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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第150回】    株式会社共同物流サービス(青森県八戸市)

東北エリアで物流センターを核とした独自のサービスを展開

 今でこそ共同配送など物流の共同化は当たり前になっている。人口減少に伴って国内市場の縮小が進行する中で、今後は同業種間、異業種間を問わず物流の共同化がますます進んでくる。だが、半世紀も前に様々な業種の卸業の共同保管からスタートし、共同配送サービスを行っていた事業者がいる。この事業者は共同物流サービス(本社・青森県八戸市、森山慶一社長)である。同社は協同組合八戸総合卸センターのいわば物流子会社のような形で1972年7月に設立された。同年12月には八戸総合卸センターの各業種の卸会社の共同保管事業をスタート。さらに5年後の1977年には八戸総合卸センターの共同配送も開始している。全国的にみても共同配送の先駆的なケースといえるだろう。だが、現在は卸センターの売上は5%程度で外販比率が95%という割合だ。そして売上規模においても青森県内ではトップクラスの有力な物流会社の1社になっている。

 同社が物流子会社的な経営から脱皮できたのは、この間に流通構造が大きく変わってきたことにもよる。当時は独立して経営ができていた地方卸も「徐々に中央の卸会社の傘下に入るようになってきた。その結果、共同配送の荷物が減ってきた」(森山社長)のである。そこで同社は、食品スーパーやホームセンターなどの物流を担うようになってきた。また、取引先が替わっただけではなく、業務内容も「ケース納品からバラ納品が主になってきた。それに対応できるようなシステムの開発も独自に進めてきた」(森山社長)のであった。さらに主要取引先の小売業も規模が大型化してきた。同社はこのような経営環境の変化への対応を余儀なくされたことも否定できないが、それが奏功したのである。その結果、現在では食品、日用雑貨などを主体に、物流センターを核とした配送業務を青森県内だけではなく、岩手、秋田、宮城の3県と、福島県の一部で展開している。

 現在では本社の他に、八戸総合卸センター内に3カ所の物流センター(第1物流センター、第2物流センター、低温物流センター)、八戸市内に4カ所の物流センター(第3物流センター、北インター物流センター、埠頭低温物流センター=保税蔵置場許可取得倉庫、白山台物流センター)を持つ。県外では金ケ崎物流センター(岩手県金ケ崎町)、仙台泉センター(宮城県仙台市)でもセンター運営を行っている。これらのセンターは特定荷主の専用センターもあれば、複数荷主の共用センターもある。トラックの保有台数は大型車を中心に60台で、協力会社の常用契約の車両も同じく60台ある。事業内容は一般貨物自動車運送事業、倉庫業、自動車運送取扱業、自動車整備および修理、物流コンサルティング、労働者派遣事業である。また、関連会社としてアイティークレストがあり、IT利用技術の開発、データ処理受託、関連機器や用品の販売などを行っている。

 従業員数は846人(2022年3月末現在)で、そのうち正社員が263人、パートナー社員586人となっている。売上高は55億1000万円(2022年3月期)で、取材時点では見通しになるが2023年3月期の売上高は56億円を見込んでいる。売上高の内訳は、食品スーパー関係(低温商品、グロッサリー、水産物など)が40%、ホームセンター関係が30%、飲料水が20%、卸センター関係5%、その他としては機械(電機、精密機器)、リネン(病院関係)、派遣業務などがある。物流センターを核とした物流サービス業務の売上割合としては、物流センターの庫内作業や流通加工などが50%、配送業務が50%(自車両と傭車の車両比率は半分ずつ)となっている。物流センターからの店舗配送が主のため、「一番遠くても250㎞ぐらいなので拘束時間、労働時間も短く、2024年問題はクリアできている」(森山社長)、という。

 同社はサービス品質の向上にも努めている。ISO9002の認証取得は2000年2月(2015年にはISO9001に移行)だった。HACCP認証や安全性優良事業所(Gマーク)認定も取得している。物流センターはTC(通過型)とDC(保管型)の併用型で、さらにTCでは①サプライヤーが商品を店舗別、カテゴリー別などに仕分けした状態で持ち込んでくるクロスドック式と、②サプライヤーから部門別の総量持ち込みで仕分けや流通加工などをして出荷するケースがある。共同物流サービスではセンター内作業の効率化や省人化も進めており、キーカート(無人搬送牽引車)やランダム・デパレタイズ・ロボ(様々な形状の荷物をパレットから自動で降ろすロボ)を導入している(写真)。今後の営業展開としては、「ある程度以上の売上規模があり、財務内容が良く、収益性の高い企業を対象に、物流面の課題を解決する提案をしながら営業開拓していく」(森山社長)方針だ。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>