東日本大震災から約3年5カ月が経つ。筆者はこの間、被災した事業者を訪ねて不定期ではあるが取材を続けている。今回は山城運輸(岩手県陸前高田市、加藤隆社長)を紹介することにしよう。東日本大震災は甚大な被害をもたらしたが、同時に、運不運は紙一重の差という実態も目の当たりにする。
山城運輸は、社長の自宅は津波の被害に遭ったが(全壊ではない)、会社は僅か40pの差で辛うじて被害を免れた。気仙川の支流の矢作川が、気仙川と合流する少し上流に廻館橋がある。その橋の少し上流の気仙川沿いに同社はある。広田湾から押し寄せてきた津波は、廻館橋より下流にかかる橋は破壊してしまったが廻館橋は無事だった。この廻館橋に瓦礫がつまったために遡上してきた津波が左右に分散され、支流の矢作川沿いにも遡上した。それによって同社の脇を流れている気仙川の水位が多少低くなったために会社の施設などは津波の被害から免れたようだ。 |