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UD、2030年に向け完全自動運転・大型フル電動トラックの量産化へ

2018年5月15日(火)

UDトラックス株式会社(本社:埼玉県上尾市 代表取締役社長:村上吉弘)はスマートロジスティクス実現へ向け、次世代技術ロードマップ「Fujin & Raijin(風神雷神)―― ビジョン2030」を発表した。ロードマップは深刻化する社会や物流業界の課題解決に貢献するため、次世代技術の要である自動化と電動化分野に主眼を置き、大型トラックの特定用途での自動運転や電動駆動における様々なソリューションを提供する2030年までの取り組みを示す。創業以来、一貫して追求する「時世が求める商品・サービスを提供する」という同社のビジョンのもと、2020年にかけて特定用途での実用化をし、これをベースに2030年に向けて完全自動運転および大型フル電動トラックの量産化を実現する。

電子商取引の増大による小口配送の需要は2030年までに14年比で50%増えると予想されている。一方で、排出ガス問題やドライバー不足が深刻化している。こうした課題を解決しユーザーが求めるトラックを提供するためには、自動運転と電動化の技術革新がカギになると同社では考えている。

同社会長のヨアキム・ローゼンバーグは4月23日、在日スウェーデン大使館で開催したロードマップ発表会で、「当社のビジョンである時世が求める商品・サービスを提供するため、私たちはいつの時代も独自のアプローチで取り組んできました。そして今、将来を見据え、世界は生産性・効率性の高い物流―スマートロジスティクス―を必要としていると確信しています」と強調した。

同社の次世代技術ロードマップにおける自動化の取り組みは、モノを動かす力を象徴する風の神「風神」、また電動化の取り組みは電気エネルギーの力を象徴する雷の神「雷神」から着想を得ている。「Fujin & Raijin (風神雷神)――ビジョン2030」では自動化と電動化を軸に、コネクティビティ(つながるトラック)とデジタル化の進化を通して、輸送をよりスマートにするための取り組みを示していく。

<自動運転>
自動運転は生産性、安全性、燃料・燃費効率において物流企業と社会に直接的な貢献でき、物流業界に大きな変化をもたらす。UDトラックスは現在、工場の構内や港湾などの一定区域での安全な低速自動運転技術を開発している。また高速道路での自動運転や協調型車間距離維持支援システム(CACC)によるトラックの隊列走行技術、そして長期的にはこれらをさらに進化させた一般道での高度自動運転の開発を進めている。

<電動化>
同社は環境負荷軽減への絶え間ない努力の一環として現在、エネルギー効率や積載量、航続距離、静粛性を最大限に確保したゼロエミッション大型トラックの実現に向けた技術開発に取り組んでいる。バッテリー技術が進化する中、バッテリー型電動トラック、パラレルやシリーズ型電動トラックなどの実験を行っている。

<コネクティビティとデジタル化>
デジタル化をベースとしたコネクティビティは自動運転と電動化を推進する技術。同社は、日本国内で販売する車両に搭載したテレマティクスシステム「UDインフォメーションサービス」を通じ、約4万5000台の車両から収集したデータを解析し、車両の稼働率向上に貢献している。またユーザーの運転状況から収集したデータを、より安全で信頼性の高いトラックの開発に役立てている。

同社開発部門統括責任者のダグラス・ナカノは「2017年の新型クオンの発売を機に、スマートロジスティクスの未来をひらくという信念のもと着実に前進しています。今回発表したUDトラックスの次世代技術ロードマップは物流業界と社会に大きく貢献できると確信しています。世界中のお客様に当社のソリューションや利点を理解していただくことが、最終的には皆さまの暮らしに役立てると信じています」と抱負を語った。

2018年以内に自動運転と大型電動トラックのプロトタイプを実証し、東京モーターショーが開催される2019年までにユーザーと共に実証運行を実施。そこから得た知見を開発に反映し2020年までに特定用途での実用化を行う予定。これらを基盤に2030年までに、完全自動運転と大型フル電動トラックの量産化を目指す。