国土交通省では、事業用自動車における事故削減を図るため、事業用自動車に係る総合的安全対策委員会によりまとめられた『事業用自動車総合安全プラン2009』(平成21年3月)を踏まえ、旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)及び貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第22号)並びに関係通達の一部を改正した。
1.趣旨
「事業用自動車総合安全プラン2009」に基づき、事業用自動車の飲酒運転ゼロの目標を達成するため、点呼時にアルコール検知器の使用を義務づける等の改正を行う。
2.概要
(1)公布即施行
・酒気を帯びた乗務員を乗務させてはならないことを明確化する。
・運行管理者の補助者となることができる要件として、運行管理者資格者証の交付を受けている者を追加する。
・上記の補助者が、運行管理者の指示を仰がずに、又は指示に反して不適切な業務を行った場合には、運行管理者資格者証の返納を命じることができることとする。
(2)来年4月1日から施行
・事業者は、点呼時に酒気帯びの有無を確認する場合には、目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いてしなければならないこととする。
・事業者は、営業所ごとにアルコール検知器を備え、常時有効に保持しなければならないこととする。
・このため、事業者は、アルコール検知器の故障の有無を定期的に確認しなければならないこととする。
・電話点呼の場合には、運転者にアルコール検知器を携行させ、検知結果を報告させる等により行うこととする。
3.公布日及び施行日
上記2−(1)公布即施行
公布 平成22年4月28日
施行 平成22年4月28日
上記2−(2)来年4月1日から施行
公布 平成22年4月28日
施行 平成23年4月1日
◆要点◆
<アルコール検知器そのものについて>
1.当面、性能上の決まりはない。
2.インターロックも含む。
3.正常に作動し、故障がない状態で保持しておくこと。定期的に故障の有無確認などのメンテナンスをすること。
※毎日確認する事項
― アルコール検知器の電源が確実に入ること。
― アルコール検知器に損傷がないこと。
※できれば毎日、少なくとも週1回は確認する事項
― 確実に酒気を帯びていない人がアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知しないこと。
(精度が低いアルコール検知器の場合、歯みがき粉、饅頭、ガム等々にも反応する場合がある)
<運用>
1.アルコール検知器を営業所ごとに備え、ドライバーの状態を目視(顔色、呼気の臭い、声の調子など)で確認するほか、ドライバーの営業所に備えられたアルコール検知器を使用して検査すること。
2.点呼項目の1つにアルコールチェック(酒気帯びの有無検査)が追加。Gマーク取得企業はこれまで同様、IT点呼でかまわない。
3.乗車前、下車後にできるだけ対面でアルコールチェックを行なう。対面チェックができず、電話や他の方法で点呼する場合には、ドライバーに携帯型アルコール検知器を携行させる、または自動車に設置されているアルコール検知器を使用させ、1日1回以上測定結果を電話や他の方法(携帯電話など通信機器と接続するアルコール検知器を用いる場合は、測定結果を営業所に電送させる方法)で報告させなければならない。
4.営業所と車庫が離れている場合など、運行管理者等を車庫へ派遣して点呼を行う場合、運行管理者等が持参したアルコール検知器又は自動車に設置されているアルコール検知器を使用。
5.点呼簿にアルコールチェックの結果も記録し、1年間保存すること。
・アルコール検知器の使用の有無
・対面でない場合は具体的方法
・酒気帯びの有無(数値が出ない機種の場合は、○×などで記入)
6.酒気帯びの範囲は、道路交通法の血液中のアルコール濃度0.3mg/mlや呼気中のアルコール濃度0.15mg/lをさすのではない。どんなに数値が低くともアルコール濃度が0以下でなければ、酒気帯びとみなす。
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