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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第124回】    NEXT Logistics Japan株式会社(東京都新宿区)

東名阪の混載幹線輸送で人員やCO2排出を大幅削減

 NEXT Logistics Japan(本社東京都新宿区、梅村幸生社長、以下NLJ)は、日野自動車、アサヒグループホールディングス、江崎グリコ、千代田運輸、トランコム、ユーネットランスのアライアンスにより、輸送イノベーションも視野に入れて深刻化する物流の課題を解決するための新たな幹線輸送スキームの事業化を2019年12月9日からスタートした。その後、ニチレイロジグループ、日本梱包運輸倉庫、三菱UFJリースの3社もメンバーに加わっている。NLJは、日野自動車がユーザーである運送会社の諸課題を解決するために2018年2月に新事業企画部を社内に新設したのが始まり。荷主企業や運送事業者へのヒアリングなどを行ってきたが、ユーザーを外部からサポートするだけでなく、自らも物流のフィールドで運送事業者が抱えている諸課題の解決に一緒に取り組む必要性を実感し、2018年6月にNLJを設立し、貨物自動車運送事業の許可も取得した。

 最初は、東名阪における幹線輸送の効率化・省人化を目指す新たな輸送スキームの運用からはじめた。神奈川県相模原市(ギオン相模原センター内)と兵庫県西宮市(アサヒビール西宮東配送センター内)の東西2カ所にクロスドックセンターを設け、荷主各社の荷物を集約する。そして荷物と車両の情報から算出した最適パターンで混載し、さらに空きスペースに積載可能な荷物をマッチングすることで積載効率の最大化を図る。車両は専用に開発した全長25m級のダブル連結トラックで、大きな特徴はウィング車であることだ。この車両を幹線運行することで必要なドライバー数を減らし、さらに複数の荷主の荷物を積合せすることで積載率を向上する。たとえば平均積載率40%の大型トラック3台(3人のドライバー)で運んでいる荷物を、25mのフルトレーラで積載率を60%にすれば、連結した2台のトラックでドライバーが1人で運ぶことが可能だ。

 また同社はドライバーの労働時間を短縮するため、西宮と相模原のほぼ中間に豊田営業所(ユーネットランス営業所内)を置き、車両とドライバーの基地にしている。営業所でドライバーが交代して乗務する中継輸送システムである。さらに荷主や事業者の参加企業が増えて荷物量が増加してくれば、中部にもクロスドックセンターを開設し、西宮以西と相模原以北への幹線輸送の延伸も構想している。NLJはこの新スキームの混載幹線輸送を2019年12月からスタートした。現在はトレーラ4セットで、それぞれ1日2回転の運行をしている。中継輸送で昼夜運行が可能だからである。中継輸送はドライバーの労働時間短縮だけでなく、車両の稼働効率を高め、荷物のリードタイムを短縮できるという効果ももたらす。この幹線輸送スキームの事業化が評価され、NLJとパートナー企業6社は日本物流団体連合会の第21回物流環境大賞「物流環境負荷軽減技術開発賞」を受賞した。

 事業開始から約1年の昨年9~11月の3カ月の実績では、積載率平均が57%(最大87%)を実現。大型車(単車)で平均積載率を40%とした従来の輸送と比べ、運送人員を46%削減、CO2排出量の32%削減を実現したことになる。「運送人員」とは「ドライバーや荷役などの運送業務に直接かかわる人員」のことである。その結果、輸送量/人では248%となり、従来の大型車(単車)の約2.5台分に相当する。このような輸送効率化には様々な取り組みが必要だ。荷姿がバラバラでは段積みができず、積載率を向上できない。積載効率を向上するには、①荷姿の違う荷物を効率的に組み合わせるタイミングの調整、②荷姿がばらつく荷物はボックスパレットに封入、あるいはデッキラックを活用して段積みする、③さらに空間を埋めるバラ荷物の荷姿を変更して隙間に積載する、などである。これらを組み合わせることで荷室を効率的に活用して積載率を向上する。

 荷物の組合せでも「高さ、長さ、幅、重量、段積みが可能かどうか、その他のこの1年間でデータがかなり蓄積されてきた」(梅村社長)。重量と容積だけでなく「匂いや油物、さらに袋状かパレットか、段ボールの強度、面が揃っているかどうか、パレットの属性、その他の荷物特性も情報として入れている」(同)。さらに荷室内の見える化も進めている。積荷の容積や床面の積載状況、運行中の荷物の位置移動状況や荷崩れなどをモニタリング。走行中の加速や車線変更、ブレーキなどによる荷物のズレや重心の移動、荷崩れ状況などを把握し、そのデータを将来の自動運転の開発にも役立てよう、というのである。さらに積載量を拡大するため、段付きトレーラを開発・導入して2月から運行を開始する。前車の荷台容積は65.2㎥なのに、後車は57.2㎥しかなかったが、65.4㎥まで拡大したのである。「ウィングの段付きフルトレは日本で初めて」(同)という。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>

(写真:資料提供:NEXT Logistics Japan)