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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第110回】  株式会社アジア物流(神奈川県綾瀬市)

品質・安全・環境などへの取組みを徹底

 アジア物流(本社・神奈川県綾瀬市、本多佳夫社長)では、2015年度から2019年度までの第1次の中期行動計画に取り組んでいる。この中期行動計画は、品質・環境・安全方針を具体的に実現していくことを目的にしている。重点活動項目としては、①品質・環境・安全マネジメントシステムの継続的展開と有効利用、②ステークホルダーを意識したコミュニケーションの強化、③幅広い人材育成と改善の仕組み構築・強化の3本柱を掲げてこの間、取り組みを進めてきた。今年度は中期行動計画の最終年度になるが、中期計画の70%はISOなども身の丈で行動する計画で、「ISOの要求項目を活かして自分のものとし、このクライアントは何を求めているのかを先取りできるようになる」(本多社長)こと。また、30%は安全の徹底で交通事故減少である。交通安全への取組みでは、物損事故も年間で10数件にまで減少することができた。損保の割引率も70%である。

 アジア物流の設立は1988年4月なので現在は31年目。倉庫会社に勤めていた本多社長が独立して起業したのは33歳の時。最初は厚木で倉庫業としてスタートした(その後、2016年に現在の綾瀬市に本社を移転している)。同社が一般貨物自動車運送事業の免許を取得したのは1990年であった。物流2法が施行になったのは同年12月である。当時、厚木などは製造業の工場が多かった(バブル崩壊後は海外に生産拠点を移転するようなケースもあって、首都圏のベッドタウン化も進んだが)。そのような中で同社では、自動車部品サプライヤーを取引先にして、部品のデポ機能を担うようになり、納品代行などの業務を受託するようになった。納品先はトラックメーカーの工場でデイリーで納入する仕組みである。自動車部品では、岡山などでも納品代行の業務を行っており、一部の部品は同社でアッセンブリをして、メーカーの工場に納品するようなこともしている。

 トラックメーカーの工場は各地にあり、また、塗料など化学品の取引先との関係もあって、地元の神奈川県内だけでなく、大阪や岡山県、福岡県などにも順次、営業所や事業所、流通センターなどの拠点を開設していった。現在は本社営業所(綾瀬市)、綾瀬営業所(同)、大和事業所(大和市)、大阪営業所(大阪府茨木市)、笠岡流通センター(岡山県笠岡市)、福岡営業所(福岡県久留米市)、荒津事業所(福岡市中央区)、広川事業所(福岡県八女郡広川町)の8拠点を持っている。保有車両数は49台で、内訳は13tウィング車18台、8t平ボディ車2台、4tウィング車10台、4t平ボディ車15台、3t箱車2台、2t平ボディ車2台である。ここからも分かるように、同社の保有車両はウィング車と平ボディ車がほとんどである。最近は平ボディ車を保有している事業者が少なくなったので、「ホームページをみて平ボディに対する引き合いがけっこうある」(本多社長)という。

 事業部門としては輸配送サービス、倉庫保管・管理サービス、自動車部品納入代行サービス、危険物取扱サービスがある。このうち倉庫保管では、塗料、自動車部品、飲料、プラスチック製品などを取り扱っている。また、危険物取り扱いでは第4類第2石油類の保管業務もしている。取引先を業種別にみると、自動車部品サプライヤーなど自動車関係、塗料や接着剤その他の化成品メーカーや販売会社、飲料水や食品関係、その他である。その他の輸送品目ではリチウム電池の電極など様ざまな荷物が含まれている。売上高の構成比をみると、自動車部品関係が25%、塗料や化成品などが20%、飲料水や食品関係が20%、その他が35%となっている。また、同社では庸車比率が高く幹線輸送の80%が庸車、地場配送の1、2割が庸車になっている。たとえば大阪~綾瀬間の幹線輸送でみると、自車両による輸送は週に1、2便で、その他は庸車に委託している。

 アジア物流では納品時間などが厳格な自動車部品や、安全管理が重要な危険物などを取り扱っている。そのため「環境や品質のISOの認証は必要条件なので12、3年前に取得した」(本多社長)という。ISO14001は2008年に本社営業所で取得し(2016年には綾瀬営業所でも取得している)、ISO9001は2016年に本社営業所と綾瀬営業所で取得している。また同社では、環境方針も策定して取引先に対しても、①敷地内でのアイドリングストップへの協力、②廃棄物の減量作戦への協力(梱包材などの持ち帰りと適正な処理)、③敷地内で緊急事態が発生した時には同社への速やかな連絡協力などを要請している。このような企業方針の延長として2020年度から2024年度の新たな中期行動計画も年度内に作成し、引き続き取り組んでいく。「ちょうど来年2月はISOの更新でもある」(本多社長)ので、それにも連動する形で計画を策定する予定という。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>