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一般社団法人運転従事者脳MRI健診支援機構の発足−トラックドライバーに脳 MRI健診を−

2015年6月25日(木)

一般社団法人運転従事者脳MRI健診支援機構(Driver's Brain Scan Center、略称DBSC)の発足記念式典が2015年6月24日に開催された。
同機構は、MRI(磁気共鳴画像法)による脳のスクリーニング検査を運輸・交通等に従事する皆様にご提供することによって、運転中の脳疾患による突然死とそれによって引き起こされる交通事故を未然に防ぐことを目的とし、自動車運送に関わる企業・団体が事故によって背負う社会的責任と経済的リスクを鑑み、健康起因による交通事故の発生を減らすことで、安心できる環境づくりを通じた社会貢献を目指す。

そもそも脳 MRI健診とは、脳神経外科医、神経内科医など、脳と神経のスペシャリストを始め、実際にMRI装置を操作する検査技師、撮影された画像を診断する放射線画像診断科の先生方から頂いたご意見やご助言により実現した、脳のスクリーニング検査である。この健診ではMRA(磁気共鳴血管画像)に特化した検査を行い、脳神経外科専門医が診断、さらに未破裂動脈瘤が発見された場合には治療や経過観察までフォローする画期的なシステムである。

設立にあたっては、代表理事には「脳MRI健診」を提唱・創始した水町重範氏(水町メディカルグループ総院長)、理事には脳神経外科から上田守三氏(東邦大学医学部元教授)と小川彰氏(岩手医科大学理事長・学長)、精神神経科から飯森眞喜雄氏(東京医科大学病院名誉教授)、放射線画像診断科から甲田英一氏(東邦大学医学部客員教授)がそれぞれ就任した。

今後の事業内容は以下の通り
(1) 脳 MRI健診に関する啓発活動(勉強会、セミナーなど)
(2) 脳 MRI健診に関するガイドラインの策定
(3) 脳 MRI健診に関する管理監督
(4) 脳 MRI健診に関する研究
(5) 医療機関の認定
(6) 健診済マークの交付
(7) 補助金の支給支援
(8) その他この法人の目的を達成するために必要な事業

また、発足記念式典においては水町代表理事の挨拶に続き、国土交通省自動車局安全政策課長の小林氏により「健康起因事故の発生状況及び対策について」の講演が行われ、平成30年までに交通事故死亡者数を半減させる目標を掲げる事業者自動車総合安全プラン2009や、実際に発生した路線バス運転手の脳疾患による意識消失に伴う事故をドライブレコーダーの映像で紹介すると共に、各種事故防止対策推進事業や事故防止セミナーの開催など、今後も積極的な取り組みを検討するとした。
次いで、同機構の理事を務める小川彰氏(岩手医科大学理事長・学長)によって「運転従事者における脳 MRI健診の意義」ついて講演された。同氏は一般社団法人日本脳卒中学会の前理事長であり、自らも乗車したタクシーのドライバーが突然意識消失し、事故に遭遇。幸いにも大事故にはならなかったものの、その後ドライバーは息を引き取ったなど、脳卒中がいかに重大事故に直結するか分かりやすく解説した。同氏によれば、中でも「くも膜下出血」は予兆がなく突然発症し意識消失し、死亡率が35%・寝たきりなど重篤予後率が29%、合わせて64%が予後不良であるが、脳MRI健診で発見できれば治療は可能であり、運転従事者の健診がいかに大事であるか力説した。

なお、同式典には全日本トラック協会の星野会長はじめ、運送業界からも多数出席。式典後には懇親会が開催されたが、各政党からも多数代議士が参列。壇上に上がった舛添東京都知事は、運転従事者の健康管理は必須。なぜ今まで気が付かなく同機構のような組織がなかったのか。今後、東京都としても積極的に同機構と連携し推進していきたいと述べた。