運送事業者レポート
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運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第98回】 株式会社マイシン(愛知県豊橋市)

約4分の1が女性ドライバーで1人は産休中


 ドライバー不足がますます深刻になってきた。自動車運転の有効求人倍率が全産業平均に比べて高いのは、他産業に比べて女性就業者があまり増えていないことも理由の1つだ。そのような中で、ドライバー135人のうち34人が女性ドライバーという事業者がいる。約4分の1(25.2%)が女性ドライバーだ。この事業者はマイシン(本社・愛知県豊橋市、辻直樹社長)で、本社の他に浜松東営業所があり食品、部品、化学製品、その他の様ざまな荷物を取扱っている。保有車両数は2t車から増トン車まで合わせて145台。従業員数は180人で、そのうちドライバーは135人、荷主の構内作業に従事している従業員もいる。今年8月決算期の売上高は27億6000万円である。マイシンの設立は1979年で、スタート時から積合せ輸配送を行ってきた。市内問屋町の卸団地の問屋を取引先に、「問屋町を集荷して回り、それらを三河エリアに配送していた」(辻社長)。

 このようなことから「ひまわり便」の営業を開始したのは1982年だった。ひまわり便の「ひまわり」は「その日に回る」という意味からつけたという。問屋町にある各問屋を集荷してまわり、方面別に仕分けて三河地区の小売店などに配送するというハブ&スポーク方式だった。だが、その後ハブ&スポークを止め、1990年からは積合せダイレクト便(ライナー便)を開始した。現在のひまわり便の配送エリアは三河地区で基本的にはクロスドック方式である。夜中に幹線輸送で同社センターに荷物が持ち込まれ、配送コースごとに仕分けて配送する。ひまわり便は帰り荷として三河エリアから出るひまわり便の荷物、およびライナー便の荷物を集荷してくる。ライナー便の荷物は方面別に仕分けして、積合せて輸送する。ライナー便のトラックは、帰り荷として三河エリアに配送されるひまわり便の荷物と、他の地方に積合せて運ぶライナー便の荷物を集荷してくる。


 ひまわり便、ライナー便とも冷凍・冷蔵の商品も取り扱っている。ひまわり便は三河エリアを毎日配送。ライナー便は、豊橋・豊川・蒲郡便、名古屋便・東海4県便があり、自社便で毎日運行している。関東や関西はライナー便で積合せて幹線輸送し、関東では神奈川県と茨城県にある協力会社に持ち込んで配送を委託する。協力会社で首都圏を南と北の両面からカバーするという形だ。また、関西は東大阪市の事業者に委託している。それ以外は路線便に出す。一方、路線事業者9社の渥美半島における配送業務を受託している。複数の路線事業者のターミナルを集荷して、そのまま配送に向かうという方式だ。さらに、路線事業者2社については集荷業務も行っている。もちろん貸切契約の取引先もあるが、「当初から積合せ輸送をしているので、それが当たり前の感覚になっている」(辻社長)。とくに2t車で近場のひまわり便は、女性ドライバーが働きやすい条件を備えている。

 このようなことから、マイシンには昔から女性ドライバーがいた。「1995年当時でも70人ぐらいのドライバーのうち女性が5、6人いた」(辻社長)というから、20数年前としてはかなり多い。さらに積極的に女性ドライバーの採用に力を入れるようになったのは4年ほど前からだ。それまでは「朝6時に出勤できて、勤務時間に制約のない女性しか採用していなかった」(同)。だが、「4年前に8時なら出勤できるという女性が応募してきたので採用することにして、共同配送の2回目から乗務するようにさせた」(同)という。これには新たな発見もあった。納品先は必ずしも早い時間の配達を求めているわけではなかったのである。従来は「6時に出勤して8時や8時半に配達していた。だが、8時出社で10時や10時半の納品でもクレームが来ない。つまり6時出勤は車両の回転を高めたいという自社都合で、受荷主はそれほど早くを求めていなかった」(同)のである。


 そこで市内配送は全員女性にしたら、女性の応募のハードルがさらに下がってきた。また、子供の成長に伴って働ける時間帯が変わってくるのも女性ドライバーの特徴の1つだ。子供の手が離れると近場のひまわり便からライナー便などへのシフトが可能になる人もいる。そこで中型や大型免許の取得を促進するステップアップ制度も設けている。採用担当者も女性にした。このようにして「地場はほとんどが女性ドライバーなので広告効果も高まった」(辻社長)。また、女性ドライバーが多いと「シングルマザーなら両親が安心してくれるし、既婚者では旦那が安心してくれる」(同)という。同社には8月から産休をとっている女性ドライバーが1人いる。これまでは妊娠するとほとんど辞めていったが、産休がとれる企業に向けての最初のケースとして期待は大きい。「女性が楽に働けるようにすれば、男性も仕事が楽になってくる。女性が良くなれば男性にも良くなる」(同)からだ。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>