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日立製作所、50cm離れた場所から呼気中のアルコールを特定可能な小型質量分析装置を開発

2010年3月23日(火)

呼気中の微小な水粒子を検出する容積150ccの小型質量分析装置を開発

アルコールセンサと組み合わせて50センチ離れた場所から呼気中のアルコールを特定

  株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村 隆)は、このたび、呼気中の微小な水粒子(以下、水クラスタ)を検出する、容積150cc(高さ75mm×幅50mm×奥行40mm)の小型質量分析装置を開発した。本装置は、水クラスタが大気中でイオン化し電荷を帯びると、浮力、空気抵抗、重力、電界による力の影響で、水クラスタのサイズによって異なった運動をする性質を利用して質量を分析する。

 従来の質量分析法は、成分分子をイオン化し、真空中でイオンの動きを分析するため真空ポンプが必要だったが、本装置は大気中で水クラスタイオンに電界をかけ、瞬時に正および負のイオンに分離し、質量を分析するため真空ポンプが不要となり、装置の大幅な小型化を実現した。
 また、約50cm離れたところからでも呼気中の水クラスタを検出することができ、既存のアルコールセンサを組み合わせれば、呼気中のアルコールの厳密な特定も可能となる。今後、自動車分野をはじめとする運転・作業管理の分野への応用に期待しているという。

 近年、自動車への応用を中心に、呼気中のアルコールを特別な動作をせずに測定する方法が検討されている。半導体アルコールセンサなどの既存の小型センサは、検出されたアルコールが呼気中に含まれているかどうか、その判別が困難なため、アルコールセンサと組み合わることができる小型の呼気センサが求められている。

 人間の呼気は、風圧や温度・湿度の変化などのデータから検出できるが、呼気であることを厳密に証明するためには、呼気に含まれる特有の成分である窒素や酸素、二酸化炭素、水分などを確認する必要がある。

  呼気中の成分の精密な分析には質量分析法を用いる方法があるが、従来の質量分析法は、成分分子をイオン化し真空中でイオンの動きを分析するため、イオン化装置や真空ポンプなどの機器が必要であり、小型化が困難だった。

  今回、日立は、真空ポンプを用いずに呼気中に含まれる微小な水クラスタの質量を検出する小型質量分析装置の開発に成功した。