です。当社も海外に進出してはいません。では、どうやったら「年収100万円は絶対に嫌だ」と言って生き残れるのか? 経営者として必死に考える。ユニクロでも、中国や韓国のせいでもなく、ましてや荷主のせいでもなく、これは自己責任です。中国、インドを批判するのか? ユニクロを批判するのか? そうではないと思います。

 最近このブログシリーズで話題になっているインターネット通販、あるいはネットスーパーの配送。それをお届けする方々の年収はいくらであるべきでしょうか? 是非考えてみていただきたいと思います。

「年収100万円も仕方ない」ユニクロ柳井会長に聞く はこちら



No.28 1年中セーフティー・ドライバーズ・コンテスト
2013/4/11 更新

 セーフティー・ドライバーズ・コンテストというのがあります。東京都トラック協会のものは、ドライバーが5名1チームを編成し、10月から翌年3月までの半年間、チーム全員の無事故・無違反を競います。見事達成すると、ちょっとした記念品をお渡しします。無事故・無違反の確認は、全員の運転経歴証明書を取り寄せ、何もなかったことを証明してからという手順です。
 そこで、私が支部長を務めさせて頂いている、東京都トラック協会港支部では、昨年から支部独自のセーフティー・ドライバーズ・コンテストを開催。第1回目は3ヶ月間行いましたが、この4月からは半年間行い、10月からの東ト協本部が音頭を取るコンテストと合わせると、なんやかや言って、1年中コンテストに参加することとなります。
 ただし、ドライバーが8人しかいない事業所は、本部主催では5名一組なので、1チームしか参加できません。それをちょっとだけでもフォローする意味から、港支部のコンテストは3名1チームとして、より参加しやすくしています。

 本部主催のコンテストで、無事故無違反の達成率(チーム数)が60.9% 都心の支部ということか? 結構駐車違反などで捕まっています。もちろん5人1チームですから難易度が高い。これが支部独自で3ヶ月間行ったところ、3名1チームということも手伝って、182チーム546名が参加して、152チーム83.5%が達成! この数字を見て調子に乗って、今年は6ヶ月やろう! この取り組みで、目指すは本部主催のコンテストで達成率1位になることです。

 実際には最初の月に事故や違反をしてしまう人もいるので、半年というのはモチベーションを維持するには大変です。そこで、毎月自己申告で各社に状況を報告してもらい、毎月発行している支部のニュースレターで状況をお伝えします。そして、3ヶ月経過して無事故なら「3ヶ月達成表彰」 そして半年経過したら「6ヶ月達成表彰」することに。6ヶ月後の成績は運転記録証明書で、正式に確認を行います。
商品は1000円のQUOカード。達成賞の形にデザインされています。港支部の手作り感満載ブログにご紹介してありますので、ご覧ください。
ということで、今回は、こんな活動もしているというご紹介でした。
東ト協・港支部のブログ「【報告】11/10(土)ドライバーズ・セミナー新企画で開催!!」はこちら

 それから、齊藤先生の通販の無料配送のお話。示唆に富みます。
で、日本でも無料配送をしているアマゾンの、アメリカでの無料配送とはどうなっているのか? 以下にご紹介します。名付けて「フリー・スーパーセーバー・シッピング」
 $25以上の買い物をした場合が対象。注文商品がすべて揃った後の5から8営業日以内に出荷されます。これが無料配送の条件です。さて、この条件、みなさんどうお考えになりますか? 同じアマゾンです…。



No.27 改めて311を考える
2013/3/11 更新

 ちょうど2年前になります。あれから日本は、みなさんはどう変わりましたでしょうか?

 2月22日に経団連ホールで行われた、日本倉庫協会主催の中小倉庫事業経営者セミナーで「大災害が倉庫業経営に与えた影響」と題して、阪神淡路を経験した経営者、東日本大震災を経験した経営者に集まっていただいたパネルディスカッションの司会進行をさせていただいてきました。
 ここ数年私が司会進行役をさせていただいているパネルディスカッションですが、今までは「倉庫業の生き残り戦略」と題して、各社の知恵というか工夫を紹介する感じでした。しかし、311を受けて、やはり経営に災害がどう影響するか? 復興状況とは別に、企業の足腰、体力という面で何を学び、また何を足りないと感じたのか? さらに、経験して得たものはなにか? それを聞きたかったのです。
 だれも災害を経験したいとは思いませんが、経験しただけでは意味がなく、それについて学び、対策を施し、そしてそれを会社のDNAにして風化させない。言うは易く行うは難しです。だから事業継続は必要で、それも自分のこととして真剣に考え抜くことが必要だと思っています。
 このパネルで3名のパネリストが共通していたことは、これで自分の会社も仕事も終わりかという危機に際して「ぶれずに、明るく」という態度でいること。トップがぐらついたら組織がバラバラになってしまう。だからこそ社長がしっかりという、ごく当然のことですが、これはその場に遭遇したら大変なことであると思います。
 社長は家族が被災したら会社の面倒を見られなくなる。だから頑丈な家に住まなくてはだめだという発言や、社長と専務は同じ飛行機には乗らないというのも、事業継続(BCP)というより、経営者としての哲学だと感じました。

 事業継続はいろいろと言われていますが、具体的にどうして良いのか分からないという声が多いのも事実。まずはできることからなのですが、なかなかそれが手に付かないようです。電話連絡網を作る。そのリストをきちんと毎月確認する。従業員の方々で、誰が事業所の一番近くに住んでいるのか? 到着するまでの時間はどの位か? そんなことを調べるだけでも第一歩になるでしょう。いきなり大げさにマニュアルを作る必要はないと思います。ちょっとしたことだけでもやっていると、いざという時に大きく違うでしょう。
 そういう気持ちを持つこと、それを実践していくことが経営者としての責任であると思います。
 阪神淡路で被災した会社では、震災を経験していない社員が多くなっているために、経験が風化しつつあるという危機感もあるそうです。時は悲しみを忘れさせてくれますが、逆にこの経験を風化させず、しっかりと活かしていきたいと思います。



No.26 5年先の物流・仕事を考えて行動する
2013/2/11 更新

 2月2日に社内で発表した、この4月からの川崎陸送の経営方針です。今月2月21日に川崎陸送は89歳になり、来年2月にはなんと90歳! だからこそ先を見て仕事を考えていこうという思いからです。
 少子高齢化による人口減少。年に70万人近くも人口が減っていくと、5年で350万人とか400万人。電車が空いたなとか、予約が取りやすいなとか、そういう実感がいずれ出てきます。当然物流の現場も「高齢者だらけ」ということに。高齢者と女性の活用という言葉をお題目にしていてはいけないでしょう。今からでも遅くないからみんなで一緒にいろいろ考えて、物流もそうだし、自分の仕事も変わっていかなくてはいけないと訴えています。

 そのような中で、全日本トラック協会が主催した「青年経営者等による先進的な事業取組に対する顕彰」に当社の倉庫、流通センターで行っている「トラック受付システムの成果と予約システム開発による倉庫入出庫業務のさらなる円滑化(トラック待機時間の大幅短縮)」を応募していたところ、正式に選んでいただくことができました。
 全部で5件が入選で、懸賞金として100万円頂戴できる! 社内の土曜勉強会で4チームによるコンペを開き、そこから選ばれたアイデアが肉付けされての応募。メンバーも喜んでいます。

 配送センターに入ってくるトラックが、積み込みや荷卸しで来たときの受付を「タッチパネル」でできるようにし、そこから得たデータで、どの時間帯にどの位のトラックを待たせてしまっているかが分かります。それによって、何時の時間帯にトラックの積み込みや荷おろしをする現場の人員をどう調整するか? 対策を打つことで、待ち時間を少なくする=物流の効率化につながります。
 実はこのシステムで、京都の倉庫はそこそこうまくいくようになったのですが、埼玉の事業所ではまだまだこれがうまくいっていない。そこで、今度は受付だけでなく、トラックの予約受付システムを作ろうと考えています。

 欧米の物流現場では当たり前のシステムですが、日本の物流の現場ではほとんど行われていない。病院や美容院、床屋さんでは当たり前なのに、どうして物流の現場では予約ができないのでしょうか? 不思議です。日本ではアマゾンさんの配送センターで、当然そのシステムが動いていますが…。
 夜間でもどこからでもドライバーや配車の方々が予約を入れられて、トラックの待ち時間がとにかく少なくなるような仕組みへと進化させたいと思っています。こういう一つひとつの取り組みが、結果として5年先、その先の物流に対して効果を出してくれると確信しています。今のままでは地盤沈下していくだけですから…。

<お知らせ>
当社のホームページが2月14日(木)にリニューアルされます。当日リンクを張らせていただく予定ですので、是非ご覧になってみてください。メディアリンケージの皆様のご協力をいただき、なかなかがんばったホームページです!?

 ⇒川崎陸送の新ホームページはこちら
 
当社受付システムの画面(ドライバーがタッチパネルで操作します) ※画像をクリックすると拡大表示します


No.25 諦めないで「良い人材求む!」
2013/1/11 更新

 あけましておめでとうございます。本年もご愛読のほど、よろしくお願いします。

 齊藤先生が当ブログで取り上げられた『「目立たない」、「地味」、「社会的にあまり認知されていない」というコンセプトに、物流の現場が適しているということである。よりポジティブに考えれば、「縁の下の力持ち」、「地道に頑張っている」ことを象徴するのに、物流の現場が選ばれたとも考えられる。しかし、物流の最先端部分はよりアグレッシブで、社会をリードするエリート集団をも形成していると認知されるようになってもらいたい。』について。

 私もまさに同感で、このイメージを変えることが必要だとも思っています。業界のため? それ以上に自分の会社のためでもあります。
地味が悪いということではありません。しかし、本当は面白い仕事なのに、この業界で大変な可能性を持つ若者に来てもらうチャンスを逸してしまい、その若者にとっても大きく成功するチャンスを逃してしまっているのではないか? 他の業界に行ってしまって失敗しているかもしれない? 一期一会とは言いますが、一度でも出会うチャンスをお互いに逸している気がします。

 ではどうするべきか? 私の結論は中小企業であろうとも、何十年かけてでも、孫末代にまで言い伝えてでも、よい人に来てもらいたいという努力を諦めないで続けること。世代から世代への継承が組織ですから、それを怠れば、いつまでも「しょうがないよね」「縁の下の力持ちだから」と自虐的に言い続けるだけでしょう。

 グローバルに考えると、ロジスティクスやサプライチェーンの世界では、それを企画する部門は今や数学の博士号を持っているやつらがうようよいて、逆に現場での配達や荷役では非正規労働という、大きなギャップを生んでいます。矛盾? それをなんとかマネジメントしていくのがわれわれの仕事でしょう。事実、私が入社した25年以上前と今日、当社も求める人材の質が大きく変わっています。組織は人によって進化するもの。この2013年も良い人に来てもらうために、諦めずにきちんとやるべきことをやりましょう!



No.24 プラットフォームを作る
2012/12/11 更新

齊藤先生「身を粉にして働いて精一杯頑張る」
私「基本を知った上で、やるべきことを考え抜く」
森田先生「平時でも非常時でも経営者に求められるのは「基本を知った上で」(樋口社長)、「精一杯頑張ること」(齊藤教授)」
齊藤先生「プラットフォームを利用した横展開、多角化」とつながってきました。

  プラットフォームとは物流業で言えば、それをベース、共通のサービス、インフラにして仕事をその上に乗っけて広げていく。イメージ的には、ある商品群の共同配送をするためのネットワークだとか、ある地域に特化した物流網。特別な技術を備えて配達するドライバーの集団。お客様の在庫管理を容易にする物流システムソフトなどもあるでしょう。
川崎陸送のプラットフォームとは何か? お客様の構内に入って工場のモノの入りと出をすべてお任せいただく、という当社のビジネスモデルのベースはどうも「プラットフォーム」とは言えないような。

それよりも、ここ数十年かけて作ってきた輸入食品の通関・流通加工・共同配送というサービスが、どの輸入商社、メーカーの方々にもご利用いただけます。いろいろなお客様に共通して使っていただけるからこそプラットフォームと言えるのでは? だから横展開が可能。 やはり「自分の強みを知る」ということから始まるのでしょう。SWOT分析は社長さんが自ら徹底的にやらなくてはいけないと思います。それによって自分自身が自分の会社に対して納得できます。SWOTを精一杯やると、自らの「弱み」もたくさん分かってしまい、ある意味絶望。道は遠いとがっくりきます。

何をして、何を売っていくのか? 単に運ぶだけではプラットフォームはできない。己の強みと弱みを知り、徹底的にやるべきことを考え抜くと、プラットフォームを作るためのネタが見えてくるはずです。それが「営業のための武器」になっていく。 私もこの正月休みに、SWOT分析のリニューアルをする予定でいます。



No.23 基本を知った上で、やるべきことを考え抜く
2012/11/11 更新

 物流に携わってもうかれこれ30年以上経つ。ずっと思っていたのが「物流の基礎の基礎」を教えてくれる教科書が日本にはなかなかないということ。アメリカで勉強をし始めたときに使った教科書のようなものがないのか? そんなことをずっと思っていて年月だけが過ぎ、そしてようやくこのサイトを運営しているメディアリンケージの伊藤さんのお力添えで「ロジスタ」を開設することができた。

 そもそもアメリカに行ったのは、日本で物流を教えてくれる学校がないから。当時アメリカに留学して物流を勉強すると話すと「国鉄に入るつもり?」なんて言われてしまい、面倒なので「はいそうです」と答えていた。
 最初に受講した科目は「トランスポーテーション入門」 そこでトラック、鉄道、船舶、航空、パイプライン各輸送モードの特徴とか、トータルコストで考えるとかを右も左もよく分からない身で教わり「なるほど、そういうことなのか」と感心した。だから、ロジスタの最初の授業は、まさに私がアメリカで受けたこの科目のそれも最初の授業「輸送の5つのモード」をアップさせていただいた。

 少しでも、このロジスタが物流の基礎教育に貢献できればと思っている。基本が分からずに応用編の3PLだ、サプライチェーンだと語ってもしょうがない。まして、運送屋、倉庫屋を本業にするのであれば、それらをきちんと勉強した上でお客様に接していかないと失礼に当たるだろう。お客様はわれわれを「プロ」と見ていただいているのだから、もしわれわれの物流についての知識レベルが低ければ、当然呆れられるか、バカにされるであろう。
 さらに経営する上では、基本をきちんと知った上で、自分、自社のなすべきことを徹底的に考え抜いてみる。単に運ぶ、保管するだけではなく、自社の強み、弱みを考えて強みを伸ばす、弱みを克服していき、ぶれずに地道に実行していく。それが責任ある経営だと思っているし、今月の齊藤先生のエッセーに対する私なりの答えである

◆ 物流・運送業界のための教育支援サイト「ロジスタ」はこちら


No.22 スマホのアプリを作るのと同様のアイデアが必要だ
2012/10/11 更新

 齊藤先生が書かれた「オーバースペック」の問題。森田さんが書かれた「原価以上の収入を得る問題」ともに中小企業にとっては悩ましい問題である。よく言われる日本のガラパゴス化。なんでもかんでも翌日10時に到着するというサービスはどうなのかという疑問が常にある。世界の常識は「早く到着するなら割増料金で」ということではないだろうか。それが逆にすべて割増料金でシステムが成り立っているかの状況。しかし、今や本の通信販売は当日お届け…。本当にみんな当日に手に入れて読んでいるのだろうか? 明日でも明後日でも構わないと思う場合、割引にならないのか? 素直な疑問である。本に限らず実際に末端で下請けとして運んでいる実運送事業者はどうか。

 これを付加価値と呼ぶのだろうか。確かに原価を上回る収入を得るには「アイデア」が必要。アイデアがない「下請け専門」ではどうやっても利益を確保することが難しい。ではなぜアイデアが出ないのか? トラックを動かすということだけに固執しているからだろうか? 「トラックを使ってどんなサービスを提供するか?」という発想に目を向けないと、いつまでも「運賃が安い」と文句を言っているだけになる。それは営業力の差にもなっていく。

 中小零細は営業力が乏しいと言われるが、小さなマーケットを相手に大手が入ってこない場所はまだまだあるだろう。「ちょうどいいレベルのサービス」をそういうマーケットに提供できれば採算は取れるはずだ。「きれい事だ」という人が多いが、それではスマホのアプリを作って稼いでいる人たちはどうなのだろう? 個人制作者にとっては、ほとんどがちょっとアルバイト程度に作ってみたら当たったという感じである。しかし、確実にニーズをとらえたものであって、下請け仕事ではないという厳然たる事実がある。われわれで言うところの5輌未満とか個人トラックだ。アイデアなしで勝負するのは、素手でけんかをしているのと同じだろう



No.21 大雨、停電で大反省
2012/9/11 更新

 8月17日に京都府久御山周辺で大雨がありました。そして周辺が突発的に停電。川崎陸送の京都営業所および久御山営業所の2つの倉庫で停電を経験しました。
 これがはっきり言って情けない話で、警備会社のセキュリティーロックが停電で空かなくなり、合い鍵を持っていないので入れなくなってしまった。さらには、せっかく非常用のフォークリフトのバッテリー電源バックアップシステムを持っているのに、中に入れないから使うことができなかった。

 そんなもんですね。やはり関西方面の営業所は昨年の関東地区の節電対策からは「距離を置いていた」ということで、危機感が明らかに足りなかったと思います。大飯原発問題があっても停電はどうにか避けられると思っていて、いざという時の心構えができていない。
原発に起因する停電はある意味特殊なことで、本当は突発停電、それも地域限定停電の方がいくらでも起こりうる「身近な危険」です。
 これにスマートに対応できなかった。さらに事務所の電話の主装置が壊れて、すぐには復旧できず、連絡もなかなか取れなかった。合い鍵がないから警備会社に連絡をしたら、忙しすぎてすぐには来てくれなかった…。
 こんなものなんです。だから毎月練習をして、体で覚えておかないといけない。

 ということで、今回の停電をベースに、反省会を開いてもらいました。この結果は9月10日に発行した当社の社内報でも詳報しました。他の営業所にも「馬鹿にしないでね」という意味で伝えます。こういう経験をしないと、みんなまじめに対応しないでしょう。実際に失敗を経験してやっと分かってくれる。私がいくら言ってもそれだけでは無理でしょう。
 いろいろな場所で当社の事業継続対策についてお話をさせていただく機会がありますが、今回の経験は正直にみなさんに伝えたいと思っています。「ちゃんと予行演習をしていないと、いざという時、結構情けないですよ」と…。お客様の物流を止めてはなりませんから。



No.20 危機管理と下請け管理
2012/8/11 更新

 7月26日と27日に米国シカゴで開催されたサプライマネジメント協会の「危機管理セミナー」に参加し、『「事業継続」のためのサプライチェーン・マネジメント実践マニュアル』の著者、ベティー・キルドウさんに初めて実際に会ってきました。

 今回、根本的に考え方を改めなくてはいけないと思ったのは、下請け供給先の管理も含めて、もっと事業継続、リスク管理の考え方を持たないと、それは「無責任」に仕事をやりっ放しにしているのだということです。
 多くの会社が「コストが合わないから下請けに」「傭車に任せる」という経営戦略をとっていますが、では、下請け管理ができていますか? 外注する=リスクが多くなるということを意識していますか? 陸援隊の事件後でも、まだ理解が進んでいないのかもしれません。キルドウさん曰く「下請けに回しても、リスクまで下請けには回せない」

 日本の製造業レベルの品質管理がなぜトラック運送業界でできないのか。労働組合もメーカー系の組合と比べてどうなのでしょうか?組合があるから、長距離運行などは組合に入っていない中小零細に下請けに出されている。これは業界として反省すべき点です。

 未だに社会保険に入っていない運送事業者がいます。Gマークを取得できているのは全体の25%程度。本当は全ての会社がGマークを取得していて当然のはずです。われわれの業界の「質の悪さ」を反省しなくてはいけないでしょう。手取りが減るから社会保険に入りたくないというドライバー。それを容認する経営者。論外です。

 それでもお客様から依頼された商品や原料をきちんとお届けすることがわれわれの責務です。メーカーのように「遠く海外の協力先を管理する必要がない」ということを考えると、トラック運送業界の下請け、リスク管理はずっと簡単なはず。下請けに出して利益が出てきたと言っても、リスクはその何倍も大きくなっているかもしれません。発想そのものを変えなくてはいけないときです。



No.19 倉庫派vsトラック派からの脱却
2012/7/11 更新

 今月は、自分の会社についてご説明させていただこうと思う。

 当社は大正13年創業、名前が示すとおり運送業として発展してきた。創業当時より構内作業の請負をしていたが、当時倉庫は持っていなかった、というよりもお金がなくて持てなかった。
 明治精糖という大手のお客様の仕事をしていたので、少ない自車だけで運ぶのは無理。当然傭車を多く使うことになる。よって当社の歴史は傭車で利益を上げるというパターンが強くなり、自車で利益は上がっていなかった。緊急用の近衛軍団という意味もあったのだろう。昭和40年代には自車比率が10%もなかったようである。ドライバーの管理という点でも傭車の手配の方が大変なので、結果として自車赤字の歴史が続くことになる。
  盆暮れ、年度末の大量出荷の折には傭車を集める能力が当社の「強み」になったというのも事実。SWOT分析をすると、どの事業所の所長もこの点を強みとして出してくる点からも、当社のDNAになっている。

 私が28歳の時に倉庫業青年経営者協議会に入会して、倉庫での利益の出し方を多くの先輩方から勉強させていただいた。先輩方は「どうやって運送で利益が出るんだ?」とおっしゃるのだが、私は常に「どうやって倉庫で利益が出るのか?」だった。当社では「運送で利益を出すための道具」にしか過ぎないという意識が強かったのである。

 いろいろ勉強させていただき、徐々にだが保管料ではあまり利益が出ないものの、荷役作業や、流通加工作業で利益が出てくるようになる。自車輌の台数も増やすようになる。今では社内的にも倉庫業をもっと強化していかないといけないという雰囲気が出ている。貸し切りでなく共同配送=個建てで運ぶ、保管料も個建ての方が利益は出る。そのために運送、倉庫、通関、流通加工を組み合わせていく。こういう考え方がようやく根付いてきている。いろいろと知恵を出し、組み合わせをすることによって提案ができていく。SWOT分析でいうところの「弱み」であった倉庫業。具体的にいろいろいただいた知恵を「弱みを克服する戦略」として実現するのにもっとも効果があったのは、もう14年目に入ったQC小集団活動の導入であった。まだまだ時間はかかるが、少なくともトラック派、倉庫派からは脱却しつつあるように思っている。



No.18 「倉庫派vsトラック派」の亜種
2012/6/11 更新

 齊藤先生の「倉庫派vsトラック派」の議論を受けて、私は両者に「不動産型」を中心とした「亜種」が存在することを書いてみたい。

 「不動産型倉庫派」は、いわゆる自社の倉庫を丸ごと賃貸してオペレーションは行わないタイプ。さらにこれには二通りあり、先代から受け継いだ倉庫を賃貸する「世襲不動産型倉庫派」と、それを梃子にして新規に不動産開発をして賃貸物件を増やしていく「開発不動産型倉庫派」もある。世襲不動産型倉庫派は安定収入があり、実作業をあまり行わないので、ある意味おっとりしていると言える。開発不動産型倉庫派は、当然財務的な知識に明るくないとやっていけないので、数字にシビアである。両者共に雇用人数は少なく(現場を持たないので)、若手社員が少ないという実情がある。

 トラック派には「利用運送型」「預け型」のそれぞれ「亜種」が存在する。
 「利用運送型トラック派」は、いわゆる「水屋」によって売上を確保していくために、いろいろ会合に顔を出し、ネットワークの強化に努めている。逆に「預け型トラック派」は、大手にトラックを預けてしまっていて、営業をあまりしないタイプ。「運送業は赤字だ、赤字だ」と嘆いている場合が多いが、オフィスビルなどの賃貸によって得た利益があるので自身の生活や行動には余裕があり、世襲不動産型倉庫派との共通点がある。逆に、不動産収入がない預け型トラック派は赤字を補填する収入がないので、もっとも厳しい会社運営を強いられている。子供もこのタイプの会社はなかなか継がない。

 これら亜種には全体的に「組織」としての成長とか継続性に危うい部分があることが分かる。少人数で賄えるので人が育っていない。結果、人を採用するにしても、なかなか若い人は来てくれない。それで割り切っている部分もあろう。しかし、グローバル化が進む中、これら亜種が淘汰される危険性があることは理解しておきたい。



No.17 陸援隊とハーヴェスト
2012/5/11 更新

 先月交通安全のことを書きましたが、さすがに陸援隊の事故が起きた後なので…。

 よくぞここまで「やっちゃいけないこと」をすべてやってくれました。トラック運送業界も似たようなもので「トラックの運賃の方がもっと安い」とか「名義貸しはあるよね」と言った声が聞こえます。
 しかし、バスの方がトラックより車両価格がずっと高い。それを中古とはいえ4台も持ってよくぞ回していたと。元請けのハーヴェストの3,500円(楽天トラベルが代理店として20席販売していたようですが)45名分の157,500円の収入(片道)はともかく、それを実際には往復で17万で下請けに出していたというのは、完全にマージン取りすぎです。50%近い。そして他の2社を経由して陸援隊は15万円で請けていました。

 取り扱いや取り次ぎの責任をもっと重くしないと、この問題はいつまでも解決しないでしょう。以前にも申し上げましたが「多階層構造」はなくなりません。サプライチェーンが海外にまで伸び、営業力を持たない実運送業者が元請けになることなど不可能だからです。ならば、きちんと責任分担のルールを作る必要があります。

 工事現場にも元請けゼネコンの監督がいるのに、われわれの業界には元請けの監督がいません。投げっぱなし。あとは「安全大会」とか言って業者集めて講演と懇親会。日常業務の確認がされていません。
 当社も協力先に運んでもらいますが、どこまで管理を徹底するかは難しい。しかし、今以上に管理のレベルを上げなくてはいけないでしょう。業者を集めて「あーせい、こーせい」と言うだけではだめで、具体的に運転技術、点検技術などを一緒に勉強していかないといけない。その機会をどんどん作ることが大切です。ドラコンではなく、より現実の輸送に則した研修と管理体制のチェックが求められます。
その意識がない会社が元請けであったことが今回の事故の原因の一つです。

(詳細は、筆者のGWからのブログをご覧下さい)
「お客様の物流を止めない 〜川崎陸送 樋口恵一のブログ」


No.16 高齢ドライバーをどう扱うのか?
2012/4/11 更新

 春の交通安全運動が始まりました。

 平成23年3月末現在のハイヤー・タクシー(ハイタク)の台数は251,146台、同じく営業用トラックの台数は1,361,000台

【ハイタク・営業用トラックにおける1台当たりの発生比率】(死亡者数・負傷者数・重大事故件数別)

出典:国土交通省自動車総合安全情報
 この表は、国土交通省のHPから、年度別の事故件数(いわゆる自動車事故報告規則に基づく報告)などをまとめたものである。これに、冒頭に書いた登録台数を大体の数として(実際には年度別で台数も若干変化しているが)、1台当たりの発生比率を計算してみた。

 トラックの方が台数が圧倒的に多いので、絶対数では発生件数も多いが、確率からすると、死亡事故以外はトラックの方が断然少ないことが分かる。ハイタクは事故を起こしても車両の大きさが小さいから、あるいは高速を走ることが少ないからなどの理由から死亡事故が少ないと言えるかもしれない。

 なぜ、ハイタクの事故発生率や負傷者数が多いのか? やはり高齢化が影響していると見た方が良いだろう。タクシードライバーは本当に高齢者が多くなってきている。個人タクシーは当然高齢ドライバーが多い。法人タクシーも年金をもらっている人を雇えば、賃金を安く抑えることができる。

 さて、これと同じことをトラック業界が行ったら、事故発生件数はどのくらい増えるのか? 65歳まで雇用期間を延ばそうとする政府の方針は十分に分かるが、ことトラックなどの「機械を動かす商売」で、ハイ分かりましたと言って行っていると、結果はハイタク業界と同じになってしまうのではないだろうか? そのとき、責任を問われるのはわれわれだ。

 高齢者を野放しで雇用させて事故を増加させているハイタク業界に対して、国は何らかの規制をすべきだろう。そのためにも、特に動体視力などの運転能力が衰えて事故が多くなると言われている56歳以上のドライバーに対して今以上の客観的なテストを行い、緑ナンバーの運転を続けてよいかどうかの基準を作るべきだろう。それを国は避けているように思われてならない。


No.15 今年は言い訳できない停電対策
2012/3/11 更新

 3月11日という日にブログをアップする日が回ってきました。

 昨年、震災後にまさか事業継続の本を翻訳することになるとは思ってもいませんでしたが、その『「事業継続」のためのサプライチェーン・マネジメント実践マニュアル』の著者、ベティー・キルドウさんが「日本語版に寄せて」で:
『地球上のビジネスにとって、この悲劇から学ぶことはたくさんあります。われわれが認識すべきことは、前向きに修正していくアクションを採らなければ、結果は「経験から学んだ」ではなしに、「単に経験した」だけになってしまうということです。本書に書かれているように、「もし災害は避けることができないという点に異論がないなら、計画をして備えることで、ある程度のリスクマネジメントを行い、損害の影響を少なくするための必要なステップを踏むことに賛成してくれるはずだ」ということなのです。』と書いています。

 この文章の意味は重い。「万が一の停電」に対して準備をしているでしょうか? 昨年は「想定外の地震と津波」によって準備できていないという言い訳ができました。しかし、今年万が一の停電が起こって「お手上げです」と言ったら荷主企業はなんと言うでしょうか? あれから十分に時間はあったはずだと。

 川崎陸送はトラックのみで倉庫が併設されていない事業所にも、バッテリーを使っての電源確保を順次準備しています。トラックのバッテリーでも結構容量があるのですが、意外にも活用されていません。フォークのバッテリーはもっと容量があります。もしご興味がありましたらお教えします。

 バッテリー、インバーター、電源コード、充電器があればDo It Yourselfでできます。やたら高い液晶ディスプレー付きバッテリーを買わなくて済む。事業継続は自分でやるもの。アウトソーシングなどしていられません。いざというとき代理店が来てくれますか? 運送屋・倉庫屋は修羅場に強くなくてはいけません。



No.14 自分で動いてみる
2012/2/11 更新

 齊藤先生がおっしゃったネットスーパーの配達。私もこのブログの最初の号で書きましたが、チープレーバーなくしてこのビジネスモデルは成立しません。そうなると移民の受け入れが必要。そして彼らのハングリー精神に頼るしかない。日本人の若者に、ハングリーに耐えてがんばるという気持ちはあるのでしょうか。

 さて、先月号で京都の事業所に発電機を発注したと書きました。韓国に直接発注するとかなり安い。15人ほどの事務所と、倉庫で最低限必要な無人搬送機10機中の2機を動かすために、60KWの発電機が必要ですが、1000CCの乗用車を買うくらいの値段で手に入ります。現場の状況によるでしょうが電気工事の方が高いくらいです。

 ディーゼルエンジンは運送屋としては慣れた機械です。これを代理店任せにする必要はないでしょう。いざというときに自分でメンテナンスできなければ、とても事業継続とは言えません。まして代理店は来てくれない。ご興味があったら韓国の発電機メーカーをご紹介します。直輸入が一番。

 会社ではこの4月からの経営方針に、ドライバーと倉庫現業職のタコツボ脱却、マルチ能力化を打ち出しています。事業継続の本の中でも、クロストレーニングによって相互にバックアップとなる人材を育てる必要性が説かれています。いわゆる多能工化は、トヨタ生産方式でも言われていることで、特別にBCPのために行うのではなく、普段の改善活動からもBCPに役立つ手法があることを示しています。いざというときに「おれは普段このルートしかやっていないから分からない」「おれはこの荷物しか扱い方が分からない」では済まされません。どんな所にいつでも飛んでいける。それが真のプロドライバー、作業員です。

 発電機も、タコツボもある意味では人任せにしてしまっていると危険です。やはり経営は自分で動いてみて、自分でやってみて、そしてノウハウを拡げていくことが大切。それによってお客様が安心してくれます。



No.13 自分の会社にとって「止めてはいけない機能」とは何か
2012/1/11 更新

 明けましておめでとうございます。
今年もこのブログにお付き合いいただければ幸いです。

 私の会社、川崎陸送では菓子、飲料、加工食品、食品原材料、化学薬品などを運送、保管しています。昨年3月末にデータ面では沖縄にサーバーの冗長化(二重化)、倉庫の温度管理面については、電源を丸ごとバックアップするために韓国企業から2台の自家発電装置を購入する準備を始めていました。単純に自己流の対応と判断でそうしていたのです。そこに今回翻訳させていただいた『「事業継続」とサプライチェーン・マネジメント実践マニュアル』が登場。何が「クリティカル」「時間にタイト」なのかを明確化せよと書いてありました。
私にとって当社の時間にタイトな機能とは、在庫の出荷履歴や賞味期限などの「在庫データ」と「温度を守ること」の2つだけ。それが上記のような対応で正しいと自信を持ちました。

 もし自分の会社にとってトラックを動かすことが絶対に大切だと思えば、軽油をどうやって確保しておくかを考えます。あるいはトラックが壊れてしまったときに、代替車両を離れた場所にある知り合いの会社から貸してもらえるよう事前に約束をしておく。ドライバーと連絡を取り、会社に出てくることができるようにするにはどうしたらいいのか。携帯以外での連絡方法も考えておく必要があります。トラック一つ動かすにも、やることは結構あります。

 今年も夏の電力不足問題が予想されます。不測の事態にどれだけ「スマートに対応できるか」が荷主から問われ、何もしていない会社への評価は厳しくなるでしょう。できる範囲内でいいから、まずはやってみるという姿勢が求められます。自分の会社の「これだけは止められない」を真剣に考え、絞り込んでおくことが大切です。すべてを動かすことは不可能ですし、お金もかかってしまいます。止めてはいけない機能を判断すること。それがトップとしての重要な役割でしょう。

 ちなみに当社は1月5日に小型のディーゼル発電機を韓国メーカーに1台発注しました。京都にある事業所の無人搬送機と、配車部門の機能を止めないためです。3月には設置する見込みです。



No.12 事業継続には予行演習が大切
2011/12/11 更新

 翻訳をさせていただいた『「事業継続」のためのサプライチェーン・マネジメント実践マニュアル』(プレジデント社)には、シナリオを作って予行演習を行うことの重要性が大切だと書いてあります。

 突発停電のシナリオによる「演習」を行ってみました。窓のない倉庫のブレーカーを落として真っ暗にしてみる。流通加工に携わるパートの方々も含めて全員4階、5階といった上階層で作業をしている場所から階段を使って実際に降りてもらう。その後の反省会で、懐中電灯の数が足りない、どこに置いておくべきかなどの議論が現場で重ねられました。当然、演習に対して真剣さに欠ける従業員がいることも事実。それらにどう対応していくか、まさに改善、改定、浸透させることの繰り返しですが、演習による経験が大きな違いを生むものだと実感しています。

 今回の震災後いろいろなところで告知された災害用伝言板を実際に使ったことがあるでしょうか。固定電話や携帯電話から災害時にメッセージを録音し、家族や知り合いの安否を確認できるものです。一度練習で使っておくと、いざというときに使えますが、使ったことがなければ、その存在そのものも分からないばかりか、安否を確認するのに時間を要してしまいます。当社では従業員の家族全員に使ってもらうよう運動をしました。

 毎月1日と15日には無料で試すことができるということも、あまり知られていません。経験は会社のみならず、個人とその家族にとっても「家族の災害プラン」として大切です。

 何もしないでいると、自分の売上そのものをいざというとき失うことになります。「運送屋として自分の仕事を止めないためになにをすべきか?」を真剣に考えることから始めましょう。ラミネートした財布に入れる「緊急連絡網と対応手順」が書かれたカードを作ることから始めてもいいでしょう。できることからスタートです。そういう姿勢をお客様は必ず評価してくれると思います。

樋口氏が翻訳された『「事業継続」のためのサプライチェーン・マネジメント実践マニュアル』
プレジデント社のホームページへより購入いただけます。


No.11 来年も楽しみな「学生の本分」
2011/11/11 更新

 すでにトラックネクストのサイトでも紹介されていますが、11月5日(土)に、四谷の東京都トラック会館で、私が会長を務めるNS物流研究会主催の3大学対抗・物流関連ゼミ学生の研究発表会が行われました。

 学生諸君が「本気」で「勝ちに来ている」発表会。グレードアップしているのが分かり、主催者としてはうれしい限り。

 優勝した東京海洋大学Aチームは謝さんと柯さんの中国人留学生コンビ。日中の宅配便業界についての比較研究で、流通経済大学も同じテーマで発表がありました。こういうテーマ自体、私には少なからず驚きであり、また新しい切り口だと感心。さらに、中国人留学生パワーには圧倒されました。日本の学生諸君もうかうかしていられません。

 この企画を続けようと賛同してくれているNS物流研究会のメンバーの意欲にも感謝しています。学生にとっても、こういう活動を行ったと自分の口から話せることが大切です。「学生の本分」という言い方は陳腐かもしれませんが、自分たちの力で研究して、社会人を前に発表をしてという経験はとても大きい。まさに一生モノ。また来年が楽しみです。

 さて、今回の翻訳出版について。「そんなことまでやるのか」「いつかやらなければいけないのだろう」 これが私にとって3.11前のBCPに対する認識でした。

 4月に入り前月に送られてきていた米国のサプライチェーン実務者の団体、CSCMPの会報を手にとってみたところ、原書についての書評が掲載されていました。「もっと早くに知っておけば…」 慌てて購入。今まであるBCPの関連書籍と大きく内容が異なり「いかに実効性のあるBCPを策定するか」という経営・現場目線での本だと分かりました。筆者の経験と実績からの思いが凝縮されています。「それなら翻訳してしまえ!出版できなくても社内のマニュアルで使ってやろう」と勝手に思いこんで翻訳を決意。その後は土日返上で大変でしたが、絶対お役に立つ本です。詳しくはまた来月。



No.10 適性運賃をもらうには
2011/10/11 更新

 今月の齊藤先生のコラムの最後「残念ながら3PLをめぐって物流業者と荷主企業が広く交流する場は未だに設定されていない」はおっしゃるとおり。せいぜい日本ロジスティクスシステム協会(JILS)くらいでしょうか? 

 6日に京都で行われたトラック運送事業者の全国大会に行って、運送事業者の求める「適性運賃」と、荷主が求める「安い運賃」とには、絶対的な溝が存在すると感じました。運送というサービスそのものが「パーツ」であって、単独での契約には至らないということでしょう。

 被災地のがれきの搬出、輸送についても、元請けはほとんどがゼネコン。発注者である県や市町村が、個別に運送業者と契約することは希です。ゼネコンはダンプの事業者とは運送契約ではなく、一連の作業として契約するのがほとんど。結局間にたくさんの人が入ってしまって、最後は1日3万円くらいにしかならないケースが多い。これでは払っている市町村は中間マージンを取られて「税金の無駄遣い」もらっている実運送会社は「適性運賃をもらえない」ということになります。でも、その中間マージンには意味があります。

 やはりトラックでの輸送という「単独のサービス」だけでは、基本的に下請けでの契約しかもらえないという厳然たる事実があります。荷主はあちこちと契約することは避けたい。したがって「元請け」が必要になってきます。当然そこでマージンが抜かれる。それは元請けにとっては手配をする労力に対しての「適正なマージン」をもらっているということになる。

 このジレンマから脱出するには、運送サービス単体での提供を避けることしかないでしょう。運送以外のサービスを模索し、それをくっつけての販売をしないと、いつまで経っても「パーツ」でしかないのです。お金を払う荷主側が単独での運送サービスをサービスとは見ていないということです。物流サービスという「パッケージ」が適性運賃収受のために求められています。



No.9 トラックのイメージを変えよう
2011/9/11 更新

 震災後半年です。トラック協会として被災地の仮設住宅に湯タンポを送るべく準備をはじめました。合計1万5千個です。仮設は冬寒く、一部では火災の心配から石油ストーブの使用が禁止されているからです。更に運送屋さんらしく、不便な仮設住宅のお年寄り向けに便利屋サービスをしてみようと検討しています。現地の方をアルバイト雇用して、その人にわれわれから車を無償貸与。お年寄りの要望を聞いて買い物やお使い等をしてもらおうというものです。現地にわずかでも雇用を生みたいという発想もあります。

 水戸と白河のインターチェンジでUターンしていたトラックも、8月末で無料通行が廃止になって、また元の下道を走るようになりました。東北道も空いてきました。テレビや新聞で悪者扱いされ、これだけトラック運送業がイメージダウンしたことはなかったのでは?最大の問題は一部の「悪さ」をする事業者によって、全体が悪者のイメージを一般の方々に植え付けてしったことです。歴史的には「トラック野郎」が全国民的にイメージを植え付けていた感があり、特に大型トラックに対する偏見は大きいと思います。宅配便に対するイメージとはまるで違います。

 20年以上前の話ですが、知り合いの大学の先生が一般道路でドライバーがゴミを捨ててしまうことについて実態調査をしました。毎日同じ信号の所に学生を立たせ、ゴミを捨てる、たばこのポイ捨てをする車をチェック。そこで分かったのは毎日同じ車、それも大多数がトラックのドライバーが「習慣として」ゴミを捨てていくという事実です。先生に言わせると、「目の前にゴミを捨てるなという看板があっても、それがまったく目に入らない人が全体の10%近くいる」とのこと。その事実が20年以上経過した今でも変わっていないのではないか? 自分の仕事はそういう仕事なのか? 絶対にこのイメージをみんなで変えていきたいと思います。

 10月16日(日)に東京都トラック協会港支部主催で、トラックの日のイベントを東京は竹芝の客船ターミナル前広場で行います(JR浜松町駅、またはゆりかもめ竹芝下車) 働くトラックのイメージアップと共に、被災地の支援として白河の農協さんなどに出店をお願いしています。お時間がありましたら是非ともいらっしゃって下さい。トラック業界も被災地に対してちょっとだけ力になりたいと思っています。



No.8 イメージを変えるために、まとまって良いことをしましょう!
2011/8/11 更新

 震災後5か月が経過しました。避難所から仮設住宅へと移ってきています。さて、われわれトラック業者は被災地に対して何ができるのか? これが意外に難しい。まとまって行えばそれなりのことができると思うのですが、「自分たちも苦しいから」ということで、なかなか大きな動きにならないのが現状だと思います。

 やはり、大手の会社に上手に使われているというのが問題。先々月でも書きましたが、「車両を預けている」というのが原因の一つ。賃貸ビルの不動産収入で赤字を補填して運送業を続けていられるから、「苦しい、苦しい」と言いながらも生きている。こういう会社が、実運賃のレベルを低いままにしている張本人だと思っています。そしてアクションを起こせない。

 既に大々的に報道されているように、水戸・白河ICでのUターンで高速道路無料化を「悪用」というのが騒がれています。このホームページの読者のみなさんは、ほとんどがトラック運送事業に直接間接に関わっていらっしゃる方々だと思います。この問題、どう思われますか?

 私の会社のブログにも書いたのですが、1万台の車が悪用しても、実は数億円の話しです。最初からこういうことが起きるというのも分かっていた。これを防ぐETCのプログラム変更の方が、はるかにお金がかかるし、そもそも第三次補正予算にその費用が計上されないと解決しない問題です。赤字を出して悪用を防ぐのでしょうか?
 
 こういう状況を打破するには、マスコミにもっとわれわれが行っている「良いこと」をアピールするべきですが、まとまって大きな活動ができないので取り上げてもらえない。業界紙が苦しい実態を掲載したとしても、それは「身内」だけに知られることであって、世間一般には何も伝わりません。

 シニアの経営者にはもうそういうパワーはないかもしれませんが、若い二世の経営者が、今以上にもっと大きな輪を作って活動し、良い面をPRしていくことが求められます。



No.7 備えあれば憂いなし=出来る範囲での備えを
2011/7/11 更新

 震災から4ヶ月。今週、川崎陸送の葛西と坂戸の両流通センターに2台の発電機が設置されます。7月4日に韓国から東京港に入港、7日に輸入許可。電力使用のピークとなる、7月下旬の稼働開始を目指します。

 発電機を自分で輸入しようと考えたのが3月下旬。国内にはメーカー数が少なく、納期は分からないという感じでした。そこで韓国から輸入を決定。6週間で納品できると聞いて、「やっぱり」と思いました。まだそれほど日本から引き合いは来ていませんでしたが、現時点で、そのメーカーには200件以上の注文が日本から来ています。前年の実績はほぼゼロ。それまでの日本人の「国産崇拝主義」も一変してしまいました。

  実は韓国には発電機メーカーが大小100社近くもあるそうです。日本は5社程度。どうしてかと聞いたら「全国の学校や病院など、必ず発電機を置いているから」。韓国の電力状況は決して悪くありません。TEPCOならぬKEPCO(韓国電力)ががんばっています。理由は「北朝鮮があるから」だと発電機の営業担当役員が教えてくれました。危機と直面していると、これだけ普段の「準備と心構え」が違います。

  米国の知人から「CNNかなにかで、東北の酒蔵が被災して、その蔵の跡からピンセットかなにかで元になる菌を採取している社長の姿を映していた。これで再生できると話していた。そんなに大事なモノなら何で普段から別の場所にも保管しておかないんだ?」と。これも、普段そんなことが起きるなんて思ってもいなかったということ。しかし、津波はあり得る災害でした。日本人との感覚の違いです。

 サプライチェーンの分断によって多くの工場が止まりました。部品工場も多くは中小企業。下請け運送会社も中小です。どこも事業継続計画(BCP)など考えたこともなかった。これを反省して、次はあっては欲しくないけど、出来る範囲の準備をしておかなくてはいけないと思います。



No.6 「預ける」=骨抜きにされる運送事業者
2011/6/11 更新

 震災の支援物資輸送で、「うちのトラックは全部預けちゃっているから、支援に出したくても出せないんだよね」という話しを何件も聞いた。大手元請けなどに車ごと全部預けてしまっているからだ。当然配車権は元請けにあり、事業者は給料と経費を払い、あとはドライバーの採用をするだけ。さらに、車両の購入代金、損害保険料率まで全部握られている場合がある。これはある種の逆名義貸し。大手荷主や元請けが、自社レベルで給料を払うと採算が合わないから、こういうことになる。ここまでになると、本来元請けや荷主が自分でドライバーを雇って運送業として活動しなくてはならないはずだ。元請け下請け構造の、この惨状を放置している、逆にそれに依存している運送業者も情けない。

 敢えて書くが、自ら考え、自ら商売することを放棄している。逆に他産業に移っても無理で、トラック運送事業しか居場所がないから撤退できないというのも事実。最後は不動産収入に頼って、トラックは細々と繋いでいく。実に大手元請けや荷主にとって都合のいい構造になっている。赤字を不動産など他の収入で埋めてくれるのだから。不動産収入がない場合は、個人資産を会社に貸し付けるという形でつぎ込むことになる。大手に補助金を出しているのと同じだ。

 適性運賃収受以前に、トラック購入から保険に至るまで、交渉・管理する権利を放棄してしまい骨抜きになっている事実を反省しなくてはならないだろう。何のための運送業なのか?

 トラック付きの派遣事業とも言われる中、経営者の責任は大きいと思う。「預ける」という言葉の意味をもっと真剣に考え、自らが経営を放棄しているという事実を認識すべきだろう。ほんのちょっとしたことでも、運送という需要はあり、それをまずは自分で仕事にすることだ。大手の仕事ばかりが運送事業ではない。それができなければ、さっさと撤退すべきで、それが明日の運送業界を明るくすると思っている。



No.5 運送屋ならではの生活支援を
2011/5/11 更新

 東日本大震災が発生して2ヶ月が経過した。私のコラムの更新日が毎月11日なので、これから毎月「丁度○ヶ月目」という巡り合わせである。

 
義援金は1000億円を大きく上回り、台湾からも100億円を超える金額が届くなど、お金はいくらあっても足りないのだが、世界中・日本中からこれだけの善意が集まることはすばらしい。しかし、この義援金の配分がなかなか進まないようだ。被害が大きすぎる、さらには配分すべき人の数が未だにオンゴーイングな災害であるために確定しない。早く配ってあげたいものの、配分する方も悩みが大きいのだと思う。

 他方、物的な支援について考えてみると「避難所では支援物資が余っているからもう必要ないのでは」とおっしゃる方々もいるが、避難所だけではなく、自宅で避難をしている方々もいることを忘れてはならないし、これからは「生活支援」が必要だ。3月11日は寒かった。それから2ヶ月経過し、桜も散り、暖かくなってきて、今後は暑くなってくる。当初支援物資として送られたストーブや冬物衣類などが不要となり、夏物衣類、扇風機などが必要になってくる。

 さらに支援物資の集積場から各家庭に宅配する「エリアの配送網」がきちんと確立できていないところもまだ多い。下水道網が復旧していないので洗濯もままならないだろう。こういった観点で「トラック運送業として支援できることがないか?」考えていくべきだ。

 トラックを動かすことが生業のわれわれである。モノを運ぶ・扱うことによって支援していくのが第一。ストーブなど冬物が避難所で不要になっているのであれば、それを次の冬まで保管してあげるというのも支援の一つだろう。

 春夏秋冬と季節が変わり、支援ニーズはどんどん変わっていく。テレビに出てくる炊き出しや慰問は他の方々に任せて、運送屋でしかできない支援を考えたい。義援金同様大切なことであり、まさにわれわれの知恵と実力を活かすときだ。



No.4 生活と一緒になった長期的支援が必要
2011/4/11 更新

 3月11日午後から生活が一変しました。被災し、亡くなった方々のご冥福をお祈りします。テレビに映し出された光景には言葉がありませんでした。

 こういう状況になったからこそ「共助の精神」が働くのでしょうか? 「無縁社会」などという言葉が言われていたのが嘘のようです。この災害は原発の放射線による避難、農水産物への被害と風評によって、本当に5年10年以上に亘る戦争になります。チェルノブイリやスリーマイルアイランドの事故もしかり。アメリカは事故後30年間原発を作れなくなりました。チェルノブイリが昨年ようやく立ち入り禁止を解除したと言っても、そもそも私が20代の時に起きた事故でした。まだ地震から1ヶ月です。4月1日に入社してきた川崎陸送の新入社員にも「君たちが幹部として仕事をする時代=私が死ぬときに、ようやくこの問題が終わるだろう」と話しました。

 震災直後の3月12日と13日、まず何をすべきか、どんな方針で行うべきか? 悩みました。結果、以下のような方針で動いてきました:
1) 従業員に安心して仕事の継続、危機に対応してもらえるようにする
2) 連絡手段を複数持つ(コミュニケーション経路の確保)
3) 計画停電への対応

 「腹が減っては戦はできぬ」軽油の確保、電源の確保、動きが取れなくなった事業所への食料支援、管理職全員にTwitter導入、家が遠い人にSkype導入等々を実行。阪神の時と違い、未曾有の長期戦と覚悟したからです。

 自衛隊、米軍、ボランティアの方々が精力的に被災地で活動していますが、これらの活動も1年2年と続けるには無理があります。民間レベルのロジスティクスがきちんと整備されないと、分散して数が増える避難所を「物的に支援」することが難しくなります。腰を据えての支援が必要。秀吉は朝鮮出兵の際、佐賀県唐津に「名護屋城」を造り、金の茶室まで構えて戦をしました。その位の体制整備をした「普段の生活と一緒になった支援」が必要だと思っています。



No.3 3PLの付加価値を考えてみる
2011/3/11 更新

 「3PLは現行の仕組みを効率化できるところに、その成立の根拠がある」と齋藤先生がおっしゃっている。荷主は運送・倉庫・通関・梱包などを単品でショッピングしていたら、各々を別々に管理しなくてはならないし、極端な話、業者の年始年末の挨拶も全部受けなくてはならない。さらに、グローバル化して、いろいろなところから原料が来て、いろいろなところに出荷されるとなると、自分のハードを使って物流サービスをすべて提供できるなどというところはあり得ない。

 それが3PLの付加価値の1つであると思う。われわれが海外旅行に行く際にパッケージツアーを利用するのと同じ。飛行機・ホテル・現地のバス・食事まで全部面倒みてくれるから、われわれは旅行代理店にお金を払っている。一人で全部やりたい人は一人で全部ネットなどを使って予約を入れればいい。

 ニュージーランドで地震に被災された語学学校留学の方々も、ほとんどが学校経由または留学斡旋業者経由で留学していた。ユーザーである留学生が、現地の学校やホームステイ先を手配してくれるサービスを便利だと思うからである。

 「実宿泊サービス」「実教育サービス」を提供している側はどうなのか?
単品では「ニュージーランド留学」という総合サービスにはならない。ホノルルマラソンもしかり。消費者はホノルルでマラソンすることを望んでいるのであって、飛行機に乗ること、宿泊することはそのための手段にすぎない。だからホノルルマラソンのツアーを募るのは旅行代理店ではなく、アスレチックジムなどであったりする。

  実運送業者であるわれわれはその違いを十分理解しておかないと、単に「値段を叩かれている」と嘆くだけになってしまう。もちろん、付加価値と称して「価格を下げるだけ」といった3PL側でもレベルが低い現実も認識しなくてはならないだろう。要するに3PL側、実運送・業務提供側ともに改善の余地有りだと思っている。



No.2 「営業力・企画力」を持とう!
2011/2/11 更新

 齊藤先生が書かれた「3PL」のご意見を受けて、私も…。

 SCMが発展すれば、物理的な距離が伸びます。アフリカから日本の小売店まで持ってくるのに、一つの会社が全て出来るわけはありません。あらゆる部分にいろいろな会社が介在しないとモノは動きません。同様に日本国内でも「企画する人」「実際に運ぶ人」という分業がないと、システムそのものが動きません。勿論「企画する」という部分がなくて、単に間に入るだけというスタンスが問題という事実はあります。

 しかし、実運送業者も、「企画力」「営業力」がないと、もう元請けなんて取れないと自覚しないといけない。汗水垂らして運ぶことは安全や品質面で重要です。しかし、それをどう管理していくか…。それは企画力です。今、アメリカで物流を専攻している博士課程修了者が、大手物流企業に採用されています。もう20年近く前からの傾向です。世界中のモノを動かすというのは「金融工学」が流行ったように、まさに数学モデルでシミュレーションしてみることだからです。今の日本ではそこまで行かないけれども、やはり「企画力」「営業力」の方が圧倒的に強い。「毎年物流費を下げなくてはならない」という大義名分の下、なんの工夫もなく単純に単価は下げられていき、運賃から人件費を計算してみると、最低賃金を下回るような料金が平気でまかり通り、まさにCheap Labor(チープ・レーバー)に甘んじなくてはならない。

  実運送事業者にとってこの企画力や営業力をどう獲得するかが最大の課題です。そのためには事業協同組合などの在り方を抜本的に考え直し、中小零細企業も束になってかかればそれなりのことができるという風に変えていかないといけないでしょう。

  組合の事務局は10年後には博士号を持っている人じゃないとつとまらない…。そんなことを本当に起こさないと今の状況は変わらないと思います。いつまでもリタイアした人の仕事が協同組合の事務局ではいけないのです。



No.1 「Cheap Labor(チープ・レーバー)に対抗する」
2011/1/11 更新

 連載を開始させていただき、さらには年初であるにもかかわらず、こういうタイトルでの始まりというのは気が引けるが、私にとって今年のテーマは、まさにこれ。文房具の宅配、スーパーの宅配、ファーストフードの宅配、いろいろな物流サービスが生まれてきているが、よくよく考えるとすべて「安い労働力=Cheap Labor」を前提としたビジネスモデルになっている。

 
要するに「運ぶ」という仕事、あるいはそれに関連する倉庫内の仕事などすべてが「安い労働力」を前提としないとこれらビジネスそのものが成り立たない。適性運賃を収受しようというが、実はこれらビジネスにとっての適性運賃は時給○○○円の労働力を使わないと適性にはならないのである。トラック運送事業者だけが自分達の基準だけで「適性運賃」を叫んでも意味がない。

 グローバル化した経済の中で、商品は国境を越えて人件費の安いところで作られる。下請法が厳しくなれば、海外の企業は日本の下請けを使うのは面倒だということで、ITや製造関連はやはり他国の下請け先を選ぶようになる。輸送は国内で必要といっても、輸出製品を含めた国産品の価格面での比較は行われる。その重要な構成要素が国内物流費。

 そうなると、どうしても海外のドライバーに比べて日本の人件費は高い。では、われわれ経営者は何をすべきなのか? 自分の会社が今行っていることを見直し、抜本的な改革をしないと、いつまでも天に向かってつばを吐いているだけ。下請けでしか仕事がないという前に、トラック輸送を越えた、何ができるかを真剣に考える必要があるだろう。Cheap Laborに対抗するために大胆にビジネスモデルを変えていく。これが私の今年の課題である。