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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第123回】    株式会社啓和運輸(埼玉県入間市)

運送業務に徹し2023年9月期に売上高200億円目指す

 物流センターの運営など運送以外の事業領域への拡大を図る事業者が多い中で、運送に徹する姿勢を一貫しているのは啓和運輸(本社・埼玉県入間市、川島満社長)。同社では800台以上の車両を基本的にはフリー稼働にし、車両の回転率と実車率を高めて生産性の向上を図っている。啓和運輸は、運送業界の現状を演劇で表現した「うんちゃん」を2015年に東京と埼玉で舞台公演(7公演で約3000人が鑑賞)。2017年にも「うんちゃん2(女性ドライバー編)」を東京と埼玉で公演(8公演で約4000人が鑑賞)するなどユニークな活動もしている。また、現在は日本経済新聞が主催する「第2回NIKKEI全国社歌コンテスト」にも応募している。同社の社歌「夢と希望を乗せて」(作詞・作曲:山口吉隆氏)は「うんちゃん」の上演を機に制作したもの。同社が現在、取り組んでいる5カ年計画では最終年度の2023年9月期に売上高200億円を目指している。

 同社は1964年に所沢市で自動車整備工場を開設。その後、1979年に運送事業免許を取得して入間市で啓和運輸として運送業をスタートした。地元の入間や狭山地域などには工業団地があり、それらの工場で製造される段ボールや食品機械などの輸送から運送事業を始めている。現在は埼玉県内に11、東京2、千葉2、神奈川2、茨城2、栃木3、群馬3、山梨1、長野1、愛知1、岐阜1、大阪1の営業所を持つ(うち3カ所は物流センター)。運輸部門の組織は入間事業部、首都圏事業部、東京事業部、北関東事業部となっている。車両保有台数は約810台で、内訳は大型増㌧車が全体の2分の1、中型車4分の1、小型車4分の1といった割合。従業員数はグループ全体で約1300人いるが、ほとんどが正社員である。「当社は朝から夕方までコンスタントに仕事があるのでフルタイムの勤務にしている」(川島社長)という。2020年9月期の売上高は約139億円。

 保有車両が800台以上で傭車比率は10%以下である。自車両の方がフルに稼働させやすいからだ。「800台全部がフリーで法的な制約の範囲で最大限にパフォーマンスを高めるようにしている」(川島社長)という。同社では基本的に長距離輸送はしない。そのため「1カ月の走行距離は8000㎞以内で、運賃と時間管理に力を入れている」(川島悠生取締役・営業開発本部副本部長)。実車率を高めて空車走行をなくすようなオペレーションをしているからだ。「貸切でもドライバーを専属にする仕事は請けない」(川島社長)。①専属貸切では運賃が安くなる、②複数の仕事を組み合わせて1日をフル稼働する、③専属では当日のキャンセルや取引が無くなった場合にダメージが大きい、などの理由からだ。メインの仕事が60~70%、そこに30~40%の別の仕事を組み込むようにして、拘束時間や労働時間の範囲内で「1日2.5回転を理想としている」(同)。

 たとえば3台の専属的な契約でも10台の車両で仕事をする。その仕事を多数のドライバーができれば「3台の契約でもスポットで突然5台必要になってもすぐ対応できる」(川島社長)からだ。このような柔軟な対応力があれば、それが「売り」になるという考え方である。「忙しい時でも荷主が必要という台数の車両を出す。しかし、暇な時でも仕事をくださいとは言わない」(同)。それによって「少し高い運賃」(同)の収受を可能にしているようだ。このようにして、1台のトラックが月120~130万円の運賃をコンスタントに稼げるようにしている。また同社では、「運送一本でやっていく。物流センターは運送の補助になれば良い」(同)という。あくまで「運送」業務に徹する事業展開である。そして、①稼働日数、②拘束時間、③売上ルール(1台当たり1日幾ら)、④売上-燃料代-高速料金=ネット売上、⑤人件費比率といった項目を1台ごとに管理している。

 同社では30期の2008年9月期に売上高が30億円を超えた。この時「100億円企業を目指すが自分は営業をやらない。自分がやることは、謝ること、断ること、資金繰りや計数管理などの経営管理だけで、それ以外は自分たちでやってくれと宣言した」(川島社長)。そして40期(2018年9月期)には売上高が100億円を超えた。そこで2018年10月からの5カ年計画では2023年9月期で売上高200億円を目標に掲げたのである。5年で売上を倍増させるという計画だ。「売上100億円までは各所長に任せておいてよかった」(同)。だが200億円を目指すにはそうはいかない。そこで経営管理本部と営業開発本部を新設し、社長が2本部を統括することにした。実は2020年9月期で150億円を目指していたのだがコロナ禍で139億円にとどまった。「コロナ禍でも今年、売上を挽回できれば5カ年計画の売上高200億円達成は可能」(同)としている。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>