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タダノ、未来の建設現場を支える「AI研究開発」

2022年9月5日(月)

 株式会社タダノ(本社:香川県高松市、代表取締役社長:氏家 俊明)では未来に向けたAIの研究開発を進めており、その背景・経緯と成果の一部、将来像について発表した。

1.取り組みの背景・経緯
 同社の製品が活躍する建機業界、特に日本においては少子高齢化による生産年齢人口の減少に相まって、建設就業者の減少が大きな問題になりつつある。クレーンを自在に操作できる熟練オペレーターも減りつつある中で、技術革新によってクレーン操作をより容易化・部分的な自動化を図り、将来は自律化させることで、施工現場の安全性を向上させたいと同社は考えている。
 そこでAI研究の第一人者である東京大学・松尾教授の指導のもと、株式会社DeepXとの共同研究を進めてきた。現在AIによる「クレーンの3連操作(旋回・起伏・ウインチの併用操作)での吊り荷搬送における荷振れの抑制」というテーマにおいて一定の成果を得られるところまで至っている。

2.成果の一部ご紹介
 荷物を吊った状態でクレーンのブームを旋回すると、荷物には自重があるため、ブーム先端位置より少し遅れて、位置が少しずれた状態のまま移動していく。目的地の真上でブームの旋回を止めると、ワイヤと荷物には「振り子の原理」が働き、荷物は目的位置を行き過ぎてしまう。これを「荷振れ」と呼ぶ。
 現状、オペレーターは自分の目で荷物の状態を見ながら、複数のレバーを操作し「荷振れ」が起きないように調整している。安全なクレーン作業を行うために、オペレーターにはそうした熟練の技術・経験が求められる。今回の取り組みでは、荷物の重さや位置、クレーンの状態を示すデータを活用し、仮想空間上でディープラーニングモデルを繰り返し学習させ、荷振れに関するスコアを向上させることで、実際のクレーンにおいても荷物をスピーディーかつスムーズに運ぶことができるようになった。

3.将来に向けて
 AI技術は、吊り荷の振れ抑制以外にも、作業現場環境において障害物を認識した上で、吊り荷移動のための最適軌跡判断など、クレーン操作を行うための様々な状況判断にも有効であると考えている。同社では社外の英知も積極的に活用しながら、より安全なクレーン作業を提供する技術を磨いていく構えだ。

4.同社AI研究ご紹介ムービー「AI クレーン 〜安全追求への挑戦〜」は、こちら。(youtube タダノチャンネル 音声あり)


※参考<株式会社DeepXについて>
DeepXは、「あらゆる機械を自動化し、世界の生産現場を革新する」というミッションを掲げて活動する、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップ。多くの産業で問題となる労働力不足、熟練作業者不足、過酷作業等の現場の課題の解決を目指し、AIをはじめとするさまざまな技術を駆使し、あらゆる機械を自動化し、幅広い作業の自動化を推進していく。
◆本社所在地:東京都文京区湯島三丁目21番4号第一三倉ビル3階
◆設立:2016年4月22日
◆代表者:代表取締役 那須野薫
◆事業内容:機械自動化や現場作業自動化の支援、AI技術を活用した事業開発、ソフトウェア開発、R&D