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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第182回】    株式会社日東物流(千葉県四街道市)

「時間的積合せ」で車両の稼働効率向上を追及

 多くの事業者は運送事業だけではなく、倉庫業や物流センター運営などに参入して事業内容を多角化してきた。運送業務だけで利益を出すのが難しいため、物流事業の総合化を進めてきたのである。だが、運送事業だけでも利益を出すことは可能だ。運送業務で収益性を高めるためのポイントは積載率、実車率、車両回転率という「3率の向上」である。積載率、実車率、車両回転率のどれに重点をおいて取り組むかは、各社の仕事の内容による。たとえば特定荷主との貸切契約を中心にした仕事では、積合せなどによる積載率向上は難しい。また、往路の輸送距離などによっては、帰荷を確保して実車率の向上を図ろうとすると、車両の回転率を下げることにもなる。そのような条件下では、帰荷を積まずに空車でできるだけ早く帰り、地元で他の仕事を組み合わせた方が車両の稼働効率が良くなる。このように各社の条件によって3率向上への取組方は違ってくる。

 これら3率のうち車両の回転率に重点を置いてトラックの稼働効率を高めるような事業展開をしているのが日東物流(千葉県四街道市、菅原拓也社長)である。同社は「倉庫を持たずに利益を出せるならその方が良い」(菅原社長)という考え方で、輸配送の「運送」に特化した経営をしている。また、「基本はチャーター契約なので積合せによる積載率向上は難しく、異なる時間帯の仕事をいかに上手に組み合わせ、空いた時間帯をなくすか」(同)という事業展開をしている。一般的な積合せは同じトラックに複数の荷主の荷物を同時に積むことを意味する。これは、いわば「空間的積合せ」である。それに対して複数の荷主の荷物を異なる時間帯に運ぶことで車両の稼働効率を向上させるのが、いわば「時間的積合せ」といえる。日東物流はこの「時間的積合せ」で車両の稼働効率を向上するという経営方針で「運送」に特化した事業展開をしている事業者だ。

 日東物流の設立は1995年。最初は有限会社だったが2001年に株式会社に組織変更した。創業社長は脱サラして東京の築地市場で働くとともに、千葉県の成田市場に鮮魚を運んだりする仕事を始めたという。会社設立後は順調に事業を拡大し、10数年で保有台数も80台ほどの規模になった。売上高も10億円を超えたのだが、2008年にドライバーの1人が大きな事故を起こした。居眠り運転による追突事故で、追突された車のドライバーが死亡した。労務管理上の問題はなかったのだが会社は行政処分を受けた。現在の菅原社長は「大学では経営学を学んでいたのですが、その中でこれからは3PLの時代といわれていました」(菅原社長)。そして大学卒業後は大手路線会社に就職。2008年に父親の経営する日東物流に入った。その入社2カ月目に大きな事故が起きたのである。いずれ経営を引き継ぐのは既定路線だが、「このままではダメだと自覚した」(同)という。

 事業を発展させるには経営の健全化が必要である。コンプライアンスを徹底して、安全管理や従業員の健康管理の推進など、企業体質の転換を図らなければならない。そこで入社2カ月ほどだったが、たとえば日報を見てムダを省くようにするなどの改善を積み上げてきた。そのような実績を基に少しずつ企業の体質転換を進めてきのである。「幸い会社は借り入れもなく2%の利益を上げていた。だが、自分が経営を引き継ぐ時点ではちゃんとした経営にしておかないといけない。そうすることで従業員も安心して働けるようになる」(菅原社長)。このように経営の近代化を進めながら、社長に就任したのは2017年9月だった。大学ではこれからは3PLといったことを学んだが、会社に入って「運送だけでも利益は出る。倉庫を持たなくても利益が出せるならその方が良い。人手不足の中でも人材が確保できれば、運送に特化した方が良いのではないか」(同)と考えたようだ。

 保有台数は3トン車12台、4トン車64台、10トン車3台の79台で、全車両がオートマ車だ。従業員数は104人(うちドライバーは85人)で、売上高は9億8800億円(2025年9月期)である。食品をメインに、市場や工場から量販店の物流センター、物流会社の倉庫や物流センターに輸送し、小売店舗への配送業務も行う。新案件の仕事は現在の仕事とどのように組み合わせるか。ドライバーの労働時間、保有車両と仕事を上手に組み合わせて収益性を高めている。「時間ごとに仕事を上手く組み合わせるため、新規の案件ごとに配送コースの見直しを絶えず続ける」(菅原社長)。この「時間的積合せ」で車両の稼働効率を向上するという「運送」に特化した経営だ。ドライバーの月間平均労働時間は225.2時間(2024年4月~2025年3月)で、「残業時間は月60時間弱となっている」(同)。またドライバーの平均年収は460.9万円(2024年)である。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>