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日本ミシュランタイヤ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ベルナール・デルマス)は、
日本の輸送事業者がタイヤに求める諸性能を高いレベルで実現することを目標に開発された
日本専用開発トラック・バス用省燃費オールシーズンタイヤ
「MICHELIN XZN MIX ENERGY(ミシュラン エックスゼットエヌ ミックス エナジー)」を2011年
3月8日より順次発売し、
オールシーズンタイヤのラインナップを拡充する。
2011年の発売サイズは計3サイズで、価格はオープンとなっている。




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2011年2月某日、日本ミシュランタイヤからプレス発表の案内が届いた。
標題には日本初導入となる新技術「自己再生する溝」とあった。自己再生?タイヤの溝が走行中に
勝手に掘れていくのだろうか?記憶形状合金のようにタイヤが減ってゆくにつれ
溝が成型されてゆくのだろうか?疑問を抱きつつ、3月8日に開催されたプレス発表会に臨んだ。

今回、日本ミシュランタイヤ株式会社より発売された「ミシュランXZN ミックス エナジー」の
日本初の導入となる「レインドロップサイプ」がその自己再生する溝の正体であると説明があった。
詳細は下記を参照していただきたいが、簡単に言えば「溝の奥に隠れた溝があり、
通常消耗末期になるとツルツルになってしまうタイヤ表面に新たに溝が出現する」というものであった。
このように表現すれば、なんだと思われてしまうが、考えてもらいたい。
ツルツルになったタイヤは雨の日のスリップなど危険がつきまとうもの。
それがレインドロップサイプ採用の新製品ならば、最後までウエットグリップを維持しながら
使い切ることが出来るのだ。つまりは、タイヤ交換の時期が延びることになるわけで、
ユーザーにとっても嬉しい新技術だ。



レインドロップサイプとは、摩耗が進行してもタイヤのウェットグリップ性能を維持し、高い安全性を保つ ことを可能にするミシュラン独自の先進テクノロジー。
各トレッドブロック中央部の溝底部に円筒形の通路が隠されており、摩耗末期になると隠れていた通路部分が開き、ブロックの中央に新しい溝として現れる。



ダブルウェーブサイプは、優れたウェットグリップ性能、ロングライフ性能ならびに耐偏摩耗性能を実現するためのテクノロ ジー。
三次元に刻まれた隣り合ったダブルウェーブサイプにより、隣り合うブロック同士がガッチリと噛み合い、支えあいながらブロック全体の変形を抑制し、高い剛性を保つことで、変形による接地面積の減少を抑え、接地圧の均等化を実現する。そのため、路面の状況を問わず、優れたトラクション/グリップ 性能を発揮できるようになる。

   
 
サイドウォール部分の無駄な動きを抑制するため、ケーシングの形状が最適化されている。タイヤの回転時に発生する変形による発熱を抑え、エネルギーロスを低減する。

 
「ENERGYコンパウンド」の採用で、グリップ力の向上と転がり抵抗低減の両立が可能になる。トレッドゴムの耐久性を高めつつ発熱を抑制し、幅広い走行条件での安全性と諸性能を確保する。

 
ウェットグリップ性能やウィンター性能など「MIXタイヤ」に求められる諸性能を高い次元で実現するため、トレッド部にアグレッシブなブロックパターンを採用した。

リグルーブやリトレッドにも対応すると言うことは、新品のタイヤを余すことなく消耗末期までキチンとグリップさせながら使い、すり減ったタイヤに溝を掘り、
最後にトレッドを張り替える。ということが可能であるということだ。

サイズ
荷重指数・速度記号 発売時期
225/80R17.5 123/122L 2011年5月
245/70R19.5 136/134L 2011年秋
275/80R22.5 151/148J 2011年3月8日
編集後記

ミシュランはどこまで1本のタイヤを使い切れば満足するのだろうか?確かに、これまでタイヤには様々な社会的問題が発生している。廃タイヤがそのひとつだ。最近テレビなどのメディアではあまり取りだたされなくなったが、一時期ニュースで廃タイヤが問題視された。無法廃棄・廃タイヤの火災などである。最近では廃タイヤはチップ状に裁断されリサイクルされるようになったが、これらの問題がまったく無くなったわけではない。
さらに、環境に対する問題もある。タイヤの転がり抵抗が低くなればなるほど、車の燃費は向上する。燃費がよくなればそれだけ燃料も使わなくなるし、結果的にCO2の削減にもつながる。これにはタイヤのグリップを維持しながらという前提条件が付くのだが、各タイヤメーカーはしのぎを削ってエコタイヤの開発を進めている。

正直、今回のミシュランの新製品には驚かされた。通常タイヤメーカーとしては、新品タイヤを購入してもらったほうが収益となり嬉しいはずだ。しかしながらこの新製品は正反対で、タイヤはトコトン使ってください。それでも使えなくなったら溝を掘りましょう。最後まで使い切ったら、張り替えましょう。というものだからだ。
ユーザーとしてはランニングコストが下がることは大歓迎であるが、これでは新品は売れなくなる。それでいいのか?この問いにミシュランの担当者は答えた「地球環境保全に何が出来るか?を考え、ユーザーの希望を聞けばおのずと答えは導かれます。この弊社の姿勢にご共感いただき、ユーザーが増えていただければ収益も増えてくるでしょう。」

無駄に買わない。買っていただいたタイヤはトコトン使っていただく。安全性・耐久性・性能・環境対策、そのすべてに妥協しない。その企業姿勢に共感を覚えるのは私だけであろうか?