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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第136回】    株式会社ソニックフロー(東京都江東区)

従業員の8割の運行管理者資格取得を目指す

 今年2月17日で設立75年、現社長の経営になって25年になるソニックフロー(本社・東京都江東区、西脇昌社長)。同社のメインは関東エリアにおける酒類の共同配送(酒類メーカー16社の共配)なので、コロナ禍による影響が大きかった。だが、コロナ直前の2019年に開設した名古屋支店は東京の取引先とは全く別の業種のため、同支店の売上増が奏功して2019年6月期(7.3%増)、20年6月期(3.4%増)、21年6月期(11.0%増)と、売上増を続けている。また、コロナ禍によるダメージが大きかった期間に、「苦汁の決断として、長年にわたって協力をいただいた庸車先には頭を下げて仕事を断らざるを得なかった」(西脇社長)。だが、その後、業績が徐々に回復しても先行きが不透明なので、再び庸車先に迷惑をかけるわけにはいかないという思いから、自車両の比率を高めてきた。外注先には比較的高い運賃を支払っていたため収益性も向上した。

 同社は、危機意識をポジティブな方向に転換してコロナ禍によるダメージを短期間で克服し、むしろ企業体質を強化した格好の事例である。これまでも取引先に対して多様でユニークな企画やアイディアを提案し、物流面だけではなく荷主企業の事業展開にも貢献してきた。たとえば配送が終わると、荷主の商品を大きくデザインしたカラーのトラックで繁華街を何度も巡回してPRしたり、大型小売店の店頭での販促キャンペーンを支援するといったこともしてきた。あるいは、荷主の工場に納入される原材料や資材などの調達物流でも、センターフィー方式の導入を提案するなどである。現在はSONIC立川物流センター(酒税蔵置4950㎡)を核とした酒類の共同配送、大阪支店(大阪市淀川区)、そして2019年に開設した名古屋支店(名古屋市中村区)で事業を行っている。保有車両数は全社で45台、従業員数は70人、そのうちドライバーは50人である。

 ソニックフローの事業の大きな柱は立川支店の酒類の共同配送である。したがってコロナ禍による外食産業での酒類提供規制の影響は大きかった。そのような中で名古屋支店は「コロナ禍の直前に開設したのでタイミング的に良かった。東京とは全く別の業種の取引先なので東京の落ち込みをカバーできた」(西脇社長)のである。その結果、2021年6月期決算でも前年度比の売上高は11.0%増となった。また、コロナの感染拡大に伴い2021年7月、8月、9月と、いずれも単月で営業損益が赤字になっている。今期の第1四半期は赤字スタートだった。だが、10月には黒字に転じ、11月には黒字幅が大きくなっている。第1四半期の赤字を10月、11月でほぼ埋めることができた。同時に傭車比率を6割から4割にしたことで収益性も向上した。だが、自車両比率を高めると荷動きの回復にともない増車が必要になり、ドライバーも確保しなければならない。

 ソニックフローには約1年半の間に25歳未満のドライバーが8人入社している。その中には22歳で大型免許の取得者もいる。これらは全員が紹介による入社だ。同社では「12、3年間は募集広告をいっさい出していない」(西脇社長)。実は、これにもユニークな発想が活かされている。新人が入社する日は何月何日と決まっているので、その日に合わせて新入社員が乗務する新車が納車されるように事前にトラックを発注しておく。そして入社日に新車を納車させると、「思っていた以上に喜んでくれる。そのような相乗効果で縁故入社が続く」(同)のである。同時にこの間、客観的品質の取得に力を入れてきた。ISO9001(2000年度版)の認証を取得したのが2007年だった。以来、2009年には2008年版、2018年には2015年版と継続している。安全性優良事業所(Gマーク)も取得しているが、その他の客観的品質の認定、認証も取得していく方針だ。

 そのような中でソニックフローがとりわけ力を入れているのが人材のレベルアップだ。ドライバーをはじめフォークリフト従事者、その他の作業従事者のレベルを見える化する方法の1つとして運行管理者の資格取得を会社として推奨している。現在、同社には18人の運行管理者の資格取得者がいる。従業員数が70人なので25.7%になる。50人のドライバー数に対しては36.0%、車両数が45台なので車両対比では40.0%である。これは運行管理者の資格を持つドライバーが多数いるからだ。さらに「従業員の80%を運行管理者の有資格者にすることを目標にしている」(西脇社長)という。ドライバーだけでなくフォークリフト従事者や庫内作業員も含めて、60歳以下で希望者は全員が受験する。そのため講習会などにも有給で会社として参加させている。ソニックフローでは、従業員のレベルアップを通して企業のブランディング化を図っていくという方針だ。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>

(写真提供:ソニックフロー)