「新型スーパーグレート」の主な特長
● 世界最高レベルの平成21年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合
[平成17年(新長期)排出ガス規制値比PM63%減、NOx65%減]
● 日米欧のダイムラー・トラック部門のノウハウが集約された新開発大型エンジン「6R10」を搭載。さらにBlueTecRシステム(DPF+尿素SCR)と相まって、クリーンな排出ガスと燃費性能を両立
● 平成27年度重量車燃費基準達成車をシリーズ全体の87%まで拡大するとともに、エコカー減税対象にも大幅適合
● 機械式自動変速機12段INOMAT-IIを搭載し、トップレベルの燃費を実現
● 従来からの予防安全システムMDAS-III(運転注意力モニター)に加え、衝突被害軽減ブレーキ(AMB)、車両挙動安定装置(ESPR)を多くの車種に標準装備
1. 商品特長
「新型スーパーグレート」は歴代のスーパーグレートの基本性能を維持しながら、「環境性能」「経済性能」「安全性能」を3つの柱と捉え、それらをグレートバランスした大型トラック。
(1)法規制への適合
@ 平成21年度排出ガス規制(ポスト新長期排出ガス規制)への適合
日米欧のダイムラー・トラック部門が総力をあげて共同開発した新型エンジン「6R10」を採用。このエンジンは高い燃焼効率を実現し、BlueTecRシステムと相まってNOx、PMを大幅に低減し、世界最高レベルの排出ガス基準(新長期規制比でNOx65%減、PM63%減)をクリアした。
A 平成27年度重量車燃費基準達成車をシリーズ全体の87%まで拡大し、エコカー減税にも対応
新開発大型エンジンの採用により燃費性能を向上させ、燃費基準達成車種を従来モデルの11%から87%まで大幅に拡大(長尺カーゴ、高速用セミトラクターは全車適合)した。これにより、自動車重量税と自動車取得税が75%軽減される「エコカー減税」の対象車を大幅に拡大した。
B 九都県市指定低公害車にも適応
平成22年4月1日より相模原市が追加となった「九都県市指定低公害車指定制度」の平成21年基準「優」低公害車に対応した。(一部LKG-車が対応)
C FUPを全車に標準採用し、安全性能を向上
乗用車等の小型車がフロントバンパー下へもぐり込むことを防止するためのFUP(フロント・アンダーラン・プロテクション:前部潜り込み防止装置)を法規制に先行し、全車に標準採用した。FUPは、2011年9月より装着が義務付け。
(2)新開発のエンジンを採用
優れた燃費効率、ダイナミックな性能、クリーンな排出ガス、そして高い信頼性を実現するため日米欧のダイムラー・トラック部門のノウハウを集約した新開発大型エンジン「6R10」を採用した。同エンジンは、約80%の部品が共有化されており、既に2008年より北米のダイムラートラック・ノース・アメリカ社(フレイトライナーブランド)の大型車両に「DD13型」として搭載されている。
6R10エンジンスペック |
エンジン型式 |
6R10 |
適合排出ガス規制 |
平成21年規制 (ポスト新長期) |
シリンダー配列
吸気方式 |
直列6気筒
インタークーラーターボ |
ボア×ストローク(mm) |
132 × 156 |
総排気量(L) |
12.8 |
@ 新開発の燃料噴射システム『X-Pulse』を搭載し、最適な燃料噴射を実現
燃料噴射系には新開発の『X-Pulse』(X-パルス:増圧式コモンレールシステム)を採用した。『X-Pulse』は、従来比30%増の燃料噴射の高圧化に加え、燃料噴射率の正確なコントロールにより、走行時に刻々と変化するエンジン負荷・回転数に最適な燃料噴射を実現し、排出ガスの低減と燃費向上を両立している。
A 大容量EGRクーラー・連続制御式EGRバルブを採用
EGR(排気再循環システム)には、大容量EGRクーラーと連続制御式EGRバルブを採用した。精密かつ最適なEGR制御により、排出ガスの低減効果を高める。
B 高筒内圧化への対応
高筒内圧力による高効率の燃焼を実現するため、クランクケース・クランクシャフト・コンロッド・ピストン・シリンダーヘッドのエンジン各部を強化した。エンジンの全体剛性が強化され、高い信頼性も実現する。
C 4弁DOHC構造を採用
4バルブを備えたDOHC構造を採用し、性能向上と排出ガスの低減を実現する。
D VGターボチャージャー採用
日本特有のストップ&ゴーが多い走行条件に合わせた最適な走り、優れた燃費性能を達成するために、VGターボチャージャーを日本専用部品として採用している。VGターボチャージャーは低回転域でも高い過給効果が得られるため、発進性や燃費の向上に貢献する。
E 整備性を向上し、メンテナンス頻度を低減
ファンベルト点検時の調整頻度を低減するため、ベルトオートテンショナーを採用し、テンション調整を自動化したことや、オイルフィルターや燃料フィルターをより整備しやすい位置や向きに配置し、整備性を向上した。
(3)BlueTecRシステムを全面採用
2005年にダイムラー・トラック部門内のメルセデス・ベンツ大型トラックに世界初導入となったBlueTecR(尿素SCR)は、その後もダイムラー・トラック部門が培ってきた技術をベースにしながら、MFTBC独自で研究開発をした技術を統合した新しい環境技術。
既にダイムラー・トラック部門だけでも、2005年から25万台以上が販売され、のべ4千億km以上の走行実績を持ち合わせており、耐久信頼性も確立している。
@ BlueTecRシステム(DPF+尿素SCR)について
地球環境を保全するため、二律背反の関係にあるPM、NOxの低減と低燃費を両立させる技術として「BlueTecRシステム」(DPF+尿素SCR)を採用した。
このシステムは酸化触媒と耐久性に優れたSiCセラミックフィルターを組み合わせた「再生制御式DPF」で、PMを捕集、燃焼除去し、残ったNOxをSCR触媒マフラーと尿素水ドージングノズルで構成した「BlueTecR」(尿素SCR)で、尿素水から生成したアンモニアの化学反応によって、NOxを無害な窒素と水に分解する。
この「BlueTecRシステム」(DPF+尿素SCR)を搭載することで、エンジン本体は、高い燃焼効率を目指すことに注力し、車両の燃費向上によるCO2削減とPM、NOx低減の両立を実現した。
(4)機械式自動変速機12段INOMAT-II(2ペダル方式)を拡大し採用
@ 12段INOMAT-IIをカーゴ系、トラクター系に展開
従来から好評の機械式自動変速機12段INOMAT-IIを拡大採用しました。きめ細やかなギヤ選択が可能となり、常に最適な動力性能を引き出す。また、ドライバーの技量に大きく左右されることなく、燃費の向上が実現。クラッチペダル操作が不要なことからドライバーの疲労が軽減し、安全運転にも効果が期待でき、経済性、安全性に大きく寄与する。
A 新たにシフトダウンブレーキを標準装備(12段INOMAT-II搭載車のみ)
従来の永久磁石式リタ―ダーに代わる補助ブレーキとしてシフトダウンブレーキを新たに採用した。自動的に低いギヤ段が選択され、エンジンブレーキを活用することで、主ブレーキの使用頻度が減り、ドライバーの疲労軽減だけでなく、ブレーキライニングの寿命も延長する。
(5)衝突被害軽減ブレーキ(AMB)、車両挙動安定装置(ESPR)を新たに採用
MFTBCは、事故が発生する前の“より早い段階”で事故抑止効果を発揮する予防安全(アクティブセーフティ)装備が大切と考え、安全技術の開発を行ってきた。そのひとつが、1996年に世界で初めて大型トラック「スーパーグレート」に搭載した運転注意力モニター「MDAS」。これはドライバーの運転注意力が低下したときに音とメーター表示で警報を発し、ドライバーに注意を促し、事故を未然にふせぐアクティブセーフティ技術だ。
@ 運転注意力モニター「MDAS-III」を長尺カーゴ系に標準装備
「MDAS」の進化系として、2007年には「MDAS-III」を開発した。「MDAS-III」は新たにCMOSセンサー式カメラによる白線認識機能を導入するとともに、注意力を推定する周期を従来の60秒から15秒に短縮するなど、ドライバーに早期に警報し、事故を未然にふせぐMFTBC独自の予防安全技術だ。
A 衝突被害軽減ブレーキ(AMB)を長尺カーゴ及び2軸セミトラクターに標準装備
「AMB」は前方車両など障害物への追突が避けられないときに、状況に応じて自動でブレーキをかけ、衝突時の速度を低下させ、被害を軽減するアクティブセーフティ技術。前方車両との距離をミリ波レーダーで監視し、追突の危険性がある場合には、まず警報音を発し、回避操作が行われない場合は、報知音と緩いブレーキを作動させる。なおも回避操作が行われない場合に、報知音と強いブレーキを作動させ、衝突速度を抑える。
B 車両挙動安定装置(ESPR)を2軸セミトラクターに標準装備
ESPRは、エンジン出力制御、トラクターの適切な車輪に対する独立したブレーキ制御、トレーラーのブレーキ制御によって車両を安定方向に導く。滑りやすい路面での安定化だけでなく、旋回中の過大な遠心力による横転も抑制する。大型車は積載時に重心が高くなるため旋回時に横転する危険性が高くなる。「ESPR」は、こうした横転事故抑制に効果を発揮するとともにセミトレーラーの連結部が折れ曲がってしまうジャックナイフ現象などの抑制にも効果がある。
1)MDAS 運転注意力モニター Mitsubishi Drivers Attention monitoring
System
2)AMB 衝突被害軽減ブレーキ Active Mitigation Brake
3)ESPR 車両挙動安定装置 Electronic Stability Program
(6)軽量な新型ウイングボディを新開発し、積載性を向上
株式会社パブコと共同開発した軽量ボディ「D-Wing」を新規設定
センターレールの小径化とリヤドア埋め込み式ロックバーやサイドルーフの軽量化かつ高強度を誇るサンドイッチパネルを採用するとともに、床板には環境に配慮した竹合板も採用している。これらにより従来比で300kgの軽量化をはかり、積載量を増大した。
(7)その他
ISO方式ホイールを標準採用し、整備効率向上
世界中の大型トラック・バスの95%に採用されている国際標準のホイール取付け方式であるISO方式を全車に採用。シンプルな構造でタイヤ交換や日常点検などの点検・整備が容易となる。
2. 販売目標台数
大型トラック「新型スーパーグレート」シリーズ 7,000台 / 年
東京地区販売価格 (消費税含む) (単位:円
主な車型 |
エンジン |
車両総重量 |
主な仕様 |
価格 |
LKG-FU54VZ |
6R10(T2)
257kW(350ps) |
25トン |
リヤエアサス
12段INOMAT-II |
16,952,250 |
LKG-FS55VZ |
6R10(T3)
279kW(380ps) |
25トン |
総輪エアサス
7段MT |
18,116,700 |
プレス発表会で撮影した新型スーパーグレート
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