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帝国データバンク、港湾運送会社365社実態調査

2010年8月9日(月)

― 2009年の売上高合計、前年比7.4%減の1兆7527億5700万円 〜 京浜3港、阪神2港周辺に集中して所在 ―


株式会社帝国データバンクは、特別企画として港湾運送会社365社実態調査を行い、調査結果を本日発表した。以下、同社発表より。

<調査背景および概要>
我が国の太平洋岸の主要港湾は、今や世界の大動脈となった北米〜中国間で最短の津軽海峡〜日本海ルートから外れていることや、神戸港が阪神大震災で被災し、機能が低下したことなどから、韓国の釜山港に国内貨物が流出し、同港はアジアのハブ港として、その地位を高めている。

このため、国土交通省は、貨物の国外流出がリードタイムの増加や物流コストの上昇により、国民生活の水準低下や産業競争力の低下を招きかねないとして、「国際コンテナ戦略港湾」を2ヵ所選定することとなった。

帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS2」(130万社収録)の中から、2007年〜2009年の売上高、税引き後当期利益、資本金、所在地、設立(創業)年月が判明している港湾運送会社365社について調査分析を行った。同種の調査は今回が初めて。

<調査結果>
港湾運送会社365社の2009年売上高合計は、約1兆7527億5700万円。
港湾運送会社365社のうち、本店が最も多く所在するのは、神奈川県の48社。なお、東京都、大阪府、兵庫県が各40社あり、全体の約46.0%をこの4?府県で占めた。

2009年の港湾運送会社365社の売上高合計は、対前年比7.4%減の約1兆7527億5700万円。
なお、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県が本社企業の売上高合計は、約1兆1120億9800万円と全体の約63.4%、税引き後利益が合計約223億500万円と全体の約77.0%を占めた。

港湾運送会社365社の資本金額合計は、942億3645万7000円。資本金1億円未満の企業が大半を占めた。
港湾運送会社365社の平均業歴は59年。設立が旧い会社ほど、売上高も多い。

<結果詳細>
1.◆都道府県別本店最多所在地は、神奈川県の48社◆
港湾運送会社365社のうち、都道府県別で最も本店所在地が多いのは、48社の神奈川県。
第2位は、40社の東京都、大阪府、兵庫県が続いた。京浜3港と阪神2港を擁する4?府県で、全体の46.0%を占めた。神奈川県だけで見ると、横浜市所在が41社、川崎市所在が6社。東京都だけで見ると、港区所在が18社、中央区所在が6社、品川区所在が6社、江東区所在が5社、大田区所在が3社、千代田区所在が2社あった。
大阪府だけで見ると、大阪市所在が35社。兵庫県だけで見ると、神戸市所在が35社あった。

2.◆売上高合計は、前年比7.4%減の1兆7527億5700万円◆
売上高トップの(株)上組かみぐみ(神戸市、東証1部)は、業界最大手として、総合物流企業に脱皮。
第2位の(株)日新(東京都千代田区、東証1部)は、総合物流企業として、全国に拠点。
第3位の鈴与(株)(静岡市)は、清水港を拠点とする中部経済界のトップクラス企業。
第4位の神鋼物流(株)(神戸市)は、神戸製鋼所系列。
第5位の名港海運(株)(名古屋市、名証2部)、第6位の伊勢湾海運(株)(名古屋市、名証2部)、第7位のアサガミ(株)(東京都千代田区、東証2部)、第8位の(株)宇徳(横浜市、東証1部)が、上場企業として続いた。
各上位企業は、港湾荷役だけでなく倉庫業や陸運業なども手がけており、総合物流企業となっている。なお、売上高の規模別では、売上高や税引き後利益の動向に大きな違いは無かった。
なお、京浜3港と阪神2港を擁する東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県が本社所在地企業の売上高合計は、約1兆1120億9800万円と全体の約63.4%、税引き後利益合計は約223億500万円と全体の約77.0%を占める。

3.◆資本金合計は942億3645万7000円〜◆
港湾運送会社365社の資本金額合計は、942億3645万7000円となった。資本金額第8位の(株)リンコーコーポレーション(新潟市、東証2部)は、「日本海側拠点港湾」の有力候補とされる新潟港を拠点とし、港湾埠頭を私有する全国でも数少ない企業。
第9位の伏木海陸運送(株)(富山県高岡市、東証2部)は、上場企業。
第10位の国際埠頭(株)(横浜市)は、三菱商事(株)の持分法適用会社。横浜港の本牧に水深17.5メートルの自社埠頭を私有する。
(株)上組の資本金がスバ抜けて大きい一方、資本金1億円未満の会社が大半を占める。今後、物流の連続性の向上や、必要な設備投資金額などを鑑みると、資金の調達も含めた業界再編が求められよう。

4.◆港湾運送会社の平均業歴は59年〜◆
港湾運送会社365社の平均業歴は、59年となった。最古参は、(株)天野回漕店(静岡市)の1800年(寛政2年)。清水港と御前崎港が拠点。第2位は、(株)上組の1867年(慶應3年)。神戸港の東部すなわち「上方」に位置していたため、現商号の由来となった。
第3位の(株)ホンマ(横浜市)は、日本郵船系。
第7位のニッケル.エンド.ライオンス(株)(神戸市)は、(株)住友倉庫系。
第10位の早川運輸(株)(横浜市)は、古河機械金属(株)の出資もあり、海底ケーブルの敷設・維持も行う。
大正以前に設立(創業)された企業の、1社平均の売上高は100億円近くあるが、歴史が浅くなるにつれて売上高も減少する。これは、旧い企業ほど通倉庫業、陸運業など周辺業務にも進出して多角化している一方で、地方港所在の若い港湾運送企業は、石炭積み出しなど衰退産業に依存していた会社があること、地方港が戦後の高度経済成長期に整備されたため、後背地からの集荷に限りがあることなどが原因と思われる。