求貨求車システムの活用術

運送業界は現在、働き方改革、労働時間規制、ドライバー不足など数々の問題を目前にし、これまでと同じやり方では事業の継続が難しくなってきている。より短時間で、もっと効率的に利益を確保する方法を模索している方も多いだろう。

WebKITなどで良く知られる求荷求車システム。「トラックが足りない!」「荷物が欲しい!」といった運送事業者の要望を、主にインターネット上でマッチングする仕組みである。以前は長距離・大型案件が多かったイメージがあるが、最近では中型・地場案件も増えてきていると聞く。

生産性の向上を図らなければならない今、改めて「求荷求車システム」を活用してみてはどうだろう。案件のやり取りだけではなく、事業者間でのネットワークを構築できる場でもある。例えば中継輸送など、通常業務でのパートナーとの出会いがあるかもしれない。

求荷求車システムとは?

トラックが空いているので荷物がほしい「空車情報」と、空き車輌がないので荷物を運んでほしい「荷物情報」をマッチングするもの。
現在は会員制でインターネット上でのやり取りがほとんど。

いくつかのタイプに分かれ大きくは、事業者が直接情報を書き込み当事者間でやり取りする「掲示板タイプ」と、書き込まれた情報を運営会社が管理し運賃を決定をしたり、取引相手を紹介する「エージェントタイプ」が主流。

うまく活用するポイント

自社PRをしよう

自社の情報をあまり公開しないまま、他社から仕事だけを貰おうと思っても、良い仕事は頼む方も不安なため、単発で低価格の仕事に終わることが多い。
会社情報や車両情報など、自社の情報を積極的にPRすることで、相手から信頼され、頼んでもらいやすい環境を作ることが大切。

会える機会は活かそう

各システムの運営主催による交流会など、他事業者に会える機会があれば、可能ならばなるべく参加した方が良い。面識がない相手より顔見知りの方が、信頼して仕事をお願いしやすく、万が一、行き違いがあっても解決しやすい。

価格だけにこだわらない

1円でも安く運んでもらいたい、1円でも高く運びたいのはみんな同じ。
同業者間で無理を押し付けると、結局は自社の評判を落とすことにつながる。
ルールやモラルは守ろう。

自社の強み・弱みを知ろう

「こういう輸送が得意で実績がある」という自社の強みは積極的に打ち出そう。
一方で「こういう仕事は受けない・出来ない」と自社内でハッキリ線引きをしておいた方が良い。対応できずにクレームにつながるリスクを減らすことも大事。

求荷求車システムの紹介
サービス名 運営 タイプ その他
WebKIT2 全日本トラック協会・日本貨物運送協同組合連合会 掲示板タイプ
(掲示板に情報をアップ。マッチング相手は自分で見つける)
トラック協会と日貨協連が運営しているため公益性が高く、各トラック協会会員およびKIT事業参加組合の会員であることが入会条件。
1991年に供用開始。会員間の交流会は多い。
ローカルネット 日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会 掲示板タイプ 全国のトラック運送事業者が作った日本最大級の物流ネットワーク。1990年に供用開始し、2019年に30周年を迎えた。会員間の交流会は多い。
トラボックス トラボックス株式会社 掲示板タイプ 運送会社と荷主を結ぶ国内最大級の物流データプラットフォーム 「トラボックス」は荷物の配送を希望する運送会社や個人の荷主と、空きトラックを保有する運送会社をオンラインでマッチングする。
累計会員数は5万件を超えている。会員間の交流会も多い。
ハコベルコネクト ラクスル株式会社 エージェントタイプ
(運営が間に入り、要望にマッチングする相手を紹介)
元配車マンなどの同社スタッフが、空車情報と貨物情報をマッチングし、コントロールする。
2017年7月ヤマトホールディングスと資本提携。
とらなび トランコム株式会社 エージェントタイプ
(運営が間に入り、要望にマッチングする相手を紹介)
同社の営業スタッフが同社の求貨求車システム「COMPASS」を利用し、空車情報と貨物情報をマッチングし、コントロールする。
2019年12月日野自動車と資本提携。
TUMIX 株式会社TUMIX 掲示板タイプ
(一部エージェント機能有)
配車システムと求貨求車が融合したシステム。配車板と連動した求貨求車へ情報アップができる。選択した取引先に一斉送信。いなければ運営が新取引先を紹介することも可能。
MOVO 株式会社Hacobu エージェントタイプ
(一部掲示板機能有)
基本は運賃や運送会社を運営が決定する。入札方式でお互いでやり取りする形式一部もある。空車情報はパートナーとして登録制。