小型トラックの場合商用であるがゆえにデザインの変更は難しい。車やトラックにあまり興味のない人が見れば、どのメーカーも皆同じに見えるほど似通っており、何と言う車種かまで答えられる人はまずいない。さもすれば運送業者の中にも、他社と間違う人もいるかもしれない。
どこに個性を持たせるか?いっそのこと、見てくれよりも機能に特化するべきか?デザイナーも悩むところだろう。
今回の新型デュトロは、その個性と機能を両立させたデザインになっていると言えよう。ひとつはフロントバンパーからフロントグリル、サイドミラーに向けてH型の切れ込みを入れたことだ。逆ハの字型のデザインは、多くの場合シャープで精悍なイメージを醸し出す。余談だがメーカーは「HINOのHをイメージした」とのことだ。
さらに新型デュトロは、 機能面でのデザイン変更も忘れていない。フロントガラスをこれまで以上に寝かすことにより、クラストップの空力性能を発揮する。資料によると他社競合比で△25%から△30%(CD値)だという。これも0.1%単位で割り付けられた「燃費向上」に貢献している。
新型デュトロが「精悍な顔」になったのは、フロントのH型のマスクにしたからだけではない。フロントピラーを65mmという細いピラー(ワイドビューピラー)を採用していることにもよって、さらに精悍さが際立っているように思える。
ちなみにこのワイドビューピラー、デザイン性だけで採用されているわけではない。ピラーが細ければ細いほど、良好な前方視界を確保することができ、安全につながるのだ。もちろん、きちんと強度を確保することが大前提となるが、見た目にもこれ以上細くなると心細さを感じる。絶妙なバランスだと思う。
車両側面の視界エリアを大幅に拡大した2面鏡式ミラーを運転席、助手席に標準装備された。とかくトラックの巻き込み事故や左折時の事故が後を絶たない。特にトラックを運転したことがある方なら覚えがあると思うが、右折は視界が良好でさほど問題はないが、左折時は本当に見づらい。助手席に誰か乗っていればなおさらだ。
ドライバーに少しでも多くの情報を与えることは重要だ。
フロントのデザインを大きく印象付けさせるポイントはまだある。それがヘッドランプだ。今回新型デュトロには、乗用車では当たり前になりつつあるディスチャージヘッドランプがロービームにオプション設定された。
このヘッドランプの形状も、精悍な顔に一役を買っているのだが、それよりもこれまでのハロゲンタイプに比べ、大幅に増えた光量は夜間の走行に大変役に立つアイテムだ。