株式会社タダノは12月13日、中型/小型トラック架装用カーゴクレーン(注1)(車両搭載型クレーン)のモデルチェンジを行い、新モデル:カーゴクレーン「Zest(ゼスト)EX」シリーズ(注2)として新たに発売した。
(注1)カーゴクレーンとは?
車両搭載型クレーンとも呼ばれ、荷台と運転席の間にクレーン装置を搭載し、トラックのエンジンから動力を取り出してクレーン装置の作動を行うもので、そのほとんどが吊り上げ荷重3トン未満のもの。吊り荷作業や貨物積載、運搬作業が一台で行えるため、建築業、造園業、運輸業等を中心に幅広い業種に用いられ、また船舶等にも搭載されている。
(注2)「Zest EX」とは?
カーゴクレーン「Zest(ゼスト)」シリーズは、高品質や操作の快適性をコンセプトに、2008年1月に発売。ロングセラーモデルとして評価されていたが、今回さらに安全性向上を結実させた「Zest EX」として、モデルチェンジした。
1.製品名
CARGO CRANE Zest(ゼスト)EX
中型トラック架装用カーゴクレーン ZX360/ZX300
小型トラック架装用カーゴクレーン ZX290/ZX260/ZX250
2.性 能
吊り上げ荷重: 2.93t/2.63t/2.53t吊り
3.開発コンセプト
2018年2月に告示された移動式クレーン構造規格の改正によって、吊り上げ荷重3トン未満の移動式クレーンに、過負荷を防止するための装置が義務づけられた。
「Zest EX」シリーズは、最新の「過負荷防止装置」(注)を標準装備するとともに、ヒューマンエラーを防止する「卓越した安全性」、初心者から熟練者まで思い通りの操作を実現する「洗練された操作性」、そしてワンランク上の性能による「快適な操作性」を、より高い次元で実現させた。
なお過負荷防止装置には「停止仕様:定格荷重制限装置」、「警報仕様:定格荷重指示装置」があり、同社では安全性の高い停止仕様を標準装備としている。(停止仕様は、JCAS[日本クレーン協会規格]に準拠)
注)過負荷防止装置とは?
クレーン作業においての過負荷によるクレーンの破損、または転倒などの事故を未然に防止するための装置
4.主な特長
1.「過負荷防止装置」を標準装備
より高次元の安全を実現するため、クレーン作業を「強度」と「安定度」の両面から監視する最新システムの過負荷防止装置を導入。各検出器からの信号によって、クレーンの作業状態および吊り荷の重さを常に検出し、荷重が定格総荷重に近づいたときは、予告警報を出して注意を促し、作動速度を制限する。
さらに過負荷になったときは限界警報を発して、緩やかに停止。その際、荷揺れ抑制により、吊り荷も静止する先進の機能が搭載されている。
2.新7角形ブームを採用
従来の5角形から7角形断面ブームへ進化。大型クレーンでも採用されている70kg級高張力鋼板の一枚板構造ブームで、横タワミにもすぐれ、高い剛性を誇る。
さらにアウトリガ張出幅を拡張し、ブーム剛性向上との相乗効果で、ZX364モデルで最大約35%、ZX294モデルで最大約20%もの側方作業性能が向上した。
3.新 集中コントロールパネルを採用
上段には、実荷重や空車時定格荷重のデジタル表示機能をビルトイン。さらに限界警告灯やアウトリガ張出状態表示灯も搭載している。また空車時定格総荷重表、作業半径−揚程図も表示し、下段には各機能スイッチ類を集約している。
さらにクレーン稼働時間と総稼働時間を表示し、メンテナンス時期の目安となるアワメータ機能や、作動油の温度を常にモニタリングし、油温が上昇した場合、作動速度を落として油温の上昇を抑制する油温上昇抑制装置も新装備した。
4.大画面デジタル・カラーラジコン[ラジコン仕様に搭載]
2.7インチ カラーの大画面の新型ラジコンを採用。実荷重、定格荷重、モーメント負荷率などの作業情報を、常時手元で確認できる。そのうえ明るい場所でもくっきり見える反射型のため、晴天時の屋外においても高い視認性を確保する。
さらに吊り荷の荷重を加算または減算することにより、積み荷の積載荷重を計算し表示する、積載荷重表示や、ブーム旋回や起伏操作の作動速度を、よりオペレータの操作感覚に調整可能なフィーリング・オペレーション、作業状態に応じて旋回速度をコントロールする周速制御など、多彩な操作サポート機能を集約した。
5.荷振れ抑制機能を新採用[ナビ仕様に搭載]
クレーン作業時のブーム旋回起動時、または停止時の荷振れを抑制。吊り荷の動きと、クレーンの動きがシンクロするよう自動制御し、安定したクレーン作業を実現した。これにより作業に不慣れな場合でも、安定した作業をサポート。さらに伸縮・起伏・ウインチの動作時には、ショックレス機能が働く。
諸元など詳細は
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