免許の種類・受験資格について(クリックで拡大表示します)
警察庁は2月4日まで、準中型自動車免許の新設等に伴う「道路交通法改正試案」への意見を募集している。
当改正試案では高齢運転者対策と共に、準中型自動車免許を新設するとしている。
新設予定の準中型自動車免許は、車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満で、受験資格を18歳以上とする。これに伴い、中型自動車免許は7.5トン以上11トン未満(現行:5トン以上11トン未満)、普通自動車免許は3.5トン未満となる予定。(右図をご参照ください。クリックで拡大表示します)
以下、警察庁公表の改正試案より抜粋。
<運転免許の種類等に係る規定の整備>
(1) 最近における貨物自動車の交通事故実態等を踏まえつつ、社会的要請にも応えた運転免許制度とするため、自動車の種類として準中型自動車を、免許の種類として準中型自動車免許を新たに設けることとします。
また、18歳に満たない者に対しては、準中型自動車免許又は準中型自動車仮免許を与えないこととします。
(この結果、特殊自動車を除く四輪以上の自動車の種類、車両総重量、これらに対応する第一種免許の種類及びそれぞれの運転免許試験の受験資格は右上図のように区分されることとなります。)
* 貨物自動車による交通事故防止を図るため、平成16年の道路交通法改正により中型自動車免許制度が設けられて以降(平成19年6月施行)、事故防止に一定の効果が見られるところですが、依然として、貨物自動車を中心とする車両総重量がより重い車両の方が、一般的な乗用自動車に比べ、1万台当たりの死亡事故件数は高い値となっています。
また、3.5トン以上5トン未満の自動車に係る1万台当たりの死亡事故件数は、3.5トン未満の自動車と比較し、約1.5倍となっているなど、この範囲の貨物自動車に係る事故防止対策が課題となっています。
* 他方、貨物自動車を取り巻く情勢の変化により、これまで車両総重量5トン未満であった最大積載量2トンの貨物自動車(集配等で利用頻度の高い物流の中心的な役割を担う貨物自動車)が、保冷設備等の架装により、車両総重量が5トンを超えることが多くなっているという状況がみられます。そして、中型自動車免許の取得年齢は20歳であることから、この種の自動車を高校を卒業して間もない者が運転することができず、このような若年者の就職にも影響を及ぼしているという声が上がるなど、社会実態に応じた運転免許制度の見直しが求められています。
* 上記のような現状に鑑み、警察庁においては「貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会(座長:前田雅英首都大学東京法科大学院教授)」を設置し、運転免許制度の在り方を検討したところであり、今回の改正は、同有識者検討会が平成26年7月に取りまとめた「貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する報告書」を踏まえて行おうとするものです。
* 同報告書においては、貨物自動車が大部分を占める車両総重量3.5トン以上7.5トン未満の自動車の運転免許について、貨物自動車を用いた試験・教習を行うことを必要とする新たな免許区分を導入する案をベースに更なる総合的な安全対策について検討を進めていくことが適当とされています。
(2) 準中型自動車免許を受けようとする者は、公安委員会が行う準中型自動車の運転に関する講習及び応急救護処置に関する講習を受けなければならないこととします。
(3) 準中型自動車免許を受けた者で、当該準中型自動車免許を受けていた期間が通算して1年に達しないものについては、初心運転者標識の表示義務の対象とするとともに、当該準中型自動車免許を受けた日から1年間(初心運転者期間)に違反行為をし、一定の基準に該当することとなった場合には再試験の対象とすることとします。
* 上記報告書においては、貨物自動車に係る更なる総合的な安全対策の検討の必要性が指摘されていますが、(2)及び(3)については、貨物自動車に係る初心運転者対策として導入しようとするものです。
なお、このほか、現在、国土交通省において貨物自動車運転者に係る運転者教育の強化等を内容とする貨物自動車の総合安全対策案について検討がなされているところです。
(4) 現行の大型自動車免許、中型自動車免許又は普通自動車免許を受けている者の運転資格の取扱い等について、現在受けている免許で運転することができる自動車を改正後も運転することができることとするなど、適切な経過措置を設けることとします。
* 平成16年の道路交通法改正により中型自動車免許が新設された際にも同種の経過措置が設けられています。
改正試案・意見募集についての詳細は
警察庁ホームページへ。