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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第149回】    熊本交通運輸株式会社(熊本県益城町)

2マン運行・中継輸送・配送距離短縮など多様な対応

 トラック運送業界にとって「2024年問題」への対応は喫緊の課題である。しかし、総ての事業者に共通する処方箋はない。自社の運行状況に応じて、それぞれに対応していかなくてはいけない。そのような中で、2マン運行や中継輸送方式を導入。さらには10月の営業開始予定で福岡(久山町)に建設中の物流センターを長崎、佐賀、福岡、大分の配送拠点にして、九州北部の配送車両のドライバーの拘束時間の短縮を図るなど、様々な取り組みをしているのが熊本交通運輸(本社・熊本県上益城郡益城町、住永富司社長)である。同社の創業は1972年4月で、最初は農協の青果物輸送からスタートしたが、現在は農産物の他に建材、食品、その他の荷物を取り扱っている。輸送配送サービスも緊急便・当日輸送、専属輸送、長距離輸送、チャーター便輸送、精密機器輸送、県内の阿蘇地域を対象にしたクロスドックによる共同配送や、引越サービスも行っている。

 熊本交通運輸は本社の他に熊本県内に営業所や倉庫が8カ所、鹿児島に3カ所、福岡、佐賀、沖縄に各1カ所、さらに広島営業所と中部営業所がある。また、貨物運送関係の関連会社だけでも5社、その他にレッカー、車両整備、交通広告の代理店、新車・中古車の販売、貸切バスやタクシーなどの関連会社がある。従業員数は270人(グループでは約800人)、保有車両数は200台(グループでは500台)、倉庫面積は8万8440㎡で、旅客事業などを除く2021年度の売上高は148億2900万円である。貨物運送グループの取扱荷物では、農産物が25%、建材も25%で、農産物と建材が2本柱なっている。また、大分県との県境に近い阿蘇市、産山村、小国町、高森町、西原村、南阿蘇村、南小国町、山都町などの阿蘇地域で共同配送をしている。中小企業などを対象に、中ロット荷物、路線便の阿蘇地域への配達荷物、加工食品や飲料水などの共配である。

 青果物輸送では、関西圏の市場には2日目販売、首都圏の市場には3日目販売に間に合うように輸送する。実際には産地の選果場で等級別の出荷数が分かった段階で90%以上の青果物は売買契約ができてしまう。だが、法律上で100%の前売りはダメとされているので、10%にも満たないごく一部だけがセリにかけられているのが実態だ。だが市場外で売買契約された青果物も市場で引き渡されるのでセリに間に合わせる形で輸送されている。首都圏の市場への輸送では1日目の11時ごろに出発前の点呼をして選果場で積み込んで休憩を取りながら草津付近で休息。2日目の11時ごろに始業して18時ごろに最初の市場に荷物を卸し、2カ所目の市場に回って3カ所目の市場には21時ごろ荷卸しをして、少し走って休息をとる。だが、市場での待機時間などは予測がつかず運行計画通りにはいかない。農産物の輸送は1マン運行なので労働時間短縮は大きな課題だ。

 一方、アルミサッシなどの長距離輸送では2マン運行や中継輸送を採用して労働時間短縮に取り組んでいる。たとえば熊本と東北の拠点間輸送では2マン運行を以前から導入していて、「3台のトラックに5人のドライバーがローテーションを組んで乗務する」(住永社長)という方式にしている。2マンで労働時間を短縮しながら、荷主へのサービスとしてはリードタイムが短縮できる。また、会社にとっては車両の回転数を増やすことで生産性の向上が図れる。さらに2019年にはダブル連結トラックを導入。熊本と関東間の長距離輸送では、広島営業所を中継基地にして乗務員が交代する。ダブル連結なので2台のトラックを1人のドライバーが運転。熊本のドライバーと広島営業所のドライバーの合計2人だが、「ダブル連結なので1人が1台に乗務して熊本と関東間を輸送しているのと同じこと。しかし、リードタイムが短縮できる」(住永社長)ので生産性が高い。

 同社では福岡県久山町に8月完成の予定で福岡物流センターの建設を進めている。運用は10月からで、3分の2は大手アルミメーカーの荷物を取り扱う。この荷主の九州の物流拠点は八代市で、本州から幹線輸送で運んできた製品を八代の拠点から九州各地に配送している。そのため九州北部への配送では、本州から八代まで運び、八代から九州北部に配送するというムダな運送をしている。そこで長崎、佐賀、福岡、大分4県に配送する荷物は、新設の福岡物流センターから配送することで重複輸送をなくす。同時に、同社としては配送ドライバーの労働時間短縮も図る。現在は八代から九州北部に配送しているが最大拘束時間の13時間以内には収まっていないのが実情だ。福岡物流センターを基点にして九州北部の4県に配送するようにすれば労働時間の大幅な短縮が実現できる。熊本交通運輸では、「この構想を3、4年前に荷主に提案して実現することになった」(住永社長)。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>