運送事業者レポート
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運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事。(毎月第1週に更新)

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【第47回】 川崎陸送株式会社(東京都港区)

車両待機時間を大幅短縮し庫内作業の生産性も向上



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 トラックの待機時間の短縮は業界にとって大きな課題だ。ドライバーの長時間拘束の一因であり、人件費という面からも改善が求められている。また路上での待機は社会的な問題でもある。そこで川崎陸送(本社・東京都港区、樋口恵一社長)では、以前から待機時間の短縮に向けて取り組んできた。各営業所で様ざまな取り組みをしているが、ここではセンターに納品にきた車両の所要時間(待機時間+作業時間)の短縮を実現し、自社の庫内作業の生産性も向上した同社関東営業所(山崎悟所長)の事例を紹介する。

 同営業所は埼玉県坂戸市の大手食品メーカーの工場内にある。倉庫面積は1万2870平方メートル、自動倉庫3基(保管可能パレット1万6360枚)で、第1倉庫、第2倉庫、Aランク倉庫からなる。その他に外部倉庫も使用している。最大同時接車バースは26台で、取扱商品は菓子、スナック、チョコ、ガム、グミ、食玩(おまけ付き菓子)などである。

 同営業所の平均取扱数量は入出庫が約7万2000ケース/日で、大型トラック60台、小型トラック120台。センター機能は、全国の工場やセンターとの拠点間輸送と、関東エリアへの配送である。同営業所による配車は毎日トレーラ5台、大型車30台、小型車50台で、配車担当者4人で配車などをしている。

 このようななかで、@営業所への納入車両は長距離便なので朝一番(開門時間6時)に集中し、荷降ろしまでの待機時間が長いので改善したい、A庫内作業の効率を向上し、最適な人員配置など生産性を高めたい、Bトラックに路上待機をさせないために近くの同社坂戸流通センターで待機してもらう車両もあり、入庫の順番になると携帯電話で連絡しているがバースに到着するまで約15分かかるので時間的ロスをなくしたい、といった課題があった。そこで昨年9月からプロジェクトを立ち上げ、まず、入庫予約受付システムの導入に向けて着手したのである。


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 入庫予約受付で期待できる効果は、輸送・運行管理面では、@ドライバー自身が事前に時間を予約することで計画的な配車計画と運行指示が可能になる、A拘束時間、残業時間の短縮でドライバーの負担が軽減できるとともに人件費が削減できる、B待機時間の短縮で燃料使用量を削減(燃料費の削減とCO2排出量の削減)、C車両回転率の向上で1車両当たりの収益性向上。
 倉庫運用面では、@事前入力などの排除で事務員の負担軽減、A入出庫予定台数が当日朝一番の時点で分かるため人員配置がスムースになる、B庫内作業従事者の勤務体制の見直しが可能になる。

 そこで、まず車種別の作業時間算出に取り組んだ。荷姿にはシートパレット(通常パレットもあり)とバラ積みがあり、シートパレットの荷降ろしは45分〜1時間。バラ積みは、チョコは約1000ケースで荷卸には2時間〜3時間。カールなどのスナックは約1200ケースで1時間〜1時間30分である。



 荷姿によって作業時間が違うが、調査ではシートパレットが58.2%、バラ積みが41.8%なので、まずシートパレットで入庫される幹線便から取り組むことにした。入庫予約システムは、@ドライバーからの荷受け時間の予約を電話で受け付け積み荷の内容なども確認、A倉庫に確認、需給計画や保管状況などを決定、Bドライバーに電話で返信、入庫する倉庫(外部倉庫もある)や着車時間を連絡し確認、C現場に通達し手製のホワイトボードに記入して現業職が確認、という流れである。前日の午後2時から入庫予定時間を電話予約できるので、出荷先から出発する前や輸送の途中からでも予約が可能だ。出発時の状況や運行途中の道路状況などから到着時間を逆算して予約ができる。予約は電話の早い順番に受け付ける。これは実際に開始してから分かったことだが、夕方5時頃までには予約が終わり、倉庫の荷受け作業開始の7時からという予約は意外に少ないという。


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 導入に際しては出荷元や運送会社への訪問説明、ドライバーの理解の促進も図った。社内でも受付オペレーターや現業職への教育、受付手順の見直しと改善を行った。テスト運用では1つの工場からの荷物だけでスタートし、出荷元を増やしていった。最初は予約率が低かったが7月には100%になり、所要時間(作業時間+待機時間)は導入前と後では55%の短縮。作業時間と待機時間に分けると待機時間の78%短縮が大きく貢献している。作業時間も8%短縮し、それにともない庫内作業の生産性も向上した。残業時間を比較すると13年4月は延べ299.7時間(1人平均27.2時間)だったが、14年4月では延べ235.2時間(1人平均25.3時間)である。つまり総残業時間が64.5時間/月減少し、1人平均の残業時間も3.7時間/月減少した。同営業所では今後、バラ積み荷物での導入、外部倉庫への入庫、出荷待機時間の短縮などに取り組んで行く。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>
(写真提供:川崎陸送株式会社)