運送事業者レポート
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運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第100回】 株式会社小碇運輸(神奈川県川崎市)

ユニフォームも一新しオリジナル・ホームページも開設


 運送業界では一部の事業者を除くと、これまで企業イメージにはあまり頓着しなかった。長年にわたって企業間物流を担ってきた事業者にとっては、企業イメージは意識外といっても良いほどだった。一般の人たちを対象にした宅配や引越サービスなどは別だが、企業間の荷物を取り扱っていて貸切契約を主にした事業者にとっては、一度契約すればよほどのことがない限り契約が継続する。したがって、あまり営業の必要もなく、企業イメージはさほど重要ではなかったからである。だが、最近は企業イメージも重要になってきた。このような認識から、小碇運輸(川崎市川崎区、小碇幸美社長)は昨年12月からユニフォームを一新、さらに2月にUPする予定で現在、オリジナル・ホームページの制作を進めている。ホームページはこれまで、協同組合(川崎中央トラック運送事業協同組合)の組合員紹介しかなかった。だが、最近はホームページの必要性も痛感するようになってきたからである。

 小碇運輸の設立は1955年で、鉄鋼製品の輸送などを主に行ってきた。現在は川崎市の本社の他に境営業所(茨城県猿島郡境町)がある。保有車両数は21台で、内訳はトラクタ2台、シャーシ2台、15t平ボディ車5台、15tウィング車1台、13t平ボディ車1台、8t平ボディ車1台、4t平ボディ車3台、4t箱車5台、2t幌車1台である。従業員数は23人で、うちドライバーは20人。保有車両の内訳からも分かる通り、同社は平ボディ車が多い。これは鉄鋼製品などの輸送が多いからである。同社の輸送内容と売上比率を見ると、貸切便の売上が70%、スポットのゼブラ便が30%である。このうち貸切便は鉄鋼製品が50%、プラスチック容器が20%という比率になっている。ゼブラ便は一般貨物のスポットである。メインの鉄鋼製品は鋼管などが多い。輸送先は「一部静岡を含む関東一円がほとんどだが、時には長野県や福島県への輸送もある」(小碇社長)という。


 化成品はプラスチック容器などで、原材料の集荷と製品の納品の両方の仕事をしている。荷主の工場に近い境営業所が業務を受託している。まず製品を工場から大手小売業などの物流センターに納品する。これらの車両が化成品の原材料を集荷して工場に帰るという業務である。それに対してゼブラ便は小碇運輸のオリジナルな輸送サービスだ。平ボディ車がメインで、荷物は一般貨物が対象。顧客は地場の工場や同業者などである。同業者の中にはローカルネットのメンバーもいる。以前は現社長が「空いているトラックに乗って荷物がありそうな先を訪問して営業をしていた」(小碇社長)という。現在は営業専任者をおいていない。ゼブラ便はスポットの荷物だが、「オーダーは前日ぐらいに入ることが多い。たいていはまず電話でオーダーが入り、FAXで荷物や納品先などの内容を確認する」(小碇社長)という受注方法だ。もちろん、緊急のオーダーにも対応している。

 ゼブラ便も自車両は関東一円で、それ以外の地方はローカルネットのメンバーに委託する。スポットの荷物は運賃が比較的良いが、コンスタントに受注できるかどうかがポイントになる。そのためローカルネットなども活用しているようだ。また、同社ではゼブラ便に限らず貸切便でもスポットの仕事を組み合わせるようにしている。たとえば空調機の工事現場への納品でも、1日仕事ではないので午後の納品にしてもらい、午前中には別の仕事を組み込むなど、「荷物の組み合わせによって利益が出るような配車にしている」(小碇社長)という。「平ボディはフラットなので積み込める」(小碇社長)ため、荷物の組み合わせがしやすい。このように小碇運輸ではBtoBの仕事をしている。ゼブラ便はスポットとはいえ、オーダーが時々入るというだけで、取引先はほぼ固定化している。さらに、「ローカルネットにも入っているので、仕事は入ってくる」(小碇社長)という経営環境にあった。


 このような事業内容だったために、「鋼材を運んでいればユニフォームが汚れるのは当たり前と思っていた」(小碇社長)。また「BtoBの仕事なのでホームページの必要性もあまり感じてはいなかった」(同)、という。協同組合のメンバー紹介程度のホームページでも大丈夫と思っていたようだ。だが、トラック協会の青年部などで学ぶうちに、オリジナルのホームページの必要性を感じるようになってきた。そこで、まずユニフォームの一新を図った。「ユニフォームは30年も変えていなかった。だが、汚れるのが当たり前という考え方を一新した」(小碇社長)のだという。昨年12月に防寒着も替えたのである。ユニフォームの一新は、発想の一新でもあったようだ。さらに、オリジナルのホームページも「2月にはUPしたい」(小碇社長)と取材時点では、制作会社と検討中であった。同社に限らず、企業間取引を専門にしている中小事業者にも、これからは企業イメージが重要になってくる。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>