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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第126回】    株式会社エコランド(東京都杉並区)

在宅勤務などの影響で環境ビジネス急伸

エコランド本社

 コロナの影響は取扱い品目によって差があるが、全体的にはマイナス影響の事業者が多いようだ。ウインローダー(本社・東京都杉並区、髙嶋民人社長)も例外ではないが、関連会社のエコランド(所在地同・代表者同)は昨年10月から売上が増加に転じ、今年9月期決算では前年度比120%の売上を見込んでいる。エコランドは、一般貨物自動車運送の他に産業廃棄物収集運搬や古物の売買業、貿易業、リユース・リサイクル業などを行っている。ウインローダーの社内にエコ事業部が発足したのは1999年だ。様々な荷物を取扱っていたが、その中に家電配送もあり、この家電配送の帰荷としてリユース品、リサイクル品を回収することで採算性の向上を図るのがエコ事業部発足の目的だった。このような経緯でウインローダーが「エコロジスティックス」サービスとしてテストランを開始したのが2001年6月から、同年11月からは本格的に事業をスタートしている。

 同サービスの特徴は回収した物を、①リユース(国内のリサイクル店や海外販売)、②リサイクル(再生工場)、③処分場(廃棄)という3つのパターンで処理する点である。結果的には家電配送の車両とは別に専用車両になったため、所期の目的とは違ってきたがウインローダー内の1事業部門として順調に業績を伸ばしてきた。そこで2013年12月に株式会社エコランドを設立してウインローダーとは会社を分離し、エコ事業を専門に展開することにした。だが、会社を分離したものの「実際にはウインローダーの事業部門といった形での事業展開だった」(髙嶋社長)ようだ。「実質的にも独立したのは2019年5月から」(同)という。エコランドの現在の保有車両数は2t車が11台、社員は28人である。また、ウインローダーのほか5社の共同出資で設立したリサイクルリンクル(東京都東村山市、黒川芳秋社長)が、リユース品の国内販売や海外輸出などを行っている。

喜ぶリユースユーザー

 エコランドの事業はエコ回収と買取で、「あなたの『いらない』が、誰かの『欲しい』に」がコンセプトだ。「エコ回収」は、「いらない」人から同社がリユース代行料金を受け取って適切な方法でリユースする。「買取」は、「いらない」人から同社が商品を購入するサービスである。エコランドの車両が「いらない」人のところに行って、「エコ回収」や「買取」をして積んで帰る。「ここまでがエコランドという会社が担当している事業領域」(趙勇樹取締役COO)だ。だが「『エコランド』というサービス名は、その後のリユース等の事業も含め、入口から出口までを包括したサービスブランドである」(同)。「いらない」人からエコ回収や買取した物は仕分け・選定センターに運ぶ。ここからがリサイクルリンクルの事業領域で、仕分け・選定された物はヤフーオークション、専門販売会社による販売、海外輸出(主にアジア市場)などのチャネルで「ほしい」人にわたり再び利活用される。

 エコランドもコロナ禍の影響を受けた。「昨年の1月、2月ぐらいから中国向けの輸出で影響が出た」(趙取締役)のである。国内でも提携している不動産販売会社経由の仕事が落ち込んだ。「緊急事態宣言などで不動産会社の営業所が営業をストップした影響が大きかった」(髙嶋社長)からだ。そのため「昨年の4、5、6月は売上が下がった。4月から6月までの四半期は前年同期比20%ぐらいの落ち込みで、6月がボトムだった」(趙取締役)という。だが「7~9月はトントンになり、10~12月には前年比107から108%と増加に転じて、今年の1~3月は120%と予測している」(同)。「リモートワークの普及や定着で会社に出社することが減り、郊外に家を買ったりして移動する人が増えてきた。それに伴う回収需要が増加している」(髙嶋社長)からだ。同社は9月決算だが、今年9月期の売上を「115%から120%と予想」(趙取締役)している。

 このように現在はコロナ禍の中で業績の伸びが予測されているが、同時にエコランドでは中長期の事業展開としてサービスエリアの拡大を構想している。具体的にどのような形で全国展開を進めるかは検討中という。考えられることはフランチャイズ制、あるいは業務提携や協力会社契約という形態も考えられる。先述したようにエコランドという会社の事業領域は「エコ回収」や「買取」までである。しかし、「エコランド」というサービス名はリユースなども含めた一貫サービスのブランド名である。また、産業廃棄物収集運搬業の許可は都道府県単位なので、提携事業者のテリトリーには事業許可という地域的制約が伴うことになる。その他にも様々な検討課題があるようだが、まず、「関西エリアと東海エリアにはサービスを拡大したい」(髙嶋社長)考えのようだ。いずれにしても環境事業はコロナ禍に関わりなく、これからますます可能性が拡がる分野である。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>

(写真提供:エコランド)