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日野自動車、日野デュトロをフルモデルチェンジ

2011年6月15日(水)

日野自動車、小型トラック「日野デュトロ」をフルモデルチェンジして7月から発売
―新世代ハイブリッドシステム搭載車も登場―

 日野自動車株式会社(以下、日野)は小型トラック 「日野デュトロ」を12年ぶりにフルモデルチェンジし、商品力を大幅にアップして7月2日に発売する。
 新型「日野デュトロ」は平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合し、また平成27年度燃費基準達成車の設定拡大、新世代ハイブリッドシステムの採用をした。

 従来の「日野デュトロ」はトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)と共同で開発、日野の羽村工場で生産し、トヨタブランドでは「トヨタ ダイナ」「トヨタ トヨエース」の車名で販売されてきた。
これに対し今回フルモデルチェンジの新型車は、トヨタグループにおける商用車専門メーカーである日野が主体となり、そのノウハウや経験を活かし、日本市場だけでなくグローバルに展開することを目指して開発したという。
 同時にフルモデルチェンジされるトヨタブランド車は、今回より日野からのOEM(相手先ブランドによる供給)となる。

■新型「日野デュトロ」の主な特長

 今回、世界最高水準の厳しい規制である平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に対応するにあたり、新型「日野デュトロ」にも、日野の進化したクリーンディーゼルシステム「AIR LOOP※1(エア ループ)」を採用した。日野の「AIR LOOP(エア ループ)」はきれいな空気(AIR)の循環(LOOP)を目指し、NOx・PMはもちろんCO2排出量すなわち燃費も低減し、地球環境への負荷低減に貢献できるクリーンディーゼルシステムだ。

※1 「AIR LOOP」は日野の登録商標。

1.環境性能の進化
 新型「日野デュトロ」は、エンジンの改良とともに、既に日野レンジャーで実績のある尿素を用いないNOx低減システム「新DPR※2」を採用し、平成22年排出ガス規制に適合させた。
 「新DPR」の採用により尿素水タンクや関連装置が不要であるため、従来車に対して重量やシステム容積の増加を最小限に抑えることができ、日野デュトロの積載・架装性を損なうことなく排出ガスのクリーン化を実現した。また尿素水の補給も不要でユーザーの手を煩わせることもない。
 また、コンピューター制御により燃費に不利な運転を抑制する「日野エコラン」とアイドル・ストップ・システムを全車※3に標準装備するなど、環境性能の進化を果たしている。
 重量車モード燃費値は、2トン積みハイブリッド車では12.2km/Lを達成。従来車に対して大幅に向上しており、ユーザーの運行経費低減に貢献する。
 さらに、車外騒音を大幅に低減し、静粛性を向上させている。

※2 日野のクリーンディーゼルシステム。Diesel Prticulate active Reduction system
※3 ガソリンエンジン車を除く。6速AT車はアイドル・ストップ・システムのみ。

2.キャブスタイル、インテリアの一新
 新型「日野デュトロ」 はキャブスタイルを一新。後傾角の大きなフロントウインドにより良好な空力性能を確保しながら、居住空間の拡大をはかり、足元スペースもゆとりあるものとした。
 また、インテリアも一新し、インストルメントパネルは豊富な収納スペースと便利な装備を満載した新デザインだ。
 低燃費走行時にはコンビネーションメーター内のエコランプがグリーンに点灯し、エコドライブをサポートする。

3.安全性能が向上
 新型「日野デュトロ」は、断面を極限まで細くしたワイドビューピラーの採用によって視界が向上。また、特に車両側方の視界を向上させる2面鏡式ミラーを標準装備し、ドライバーの安全運転に貢献する。
 またヘッドランプはロービームに夜間の視認性を向上させるディスチャージ式をオプション設定。また小型トラックでは世界で初めて※4、横転等の危険を抑制するVSC※5(ビークルスタビリティコントロール・車両安定制御システム)をオプション設定するなど、安全性に一層の磨きをかけた。

※4 日野調べ。小型トラック2トン積みクラスで世界初。
※5 「VSC」はトヨタ自動車の登録商標。

4.新世代ハイブリッドシステムを搭載
 「日野デュトロ ハイブリッド」は2003年の発売以来、累計販売台数5,700台を超え、小型ハイブリッドトラックのトップブランドとして群を抜く販売実績※6を誇る。
 この「日野デュトロ ハイブリッド」が新世代のハイブリッドシステムを搭載して生まれ変わった。

※6 2011年5月までの国内登録台数。日野調べ。

1)新たなシステム制御を開発し大幅な効率向上を実現
 減速時のエネルギー回生とモーターによるアシストの制御を根本から見直すことでハイブリッドシステム全体の効率を大幅に向上させた。
 従来のシステムではエネルギー回生量によってアシスト量を可変させる方式をとってきたが、今回更にドライバーの操作や道路状況等刻々と変化する状況を常に監視し、その状態に応じてアシスト量を最適化すると共に、エンジンとの協調によりその瞬間で最も燃費の良い状態に制御することで燃費を大幅に向上させている。

2)エンジンとモーターの間にクラッチを設置し回生効率を向上
 新ハイブリッドシステムではエンジンとモーターの間にクラッチを設置した。これにより、減速時にクラッチを切ることでエンジンとモーター(減速時には発電機として作用)が切り離されるため、減速時に発生するエネルギーを効率良く発電に使うことができ、ハイブリッドシステムの特徴であるエネルギー回生効率の大幅な向上を実現している。

3)商用車世界初のアトキンソンサイクルディーゼルエンジンを搭載
 エンジンには「アトキンソンサイクル」を応用し高効率化を図った。「アトキンソンサイクル」とは吸気バルブを閉じる時期を遅らせることにより圧縮開始を遅らせ、燃焼室容積を小さくし膨張比を高めることで高い熱効率を得る燃焼サイクル。低回転域でのトルクは低下するが、モーターによるアシストで補うことにより、パワートレーン全体として低回転からフラットな高トルクを実現している。
 このようなアトキンソンサイクルを応用したディーゼルエンジンは商用車用としては世界初※7だという。

※7 日野調べ。2011年5月現在。

4)主要コンポーネントを新規開発
 ハイブリッドシステムの要となるモーター、インバーター、バッテリーパックを新たに開発、軽量・コンパクトなシステムとしながら大幅な性能向上も果たしている。

5)ハイブリッド車専用5速AMT※8「プロシフトV」を新開発
 新開発のアトキンソンサイクルディーゼルエンジンと組み合わせるトランスミッションとして、クラッチペダルの無い2ペダルAMT「プロシフトV(ファイブ)」を新たに開発した。ハイブリッドシステム用トランスミッションとして最適化すると共に、ハイブリッドシステムとの協調制御により変速ショックを大幅に低減、変速時間も短縮するなど伝達効率を向上させた。
 コンピューター制御により燃費が最良となるように自動変速するため、ドライバーによる燃費のばらつきが減少し、またクラッチのメンテナンスコストも低減する。
 クラッチ操作が不要であるため、オートマチック車限定免許※9のドライバーでも運転することができる。

※8 Automated Manual Transmission(機械式自動変速機)
※9 「普通免許」の場合は、車両総重量5トン以下の車型に限ります。

 今回の発売車型のうち、平成27年度燃費基準達成車は平成21年度税制改正における自動車重量税および自動車取得税の特例措置(エコカー減税)の対象となり、新車購入時の自動車重量税と自動車取得税が免税※10、または75%減税となる。

※10 ハイブリッド車が対象。


■東京地区希望小売価格

SJG-XKC605M-TQUMC
ハイブリッド
標準幅キャブ、標準長、全低床
スタンダードグレード
木製平ボデー付完成車
エンジン:N04C-UL 110kW(150PS)
ミッション:ProShift V
4,433,000円(消費税抜き)

SKG-XZU720M-TKFQC
ディーゼル
ワイドキャブ、超ロング、高床
スタンダードグレード
木製平ボデー付完成車
エンジン:N04C-UP 110kW(150PS)
ミッション:6 MT 3トン
4,527,000円(消費税抜き)

■国内販売目標台数
12,000台/年 (日野デュトロシリーズ全体)