トラック運送事業では、サービス内容において他社との差別化を図ることがなかなか難しい。とくに地元からの発荷物の多くが1次産品という地方においてはそうである。そのような地方の事業者の中には、地元発の荷物ではなく、地元に入ってくる消費財の店舗配送などで成功しているケースも少なくない。だが、多くの事業者が目を向けなかった地元特産の農産品の物流で、独自の物流システムを構築して業績を上げている事業者がいる。この事業者は肥後産業(本社・鹿児島市、肥後貴哉社長)で、同社は鹿児島県の特産品である茶、サツマイモ(でんぷん)、鰹節の3品のうち、茶とサツマイモ(でんぷん)で独自の物流サービスを展開している。この3品にこだわったのは、同じく鹿児島の特産品である「豚、鳥、牛の物流は既存の事業者がガッチリ押さえていたから。それらの事業者が目を向けなかった分野に参入した」(肥後忍会長)からであった。
|