トレーラによる大量輸送に移行する運送事業者が増加している昨今、大きな問題として「トレーラ横転事故」があげられる。
事故の原因としてはオーバースピード、ハンドル急操作など様々な要因がある。
その時トレーラの内輪が浮きあがるなどのトレーラ横転の兆候が起きても、トラクタに即座に伝わらない。
ドライバーが横転に気づくのが遅れることが事故の重大化につながっているとも言える。
メーカーの業界団体である社団法人日本自動車車体工業会は6月10日、
ボッシュ塩原試験場(栃木県那須塩原市)に於いて、かねてから開発に取り組んでいた
「横転抑制サポート装置(ROC)を装着したトレーラ」の走行実験を行なった。
ヨーロッパでは2010年7月より全車へのROCが義務化され、日本でも近い将来の装着義務化となる見込みである。
同装置を推進する日本自動車車体工業会はこの義務化を想定し、今回の走行実験が実施したものである。
ROCの説明は後(下記)にして、まずは装置をONにした時とOFFの場合を見てみよう。
実験では左右にアウトリガを装着し、横転しないようにした車両を使用。
もし装置がOFFでアウトリガがなかったら・・・恐ろしいことだ。
走行はJターン走行とダブルレーンチェンジ走行。
概ね35~45Km/h超のスピードでカーブ進入している。
ワブコ製 横転抑制装置搭載
タンクセミトレーラ(極東開発工業)
GVW20.2トン 1軸
クノールプレムゼ製 横転抑制装置搭載
アオリつきフラットセミトレーラ(日本フルハーフ)
GVW28トン 2軸
ROCとは「Roll-Over Control」の略で、意味は「横転制御(横転抑制)」。
制御の概要は左図にあるように
1.車両の挙動を感知
2.挙動を計算して危険か否かを判定
3.危険と判定した場合、トレーラブレーキを自動制御して減速する
となる。
念のため、これはあくまでも横転抑制システムであり、抑止システムではない。急激な運転には対応できない場合もある。
① EBSコネクタ(電源供給) | ④ Gセンサ(挙動感知) | ⑦ ブレーキチャンバ(制動) |
② エアカプラ(エア供給) | ⑤ ECU(挙動演算) | ⑧ 車輪速センサ(速度感知) |
③ エアタンク(エア蓄積) | ⑥ モジュレータ(エア制御) | ⑨ エア圧力センサ(重量感知) |
ワブコ製 横転抑制装置 1軸に装着
クノールプレムゼ製 横転抑制装置 2軸に装着