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中国・山東省における食品物流戦略を国分・荻野物流部長に聞く

2010年5月25日(火)

 ――3月、中国・山東省に合弁会社として三通国分商貿(青島)有限公司を設立したが、物流事業における展開は

 荻野 山東省の青島市に昨年9月、三温度帯に対応させた物流センターを開設した。青島市、煙台市、威海市で市内配送を行い、この3市をカバーする。
 また同様に、年内に立ち上げる?坊市の新センターを中心にして、東営市、済南市、?博市でも市内配送を行う。両物流拠点を中心に三温度帯の物流機能を構築する。

 ――山東省で事業展開を進める理由は

 荻野 山東省は人口が約9400万人で、年間GDPは中国国内で2位になるが、物流基盤はまだ脆弱なところがある。例えば、アイスクリームの配送は常温車に毛布をかけるだけで配送するといったことも見られる。また、三温度帯に対応するトラックが少ない。

 ――現在の受注状況は

 荻野 物流事業では温度帯別の物流ができるということで、山東省に工場を置く日系メーカーから、引き合いが多くなってきている。中国企業からの引き合いも多く、乳業大手の伊利集団から青島市内の配送を受託した。また、上海万博では山東省から青果のほか、ソフトクリーム大手・日世(本社・大阪府)の原材料を供給している。

 毒ギョーザ事件によって日本への輸出が減り日系企業との取引がメインの物流企業は苦戦しているが、三通国分商貿は中国国内での取引を中心に展開し、そのなかで日系企業とも取引を行う。

 ――物流センターなどの設備や人員は

 荻野 ハンディやマテハンなどはまだ導入していないが、倉庫管理に最低限必要な日付管理やWMSを導入した。中国では大型車が市内に入っていけないという状況もあり、2?の冷凍車を多数導入している。日本からの人員は物流関連で3人が駐在している。

 ――中国における今後の展開は

 荻野 山東省には人口が9400万人もいて、青島市内だけでも700〜800万人もいる。一年やそこらではなかなか確立できるものではない。まずは山東省で基盤を作る。その後、他の企業との合弁などで中国の他の地域にも進出したい。

 ただ、上海や北京では外食やコンビニが多数進出し、高度な物流機能が出来上がっているため、なかなか進出は難しい。山東省は人口やGDPでこれだけの規模があるなかで、まだ無風状態。山東省は青果の生産地で、中国人の胃袋を支えているといっても過言ではない。市内配送だけではなく今後は幹線便も検討していく。

 ――一方、日本国内では卸が小売りの専用センターを受注する例が多くなっているが

 荻野 以前はグローサリー、低温などの物流を受託すれば商流もセットになっていたが、今は難しくなっている。専用センターを受託することで商流の取引はゼロではないということでメリットがある。

 一方で、小売り側は5〜10年の契約で満期を迎えているところが多く、新たな物流センターを専用センターに切り換えている。

 ――日本国内での今後の物流戦略は

 荻野 物流拠点の再配置は近畿のほか、中部でも検討している。首都圏についても低温物流の再構築が課題で、商流をまとめたかたちで対応していきたい。

(カーゴニュース)