運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事
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【第183回】 株式会社ティスコ運輸(山形県山形市)
「シェア人事」サービスの営業を展開
事部や人事課とまでは行かなくても専任の人事担当者がいない中小事業者が多い。ほとんどの中小事業者は社長があらゆることを1人で仕切っているのが実態だ。人手が足りないといって募集していても、募集、面接、採用の可否判断、新入社員教育、勤怠管理、人事その他をすべて社長が1人で行っている。そこで、「1か月採用人事代行『おためし人事』」や「採用人事シェアサービス『シェア人事』」といったサービスを昨年4月から始めたのがティスコ運輸(本社・山形市、菅原茂秋社長)だ。「シェア人事」は運送事業者だけを対象にしたものではない。ティスコ運輸では、遠い未来の社会環境や経済環境の変化も見据えた企業戦略や事業計画を遂行している。2100年にも必要とされる企業を目指すのが「ティスコ2100プロジェクト」だが、そのための人材を教育・育成するのが「ティスコアカデミー」だ。この人材育成から企画・提案されたのが「シェア人事」である。
ティスコ運輸は2000年1月に有限会社として設立し、2006年5月に株式会社にしている。現在は山形市の本社の他に、県内では庄内営業所(酒田市)、県外では仙台営業所(宮城県仙台市)、岩手営業所(岩手県花巻市)がある。保有車両数は本社が65台、庄内営業所6台、仙台営業所12台、岩手営業所9台である。従業員数は正規雇用社員が170人と非正規雇用社員が30人。事業内容は、一般貨物自動車運送事業、同取扱事業、産業廃棄物収集運搬事業、トータル物流システム提案事業、県内小口貨物集配事業、DC/TC事業、流通加工事業、家電製品配送および工事・設置業務、住宅部材配送業務、住む~ぶ事業(高齢者引越、すけっと便、不用品回収や遺品整理など)、貸会議室、貸事務所、デジタルアーカイブなどである。また、2021年12月には、埼玉県東松山市のウインドクルージングの発行済株式を100%取得して完全子会社化した(現在の従業員数21人)。
ティスコ2100プロジェクトの一環として従来のスキルアップ主眼の社内研修だけでなく、人間力の向上を目的にした人材育成も進めている。そのために2021年10月から「ティスコアカデミー」がスタートした。コースは、①ブロンズ(ベーシックな人間力)、②プラチナ(マネジメント)、③ダイヤモンド(事業部長クラス)、④トップofティスコマン(新規事業を企画立案してプレゼンし、採択されれば起業資金を会社がバックアップ)の4つ。ブロンズ修了者はプラチナに進学するという仕組みで、ブロンズとプラチナは各1年、ダイヤモンドとトップofティスコマンはそれぞれ2年コースになっている。まだトップofティスコマンの修了者はいないが、同コースの修了者は、社内で新事業を立ち上げたり、グループ会社の社長などを担えるようになる。このような過程で、執行役員で本社管理部長(兼人財開発課長)の田村拓也氏が提案したのが「シェア人事」である。
同社によれば「1か月採用人事代行『おためし人事』」の基本は、全4回(4時間/回)の採用・人事相談。1回目=採用人事課題の全体的な洗い出し。2回目=競合分析とお客様の強みと弱みを分析し可視化。3回目=求めている組織状態や人材の確認。4回目=打ち出しの方向性立案。これらをレポートにして提案する。料金は全4回で10万円(税抜き)で交通費は別途である。この「おためし人事」は超短期の採用人事代行で、長期の「シェア人事」の導入前に試したいという場合のもの。「採用人事シェアサービス『シェア人事』」では、月30時間の採用人事代行となっている。内容は、自社分析、競合分析、ヒアリング、理念・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、会社キャッチ、ペルソナ、媒体選定、求人票作成、Googleプロフィール、AirWork、Indeed、SNS、説明スライド、採用パンフ、ショート動画、説明会開催、応募者対応、研修、求人広告運用、イベント企画だ。
つまり、どの求人サイトにだして良いか分からない、採用してもすぐに辞めてしまう、どんな人を採用したら良いか分からない、忙しすぎて採用まで回らない、といった中小事業者を対象にしたサービスで、料金は通常価格で30万円/月(税抜き)で、契約期間は1カ月(定期契約の場合は割引あり)。ただし初回キャンペーン料金は15万円/月である。田村部長が「シェア人事」の企画を考え始めたのは一昨年10月ぐらいからだった。社内で企画が通り、営業活動を開始したのが昨年4月だ。営業対象の企業は県内の零細企業、中小企業で業種は運送業に限定していない。企業規模としては従業員数10人~100人以下で、会社の代表者や総務担当者が採用活動などを兼務しているような、採用や人事専門の担当者がいない企業である。具体的な営業展開としては「DMの発送やテレアポなどで営業している」(田村部長)。今後はもっと多様な営業展開を考えているようだ。
<物流ジャーナリスト 森田富士夫>